【成功する沖縄移住】やんばるへは爽快な海のドライブで行こう!
那覇の泊港と本部の渡久地港を75分で結ぶ船が運航されている。車の運転からも渋滞からも解放されるので、秋の行楽に使えそうだ。20年ぶりに復活したやんばる直行高速船のお話である。
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秋の行楽シーズンはハンドル握らずにお出かけ
10月も中旬になって朝晩少し涼しくなってきた。日中はまだ30℃くらいになるが、日差しは幾分やわらぎ、風にも秋の気配が感じられる。
夏の観光シーズンも終わり、これからはウチナーンチュの行楽シーズンである。今の季節の方が動きやすく、快適に楽しめるからだ。
しかし、コロナ禍が明けた今、観光地は混むし、道路も混む。車の運転は疲れる。バスはもっと疲れる。特に那覇あたりから北部へ向かう場合はそうだ。
そこで別の手段をおすすめしたい。第一マリンサービスという会社が運航する高速船・タクマ3である。
やんばるまで早くて安い
この航路が開設されたのは2020年なので、もう5年目になるが、現在、那覇港泊ふ頭(泊港)と名護漁港、さらに本部町の渡久地港を、沖縄本島の西側、東シナ海を通るルートで結んでいる。
泊港から渡久地港への直行便は距離約60km、所要時間は1時間15分、名護漁港経由では2時間である。
泊港-渡久地港間を車で行くと約80km、所要時間は高速経由で1時間20分ほどだ。時間的にはわずかながらタクマ3が早い。もちろん船なら渋滞もない。
風光明媚なコースを車の代わりに高速船で行くという感覚で「海のドライブ」という位置付けといえる。
乗船料は泊港-渡久地港で大人片道1,000円、子ども500円。泊港-名護漁港も同額。名護漁港-渡久地港は大人子どもともに500円である。
ちなみに泊港→渡久地港を車で行くとガソリン代と高速代の合計で2,500~3,000円、高速バスなら1800円。車との比較では大人2名までならタクマ3が、バスとの比較なら無条件でタクマ3の方が安い。
乗客のほとんどは美ら海水族館へ行くが・・・
このタクマ3、これまでは乗客の大部分が観光客で、渡久地港から車で10分ほどの美ら海水族館へ行く人たちがほとんどだったらしい。
それは当初から意図されていたようで、船腹には美ら海水族館のシンボルともいえるジンベエザメが描かれており、船の愛称もジンベエ・マリンとなっている。
まるで美ら海水族館の専用送迎船のようにも見えるが、そんな使い方だけではもったいないのである。
たとえば本部でレンタカーやレンタルバイクを借りて備瀬のフクギ並木、世界遺産今帰仁城跡、古宇利大橋などを巡るのもいい。
とにかく、ウチナーンチュが考えても那覇-やんばる間の移動で陸路を行かなくていいのが画期的だ。
久しぶりに登場の高速船に地元の期待度も高い
運航会社によると、タクマ3は「水中翼を装備した双胴船で、船体を浮上させることで推進時に発生する水の抵抗を軽減させ、安定した高速運航を可能にしている」そうだ。
そういわれると、沖縄県民のなかには過去に那覇-本部間に就航していた高速船を脳裏に思い浮かべる人もかなりいそうだ。
この航路には、1975年の沖縄国際海洋博覧会開催時にホバークラフトが運航されていた。
さらに1990年代にはジェットフォイルも就航していたが、採算性の問題から2000年に運航休止となった。それから20年ぶりに復活した高速船がタクマ3ということになる。
この船は出港から到着まで沖縄本島を右舷に見る航路をたどる。実際に乗ってみると、景色が非常にいいことが実感される。
特に中部の景勝地として知られる残波岬を海側から眺めるというのは、地元住民でもなかなかできない経験だ。
乗客へのサービスのため意図的に残波岬に近いコースを取るという。
また、渡久地港に近い本部港と、対岸の瀬底島の間にある狭い水路をゆったり通過するときの眺望もすばらしい。海面にトビウオやイルカが見られることもあるという。
冬場は北よりの季節風がまともに吹きつける海域でもあり、海況が厳しい日もあるが、一方で、この時期には巨大なクジラが近くに姿を現すこともある。
高速を売り物にしているだけでなく、景色や海洋動物との出会いを楽しみながら移動するというのがこの船の特色らしい。
久しぶりにこの航路に登場した高速船であり、観光的要素も持ち合わせるということで県民の期待度は高い。ぜひ一度乗ってみていただきたい。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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