2026/07/16

【成功する沖縄移住】移住して驚いた「セミの鳴き方」

沖縄へ移住して最初の夏、多くの人が驚くのは強い日差しでも湿度でもなく、朝早くから響き渡るセミの大合唱だったりする。本土とは種類も鳴き方も違う沖縄のセミたちは、毎年夏の訪れを盛大に知らせてくれる。今回は、移住者だからこそ気づく沖縄ならではのセミ事情をご紹介したい。

 

夏の主役はクマゼミ!鳴き声の迫力が違う

本土ではミンミンゼミやアブラゼミの鳴き声を思い浮かべる人が多いだろう。
「ミーンミンミン」「ジージージー」という音を聞けば、「夏が来たな」と感じる人も少なくない。
ところが沖縄では、夏の主役はクマゼミである。その鳴き声は「シャーーーーーーッ!」という勢いのある大音量。
一匹でも十分な存在感だが、それが何十匹、何百匹と一斉に鳴き始めるから圧倒される。
住宅街、公園、学校、スーパーの駐車場など、木がある場所ならどこでも大合唱が始まる。
初めて沖縄の夏を迎えた移住者の中には、「近くで工事でも始まったのか」と本気で思う人もいるほどだ。
もちろん工事ではない。木の上では、セミたちが全力で「今年も夏が来たぞ!」と叫んでいるのである。
鳴き声は騒がしいと言えば騒がしい。しかし、不思議なことに毎日聞いていると耳が慣れてくる
数年もすると、聞こえない日のほうが落ち着かなくなり、「今日はセミが少ないな」と季節の変化を感じるようになるから面白い。

ウチナーンチュにはおなじみのクマゼミがパパイヤの木にとまって鳴いているのが沖縄らしい。

 

朝はセミが目覚まし時計になる

沖縄のセミは朝が早い。夏になると日の出とともに鳴き始め、朝6時前には大合唱が始まることも珍しくない。
休日くらいはゆっくり寝たいと思っていても、窓を開けているとセミたちが容赦なく起こしてくれる
一匹が鳴き始めると、周囲のセミも負けじと鳴き出す。その様子は、まるで誰かが「スタート!」の合図を出したかのようだ。
もちろん、これはセミに悪気があるわけではない。彼らにとっては一生に一度の晴れ舞台なのだ。
そう考えると、「まあ頑張れ」と応援したくなるから不思議である。
とはいえ、寝不足になりたくなければ窓を閉めて寝ることをおすすめしたい。
沖縄の夏に限っては、エアコンより先に窓を閉める理由が「セミ対策」になることもある。

これだけのセミたちがいっせいに鳴き始めると音量はすさまじく、近くで寝ていれば一発で目が覚める。

 

鳴き声だけじゃない!見た目も存在感抜群

沖縄のセミは鳴き声だけでなく、体も大きい。クマゼミやオオシマゼミなど大型の種類が多く、飛んでくる姿はなかなか迫力がある。
「バサバサッ」という羽音を立てながら近づいてくると、虫が苦手な人は思わず身を縮めてしまう。
運悪く肩や腕に止まろうものなら、小さな悲鳴では済まないかもしれない。
それでも沖縄で暮らしていると、次第に慣れてくる。最初は逃げ回っていた人が、数年後には「また来たね」と笑って見送るようになる。
人間の順応力とは本当に大したものだ。子どもたちは平気で捕まえ大人は木陰で鳴き声を聞きながら夏を感じる。
こうした何気ない風景も、沖縄ならではの日常と言えるだろう。

夏も後半になると主役がリュウキュウアブラゼミに変わる。「カチカチカチー」という鳴き声が鍋を洗う音に似ているため、沖縄ではナービカチカチと呼ばれる。

 

セミの声が夏を教えてくれる

沖縄には四季がないと言われることがある。しかし、実際に暮らしてみると、それは少し違う。
真夏にはクマゼミが主役となり、夏の終わりにはリュウキュウアブラゼミが目立ち始める。
夜になるとコオロギやキリギリスの声が聞こえ、耳から秋の気配を感じられるようになる。
冬になるとセミの鳴き声は聞こえなくなり、翌年最初の大合唱を耳にすると「今年も夏が始まったな」と実感する。
観光で沖縄を訪れると、美しい海や青い空ばかりに目が向きがちだ。しかし、実際に沖縄へ移住すると、印象に残るのは景色だけではない。
朝を知らせるセミの声、風に揺れる木々の音、夕暮れの鳥のさえずり。そんな自然の音が、暮らしの中に溶け込んでいる。
最初は「うるさい」と思っていたセミの大合唱も、いつしか「今年も夏が来た」という安心感へ変わっていく。
もしこれから沖縄へ移住するなら、ぜひ耳にも注目してほしい。
本土とはひと味違うセミたちの演奏会が、沖縄の夏を何倍も印象深いものにしてくれるはずだ。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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