2024/06/22

【成功する沖縄移住】実は水不足でヤバかった2024年前半

2024年の前半、沖縄は水不足だった。ダムの貯水率が40%を切りそうになり、このままでは断水かと騒いだものだ。結局、大雨のお陰でピンチを脱したが、久しぶりに水の大切さを再認識させられたのである。

 

降水量は多いのに水不足に悩まされる沖縄

2022年の沖縄の年間降水量は2,996.5ミリと、都道府県別では全国一だった。日本の平均が1,700ミリほどなので、沖縄がいかに雨の多い島かわかる。
こんなに雨が降るのに、沖縄ではときどき水不足に悩まされることがある。なぜなのか。
まず沖縄の多くの地域は琉球石灰岩でできていることだ。この岩は水はけがよい
つまり水をよく通すので貯水性が低く、降った雨を地下水として十分に蓄えることができない。
もうひとつは川が短いこと。せっかくの雨があっという間に海に流れ出てしまうのだ。

 

PFOS川取水もありのヤバイ状況だったがV字回復で安堵

近年はダムが増えたこともあり、水不足で断水などという話はあまり聞かなくなった。
しかし、2024年前半は県内ダム全体の貯水率が40%を切るかもしれないレベルまで落ち、けっこうヤバイと騒がれたのである。
実際、発ガン性が指摘されているPFOSなどという有機フッ素化合物の濃度が高い天願川などからの取水も始めたり、もうすぐ給水制限をするぞ、といった話も広がり、県民に不安が広がったものだ。
今回の水不足の直接的な原因は、2023年9月ごろから雨が少なかったことだ。
前月には大きな被害をもたらした台風6号による大雨で県内のダムは軒並み貯水率100%となった。
しかし、その後は雨らしい雨が降らず、2024年の1月には貯水率が60%、2月には50%をそれぞれ切り、3月には42%前後まで低下したのである。
だが、幸いなことにその後は長雨となり、貯水率もV回復となった。4月には60%を、5月には70%をそれぞれ超え、6月半ばには歴史的な大雨もあって約10ヵ月ぶりに満水となったのである。

沖縄最大のダム、福地ダム。これが貯水率100%、つまり満水の状態である。

 

断水の恐怖を忘れかけていたフシが

もし3月以降も少雨傾向が続けば、おそらく6月には貯水率が30%を下回り、1993年度以来の断水となりかねなかった。
93年度の水不足の際には夜間8時間の断水が1ヵ月続いたのだが、それ以来約30年は断水もなかったので、ウチナーンチュも渇水の恐怖を忘れかけていたフシがある。
少なくとも筆者はそうだった。貯水率50%を切ったあたりで「あれ?」となったていたらくである。のど元過ぎて水のありがたさを忘れてしまっていたのだ。
ただ、いいわけになるが、この30年間で新しいダムも営業を開始したことで貯水量が増え、水事情も改善してきたことは事実である。

別の日に撮った福地ダムの写真だが、土がむき出しの部分が見えており、貯水率低下が一目瞭然。ライブカメラなどで水位が確認できて、ウチナーンチュがいつでもチェックできるようになれば節水にも役立つと思われるのだが。

 

移住者も沖縄の水事情を考えてくれ

さて問題は、今回の水不足からなにを学ぶかである。もし蛇口から水が出なくなったら、川で飲料水をくみ、トイレはポットン式、風呂は海ということになりかねない。それはそれでおもしろそうではあるが。
2024年前半の水不足は、前述のように小雨が第一要因ではあるが、観光客の急増も背景にあるといわれる。
特にダイビング客は朝昼晩と一日3回エントリーする人もいる。海から上がれば当然シャワーだ。日に3回もシャワーされたらどれだけ水を使うか、想像もしたくない。
遊びに来てくれるのはうれしいが、水は大切に使ってほしいというのが、ウチナーンチュの本音だ。
移住者も住む以上はゲストではなくホストの立場である。湯水のごとく水を使うというのは変な表現だが、そういうことはやめていただいて、自分自身の問題として節水に努めてほしいものである。

宮古島では川が短いというより、そもそも川がない。そこで地下にダムを造るという世界初の試みをなしとげた。水確保では大変な苦労をしてきたわけで、日に3回シャワーを浴びるダイビング客にそれを知ってもらいたいものだ。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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