2025/05/30

【成功する沖縄移住】今シーズンもうまかった生本マグロ!

初夏の沖縄、食べる名物のひとつが本マグロである。別名クロマグロと呼ばれるこの魚は美しい赤身と濃厚なうまみから「黒いダイヤ」とも称される。シーズンは終了しつつあるが、あまりにうまいのでまた紹介する。

 

黒潮が育む至高の味

沖縄の本マグロは、主に八重山諸島や久米島、与那国島周辺といった黒潮が流れる海域で漁獲される。
黒潮は温暖で栄養豊富な海流であり、この流れに乗って北上する本マグロは、良質な餌を十分に摂りながら成長する。
そのため、沖縄近海で漁獲される本マグロは身がしっかりと引き締まり、赤身のうまみと脂のバランスが極めてよい。
特に春から初夏にかけては、脂が乗りすぎず、すっきりとしたうまみが際立つため、刺身や寿司でその魅力を最大限に堪能することができる。
それと、本マグロといえば昔は築地、今は豊洲の市場で転がっている冷凍物をイメージするかもしれないが、沖縄のは一度も冷凍しないである。
したがって、東京あたりで出回る本マグロとは味が違う。どっちがうまいという話ではなく、それぞれの味わいがあるのだ。

冷凍ではなく、立派な「生」本マグロである。新鮮で強いうまみが特徴だ。

 

漁期と漁獲量

沖縄における本マグロ漁の最盛期は、春から初夏(4月~6月)にかけてである。
この時期、産卵のために沖縄近海へ集まるマグロが多く、漁獲量も比較的安定している。
沖縄県全体の年間漁獲量は、全国的に見れば決して多いとはいえないが、持続可能な漁業の観点から漁獲枠が厳しく定められており、資源管理が徹底されている。
地元の漁業者たちは資源を守りつつ、質の高い本マグロを市場に届けるための工夫と努力を重ねているわけだ。
ただし、県内には2025年4月1日から7月31日までの間に漁獲枠として203.2トンが配分されていたが、5月23日時点での漁獲量がその96.1%にあたる195.1トンに達した。
このため、県はこれ以上漁を続けると間もなく上限を超える可能性があるとして、5月24日から7月31日までの間、本マグロを捕ってはならないと停止命令を出した。
この命令に違反して本マグロを獲ったら、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が課される場合があるという。かなり厳しい罰則といえる。

泊いゆまちで買った本マグロの切り落とし。もちろん刺身としても十分うまい。

 

値段とその価値

沖縄産本マグロの価格は質や部位によって大きく異なるが、2025年現在、市場では1kgあたり3,000〜10,000円程度で取引されている。
特に脂の乗った大型個体は高値で取引され、那覇市の高級寿司店では、一貫あたり1,000円以上することも珍しくない。
しかし、その価格に見合うだけの価値と味わいを備えているのが、沖縄産本マグロの最大の魅力である。
地元の漁師たちは一本釣りで丁寧に漁獲し、船上での鮮度管理にも細心の注意を払っており、都心部の高級店に匹敵するクオリティを実現している。

泊いゆまち価格は税込500円だった。重さを計ってみると235グラム。100グラムあたり213円くらいである。爆安だ。

 

どこで買える?どこで食べられる?

沖縄で本マグロを味わうなら、まず訪れたいのが那覇市の牧志公設市場泊いゆまちといった魚市場だ。
新鮮な本マグロが並ぶ売り場では、刺身用の柵や寿司ネタを比較的手頃な価格で購入することができる。
漁期にはスーパーでも並ぶが、鮮度や値段の点では市場に軍配が上がる。
また、那覇市内の寿司店や海鮮居酒屋でも、沖縄近海で漁獲された本マグロを提供している店舗が多い。
中には季節限定で沖縄本マグロフェアを開催する店もあり、観光客や地元民に人気である。
沖縄の本マグロは、単なる高級魚ではない。それは、豊かな自然と人々の知恵、そして漁師たちの技術が結実した海の芸術品である。
味わえば、身の締まり、風味、脂の質に驚かされるに違いない。初夏には、旬の本マグロをぜひ味わってほしい。
その一口が、海からのかけがえのない贈り物であることを実感できるだろう。

泊いゆまちで売っている魚は本マグロのみならず、ほかの魚も安くて新鮮でうまい。ぜひどうぞ(©OCVB)

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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