【成功する沖縄移住】貧乏だから豊かになった? 長寿県を支えた「食生活」
かつて沖縄は長寿の島といわれた。その要因のひとつは食にある。ではどんな食生活が長寿県を支えていたのか。長寿の島復活への道を思い描きつつ、考えてみたい。
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具体的には食材と料理法
長寿の背景にはすぐれた食文化があったわけだが、どうせ暮らすのなら、それに触れてみたい。
食べ物が合えば暮らしも快適だし、ついでにもっと健康になってしまおう。
この食文化というもの、ざっくり分けると食材と料理法となるが、その分類にしたがって、それぞれの特徴を見てみたい。
結果論の健康食材
よくいわれるように沖縄には健康食材が多い。だが、昔の人が「健康」を意識して食べていたかは非常に疑問である。
とにかく栄養をとること、つまり生きることに必死だった時代に「ヘルシー志向」なんて発想はなかったはずだからだ。
要するに、それしかないから食べていただけなのである。健康食とは、やっぱり粗食なのだ。
健康食が育まれた要因のひとつに、米が少なかったことがある。地形が稲作に適さず、しかたなくサツマイモを主食にした。
だが、サツマイモは米より栄養が劣るため、おかずで補わざるを得ない。だから、おかずになる食材を一生懸命探した。
ヤギ、へちま、よもぎ、ハリセンボン、熱帯魚、豚の耳……。普通なら食べる気にならないものも食べるようになったのである。
チャンプルーは合理的ですぐれた料理
いろいろな食材がそろうと、当然バランスがよくなる。それをいっしょくたにして少なめの油で炒める。チャンプルーだ。自然に健康的な食事になるのである。
もちろん健康食材は栄養的にもすぐれている。ミネラルをたくさん含む島豆腐、強い太陽の光を浴びて抗酸化力をきたえたゴーヤー、ビタミンやミネラルを豊富に含んだナーベーラーなど、数え上げればきりがない。
ただ、昔の人はこれらの効用を科学的に理解していたわけではなく、いわば経験から食べていたのだろう。
塩と砂糖少なめダシ多め
料理法の最大の特徴は、塩をあまり使わないことだ。昔主食だったサツマイモは甘いので、おかずの味が引き立つから、強い塩味をつける必要がない。
これが塩分摂取量をおさえることにつながった。日本人の塩分摂取量は一日平均12~13g。味がなくてまずいといわれる病院食で10gぐらい。それが沖縄では8gしかない。
塩分が少ない食事のせいで、沖縄県民の胃ガン死亡率は全国平均の半分だともいわれている。
主食が甘ければ、おかずを甘くする必要もないので、伝統的な料理では砂糖をほとんど使わない。黒糖の一大産地なのにである。これによって自然に糖分摂取量の少ない生活になった。
さらに汁物や煮物はダシを多用することでうまみをつけた。これも塩分摂取量の低下につながった。
ちなみに、昆布がまったく採れないのに消費量は全国全国でもトップクラスだ(調査年によって日本一も)。海の薬草といわれる昆布をダシに使うことも健康食につながったといえる。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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