【成功する沖縄移住】あえて辛口で解説「沖縄で働く心がまえ」
風土も文化も日本本土とはちょっと違う沖縄。そのため、働くにあたっては、本土とは違うある種の心がまえが必要だ。そのあたりを沖縄の労働環境にくわしく、人材育成事業などを手がける専門家の話も参考にしながら解説してみる。
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まずは、期待しないこと
まず最初に心に刻んでおきたいのは「期待しないこと」だ。
働くことを考えると、沖縄は楽園ではない。ここで働きたいなら、まず自分をしっかりマネジメントすることが大事だ。そのためには自分の能力を的確に知る必要があるし、それから沖縄の現状も正しく知らなくてはいけない。
沖縄の現状とはこういうことだ。まず大企業がなく中小零細しかない、製造業がない、サービス業は給料が安い。
給料が安くなるのだから、従来通りの給料をもらおうと思ったら移住前より働かなくてはならない。
たとえば東京で部長職で年収1000万円だった人が同じ給料をもらおうとしたら1500万円の仕事をしなくてはならない。収入が7割に減るなら、3割分は働いてカバーしなくてはいけないのだ。
一方で社員になるのではなく、企業とコンサルタント契約を結ぶような働き方もある。これだと個人事業主のようになるため、責任は重くなるものの、自由度は増す。
そう考えると、沖縄で活躍し、本土と比べても遜色のない収入が得られるのはプロフェッショナルだけということになる。
東京の企業で肩書きだけエライ人なんか沖縄では通用しない。本当の意味でのプロでなくてはいけない。
日本全体でも年功序列や終身雇用といった慣行が廃れつつあるが、沖縄はそういった流れの先頭を走っている。
つまり、沖縄はいわば周回遅れのトップランナーである。そういう認識と覚悟を持った人は転職も成功しやすいといえる。
感覚的には外国
それから、沖縄では社長とか取締役とか部長とか、そうした肩書きなんか通用しないと思っていた方がいい。そして経歴を笠に着るキャリア偏重者にとっては厳しい環境である。
それどころか夫婦共働きじゃないと食べていけないのが普通だ。だから収入も世帯で見る。
これは沖縄の産業がサービス業中心であることも関係している。サービス業は労働集約型で人件費などの労務費の割合が高くて利益率が低く、当然賃金も安い。
そういうことも頭に入れておかないとせっかく移住してきたのにキレて帰ってしまいかねないのだ。
企業文化、企業風土も独特である。
企業文化というのは社内で協調性があり、社員同士の仲がよくてやさしくて、あまり厳しくないということだ。
企業風土とは、無理はしなくていい、目標を達成しなくてもいいという気風である。
文化はいいとしても、風土がこれでは生産性が上がるわけがない。だから外から来た人は企業文化を維持しながら企業風土はよくしていく覚悟が必要だ。
いっそ、感覚的には外国だと思ったほうがいい。極論すれば、東京の視点からは「ここは日本じゃない」、沖縄の視点なら「東京が変なんだ」と考えるべきである。そのように割り切って働かなくてはならないのだ。
もうひとつ「ブルペンエースではダメ」というものある。ブルペンではいい球を投げるのに、実戦のマウンドに立ったら通用しないというのでは厳しい。
能力はあっても実戦では緊張してそれが発揮できない。これは実力がないということ。沖縄で通用するのは本当の実力がある人だ。
とはいっても東京で力を発揮できていた人なら沖縄で十分活躍できる。問題は仕事とはこうあるべきという「べき」が東京と沖縄では違うということだ。
たとえば仕事において時間を守るべきなのはどちらも同じ。でも東京だと10分前が一般的であり、沖縄は時間ちょうどでいい。それでも時間を守っていることに違いはない。
インドまでは行かないけど
そして沖縄で働く大きなメリットは「素が出せる」こと。というか素で勝負しないといけないのである。
妙に偉ぶって見せたりとか、ハッタリをかませようとか、自分を実際より大きく見せようなどと思わず、ありのままの自分で勝負するのがいいということなのだろう。
外国だと思ったほうがいいと前述したが、それでもインドまでは行かない。そこまでの違いはないのである。要は合う人と合わない人がいるということだ
そして「石の上にも3年」という言葉を頭に入れておこう。
いろいろ慣れないこと、違和感を持つこともあるかもしれないが、とにかく1年目はそれを飲み込んでひたすら沖縄から学ぶ。2年目はある程度自分の個性を発揮し始め、3年目からは素の自分を出すという具合だ。
それから「でわのかみ」はタブーである。
これはなにかにつけ「東京では、どうたら」とか「前の会社では、うんたら」などと口にする人のことを指すが、沖縄ではこんな人は嫌われるのである。
でわのかみにならず、3年は我慢する覚悟を持たないと沖縄での成功はおぼつかない。
専門を越えて、課題を解決できる人が求められる
さらにいえば、自分のことだけでなく、沖縄をよくするという気持ちのある人がいい。そして、できない理由を探す人より、できる方法を考える人のほうがいい。そういう人のほうが受け入れてもらいやすいだろう。
また、ふたこと目には「沖縄の人は、なんたら」といちゃもんつける人はNGである。なんたらの部分は「これだからダメなんだ」という言葉になるだろう。
それがある程度真実を突いている場合もあるだろうが、正論を振り回してはいけない。
そんなことをしていたら、せっかく移住してきて仕事に就けても、地元の人とぶつかるばかりでハッピーになれるわけがない。
求められるのはこのような上から目線の評論家タイプではなく、課題が100あればせめて10は改善しようとする実務家なのである。
自分の仕事ができればいいというスペシャリストよりも、なんでもできるというオールラウンダーな人材が求められる。
実際、沖縄で活躍するには領域を越えて仕事をしていかなくてはならない。
そういう人が沖縄が抱える多くの課題を解決し、沖縄をよくしていく原動力になれる。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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