2024/06/07

【成功する沖縄移住】やんばる東村でのどかに暮らそ!

やんばるの太平洋岸に位置する東村は、人口1,500あまりの小さな村。山に囲まれていたり、アクセスが良くないことなどから、かなり隔絶感がある。それを逆手に取れば、都会の喧噪とはまったく無縁のカントリーライフが楽しめる。

大自然の奇跡マングローブ

東村はやんばる国立公園に組み込まれるなど、極めて自然豊かな地域である。その象徴ともいえるのがマングローブだ。
マングローブは、熱帯や亜熱帯地域の海水と淡水が交わる浅い泥地などに生育する植物の総称。
したがって、マングローブという種の植物があるわけではない。だが、極めて優れた特性を持っている。
そのひとつが塩分耐性を有していることだ。マングローブは塩分の高い環境に適応しており、塩分を排出したり遮断したりする仕組みを持っている。塩水に漬かったままでも生きていられるというのは漬物もびっくりである。
また、の発達具合もすごい。特に支柱根や呼吸根と呼ばれる根が発達していて、安定性を保っている。
水中に根を張る植物としては昆布やワカメが頭に浮かぶが、あのようにユラユラせず、多少の波ではびくともしないのだ。
さらに、マングローブの森林は波や風から沿岸地域を保護する機能を有し、土壌の侵食も防ぐので、津波や高潮の緩和にも役立っている。
こうした特性を持つマングローブは、多くの動植物に生息地を提供している。魚、エビ、カニ、鳥類などの多様な生物がマングローブに依存している。
というわけでマングローブを単なる植物ととらえるべきではなく、まさに大自然の奇跡とほめてあげたい。
そのマングローブのうち、オヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギの3種を見られるのが東村にある慶佐次湾のヒルギ林。ここは本島で最大規模のマングローブの林であり、国の天然記念物にも指定されている。
やんばる国立公園の一部である慶佐次湾のヒルギ林を含む一帯は東村ふれあいヒルギ公園となっていて、マングローブ林や周辺に生息する水辺の動物などを鑑賞することができる。

東村ふれあいヒルギ公園では、地元業者によってカヌー体験なども行われており、陸地だけでなく水上からマングローブ林の自然観察ができるとあって、かなり好評だ。子どもの自然・環境教育にも最適。

 

下見にも使える手ぶらキャンプ場

東村に住むことを考えた場合、下見も兼ねて何泊かしてみたいものだ。民宿やホテルでもいいが、おすすめなのはキャンプ場だ。
東村村民の森・つつじエコパークというところには炊事棟、トイレ・シャワーにコインランドリーまでついた、至れり尽くせりのキャンプ場がある。
電源付きのキャンプサイトも用意され、そちらだと車1台に定員7人までで4400円、電源なしなら2750円、プラス施設利用料が1人110円である。
それに、テント、シュラフ、鍋やかん、飯ごう、バーナー、テーブル、食器、椅子、BBQセットまで、あらゆるキャンプ用品を貸してくれる。
なので手ぶらで行ってもキャンプができるのだ。電源があるので、その気になれば、ここでしばらく生活できる。
東村は本島の東側、太平洋に面しているので朝日が見られる。だから、山の斜面にあるこのキャンプ場は、初日の出の隠れた名所で、大みそ日から元旦にかけては毎年予約でいっぱいになるという。
大みそ日に山の中でキャンプし、翌朝初日の出を拝むとは、さすが沖縄だろ、と自慢したくなるほどだ。

東村は太平洋と小規模な市街地、そしてパイナップル畑がセットになったような村。海から朝日が昇るので東向きのキャンプ場が初日の出の隠れた名所となっている(©OCVB)

キャンプ場の近くでは3月ごろになるとつつじが咲き乱れ、つつじ祭りも開催される。まずは観光で訪れてみるのもいいかも。

 

パイナップル栽培に参入できるかも

多くの人が知っていると思うが、沖縄のパイナップル生産量は全国一である。国内シェアに至ってはなんと99.9%だ。
県内でも東村のパイナップル生産量は石垣市に次いで第2位。堂々たる名産地である。
なぜそうなるかというと、土壌が適しているから。東村のあたりは水はけの良い酸性の赤土が広がり、パイナップルはこれを好むという。
そのため、50年くらい前から栽培が始まったのである。
ちなみに筆者の知り合いの移住者は、東村出身の奥さんの父親がパイナップル栽培をしていた畑1haを引き継ぎ、それを20haヘクタールまで増やし、ベトナム人従業員の手も借りて生産に力を入れている。
パイナップル栽培はきつい労働だといわれるが、それをいとわなければ、移住者にも食い込む余地があるかもしれない。

東村ではいくつかの種類のパイナップルが生産されているが、これはその一種のボゴール。いわゆるスナックパインで、甘味が強い。採れたての超新鮮なものが食べられるのは地元民の特権だ。

 

宮里三きょうだいが村税の3分の2を納付

東村といえば宮里三きょうだいの出身地として有名だ。聖志、優作、藍の3人のプロゴルファーである。
この小さな村から3人のきょうだいプロゴルファーが出ること自体が不思議である。パークゴルフという「モドキ」以外にはゴルフ場がないにもかかわらずだ。
三きょうだいの父親がレッスンプロだという背景が作用しているのは理解できるが、それ以外にゴルフと東村の有機的なつながりは見当たらないのである。
ただ、沖縄全体で考えると、ゴルフには高級な遊びというイメージがない。米軍統治時代にアメリカから入ってきたことで、気軽に楽しめる庶民的なスポーツととらえられてきた。
そのため、子どもにゴルフをやらせてもまわりから厳しい視線を浴びせられることもなかったのである。
その結果、宮里三きょうだいをはじめ、諸見里しのぶ、上原彩子、新垣比菜、比嘉真美子、比嘉一貴など、そうそうたる沖縄県出身プロゴルファーが輩出されたのである。
ちなみに、藍が引退して以降は未確認だが、それ以前は東村の税収の3分の2は宮里家が納めていたという。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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