【成功する沖縄移住】移住前に知っておきたい渋滞の実態
那覇空港および近辺で交通渋滞がひどいという。緩和のために国内線ターミナルにしかなかった高架道路が国際線まで延伸されたものの、効果は限定的と思われる。しかも問題は空港にとどまらない。渋滞は日常生活にも悪影響を及ぼすからやっかいなのだ。
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マイカー73%、公共交通5%の現実
那覇空港の乗降客数は年間2000万人を超えており、今年あたりは国内空港の中で5~6位、大阪国際(伊丹)を軽く上回り新千歳(札幌)に肉薄するほどになりそうだ。
乗降客数の伸びに伴って渋滞がひどくなるのは、まあ当然だ。さらに空港に限らず、本島全域で渋滞は深刻な社会問題になりつつある。
来月今帰仁村に新しいテーマパーク・ジャングリア沖縄が開業するが、それによる北部地区の渋滞激化も懸念されている。
沖縄への移住を検討するにあたって、多くの人が最初に夢見るのは、青い海に囲まれたスローライフだろう。
ところが、実際に暮らし始めると直面するのが、交通渋滞の現実というわけだ。
特に那覇市を中心とした中南部エリアでは、慢性的な渋滞と車社会特有の生活スタイルが根付いており、それを知らずに移住して戸惑う人も少なくない。
沖縄県が行った「パーソントリップ調査」によれば、沖縄本島中南部17市町村における平日の日常的な移動手段として、自家用車の利用率は72.5%にのぼる。
これに対して、バスやモノレール(ゆいレール)といった公共交通の利用率はわずか4.5%にとどまっている。
この数字は、沖縄が日本の中でも極めて自動車依存度の高い地域であることを如実に物語っている。
念のためつけ加えておくが、空港利用客だけの問題ではないのである。

那覇空港には駐車場が約2500台分あるが、満車になることも多く、あふれた車が渋滞に輪をかけたりする。
渋滞の主な原因とピーク時間帯
沖縄の交通渋滞にはいくつかの要因が存在する。ひとつは道路網の構造である。
沖縄本島は南北に細長く、那覇市や宜野湾市、浦添市といった中南部の都市に行政・経済・教育機能が集中している。
そのため、通勤・通学時間帯には国道58号や330号など主要幹線道路に車が集中し、渋滞が慢性化している。
とりわけ、平日の朝7時〜9時と夕方17時〜19時は渋滞のピークである。
那覇市から隣接する市町村への移動や、逆方向の通勤・通学ルートでも同様であり、通常10分で済む距離が30分以上かかることも珍しくない。

浦添市内国道58号線の朝の様子。元の片側3車線を4車線にする工事が進んでいるが、完了しても渋滞緩和にどれだけ貢献するか、まだよくわからない。
渋滞回避のコツと工夫
沖縄の交通事情に対応するには、住まい選びの段階から「渋滞を見越した立地選び」が必要である。
たとえば勤務先が那覇市内であれば、朝の渋滞を避けるためにモノレール沿線に居住する、あるいは朝6時台に出勤するフレックスタイム制度を活用するなどの工夫が効果的だ。
また、職住近接のライフスタイルを選ぶことで、移動時間そのものを最小限に抑えるという発想も有効である。
最近ではテレワーク可能な職種も増えており、これを前提に移住を計画する人も増加傾向にある。

那覇からだいぶ離れた北谷付近だが、58号線は夜でも渋滞が続く。車社会に加えて夜型社会であることも要因のひとつだろうか。
移住前に交通の現実を知る意義
移住という言葉には、「自由」「のんびり」「自然豊か」といったポジティブなイメージが伴う。
しかし実際には、日々の通勤、買い物、通院など、日常の移動が渋滞によって大きなストレスになることもある。
沖縄はその典型例であり、あらかじめ交通事情を知り、それに適応した生活設計を行うことが、移住成功のカギとなる。
今後は、公共交通の利便性向上や環境に配慮した移動手段の普及など、県全体としての取り組みも期待したいところだ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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