【成功する沖縄移住】グータラなウチナー男を本気にさせる 夏の風物詩「ビーチパーリー」の魅惑
コロナ禍でやや下火ではあるが、ウチナーンチュが本気になる夏のレジャーがある。ビーチパーリーだ。日本語ではビーチパーティーだが、沖縄では英語風に発音する。戦後、アメリカ軍人が持ちこんだ文化を取り入れた例のひとつだ。夏の風物詩ともいえるこのイベントにはぜひ参加をおすすめしたいので、その魅力について紹介する。
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ビーチは海水浴ではなく宴会をするところ
ビーチパーリーは簡単にいえば、浜辺でのバーベキューパーティーのことで、ウチナーンチュはこれが大変好きだ。海はキレイだし、潮風は気持ちいい。肉はおいしいし、酒も進む。つまりビーチパーリーの定義は、浜辺でやるバーベキューを中心とした宴会である。ウチナーンチュはビーチを泳ぐところではなく宴会をするところと考えているフシがある
しかも、一般に女性よりも働かないといわれるウチナー男も、ビーチパーリーだけは真剣かつ気合を入れて行う。買い出しやセッティングから焼き、盛り付けまで、男性が取り仕切るのが普通だ。
ふだんはロクに働かなくても、ビーチパーリーでは上手に肉が焼けるというのが、ウチナー男の真価である。もちろん仕事の時よりはるかに真剣だ。テーゲー主義のウチナーンチュが本気になるほど、ビーチパーリーの魅力は奥深いのだ。
浜辺の大宴会の典型的な流れ
浜辺の大宴会は、まず買いものからはじまる。くり返すが、テーゲー主義のウチナーンチュでも、ここはいい加減にしない。きっちり肉、野菜、酒を仕入れる。クーラーボックスもちゃんと車に積んでいて、氷とビールを納める。
ビーチに着いたら食材を運びこみ、BBQ釜をセットする。大人数の場合はテントを張ることもある。運動会などで使われるあのでかいやつだ。準備が完了したら、とりあえずビールをぐっとあおる。だが、肉はまだ焼かない。
日が暮れるころになると、ほかの参加者が集まり始める。本番は太陽が沈んでからなのだ。真夏の直射日光のもとでビーチパーリーをやるなんて発想はウチナーンチュにはない。
風が涼しくなるころ、ついに釜に火が入る。次いでビニール袋に入っていた肉が、鉄板上に直接ぶちまけられる。「ジュッ」と派手な音がして、同時に香ばしい湯気が上がる。そして本格的な乾杯の後、みんなでアツアツの肉をほお張るのである。
その肉は基本牛肉であるが、豚肉、ウィンナー、焼き鳥、ホタテ、エビ、野菜、コーンなどもどんどん焼かれ、お腹のなかに消えていく。もうひとつ欠かせないのが焼きそば。これは沖縄そばの麺を使うのが普通だ。焼き肉のタレも染みて味は絶品である。
夜明けのビーチを散策する
酒が進むうちに話も弾み、どんどん盛り上がっていく。酒も肉もうまく、潮風も気持ちいいので癒されるというか、ストレス解消になる。
夜のビーチパーリーは2、3時間では終わらず、朝までやることも多い。これだと、忙しい人も遅い時間から参加できるのがいい。眠くなったらビーチに寝ころび、満天の星に見守られながら夢の世界へ落ちていくのである。
しこたま酒を飲んでいるので、車を運転して帰れないという事情もある。夜明けとともに起きて海岸を散歩するのもなかなか楽しい。
費用は居酒屋と同じくらい
北谷町のサンセットビーチで実際にやってみたので、それを例に費用を概算してみよう。
このビーチは管理がきちんとしていて、トイレ、シャワー、売店などの設備も充実している。テーブルにイスが設置されたビーチパーリー用常設テントもある。
さらに、食材なども用意してくれるので、事前の買い物すら必要ないという便利さもある。
食材はスタンダードプランが、牛カルビ、豚スペアリブ、豚バラ、鶏もも肉、ウィンナー、野菜、焼きそば、ライスまでついて、1人分2800円。ほかにテント代が5,000円と1グループにつき衛生費とかいうのが500円必要だ。
8人以上となっているので、頭割りにすると1人3,000円弱になる。飲み物は基本持ち込みだ。
しかし、BBQ器材はついているし、洗浄も不要なのがありがたい。したがって、飲み物さえ用意すれば、あとは手ぶらでもOKということになる。
ただ、BBQだけでは飽きるので、別途つまみも用意する。この時は刺身もあらかじめ買って行った。ビーチパーリーの脇役として人気のあるのは刺身のほかにサラダ、漬物など。島らっきょうや海ぶどうなども喜ばれる。つまり、参加者が家の冷蔵庫にあるものを適当に持って行くだけでOKなのだ。BBQ用の鉄板を使って、現場でゴーヤーチャンプルーを作り上げるつわものもいる。
ちなみに、この日は対岸のビーチで大花火大会が行われており、1万発の花火も楽しめた。もちろんこれはタダである。
選挙の集会も結婚式の二次会も、合コンも
ビーチパーリーは、単に親戚や家族、仲間が集まって飲んだくれるだけではない。さまざまなタイプの集まりに利用される、とても便利な習慣だ。たとえば職場の慰労会や打ち上げ、取引先の接待、クラス会、合コン、結婚式の二次会などでやると、ちょっと毛色が変わってみんなに喜ばれる。
以前取材で、あるビーチパーリーに飛び入り参加したら選挙の集会だった。まったく知らなかったので、飛び込んだ自分が驚いた。
県議会議員選挙の立候補者と支持者が集まり、立候補者は酔っぱらい相手に政策を説く。なぜかカラオケマシンが持ちこまれていて、マイク片手に熱唱する支持者もいたりして、なんの集まりかわからないほどテキトーなのが沖縄らしくておもしろかった。ちなみに、この立候補者は落選してしまった。
楽しいので、あらゆる宴会をビーチでやったらどうだろう。米寿祝い、お見合いパーティー、ヤクザの出所祝い、そして葬式。自分的には、そのまま海に散骨してもらってもかまわないのだが。
出生率に貢献、離婚率に影響も
ところで沖縄は結婚年齢が若いとされるが、その一因としてビーチパーリーでの出会いが多いことがあるという。ムードがよく、肉も酒も美味で、朝まで飲んでいたり、星空の下で語り合っていたりすれば、男女がデキないほうが不思議なくらいだ。ビーチパーリーで出会った2人が結婚するケースが多いのも、この宴会が楽しい証である。
そういうわけで出生率が高くなる要因のひとつがビーチパーリーといえるかもしれない。しかし、そのおかげで離婚も早く、シングルマザーの比率が高くなることにつながっているとしたら、デメリットもあるかもしれないが、メリットの方がはるかに大きいのはたしかである。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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