【成功する沖縄移住】やんばる大宜味村でのびのび暮らそ!
100歳超えが群れをなし、健康パワーで膨らんだミカンがたわわに実り、伝統布がトントン織られ、世界に羽ばたく人材を育む。人口3,000にも満たない大宜味村は大きなポテンシャルを秘めている。そこに分け入ってみよう。
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80代はまだまだ若手と鼻で笑われる
大宜味は名護市の北側に接し、東シナ海に面した静かな村である。2024年4月末現在の人口は2,955。なのに100歳超えが20人もいるという、日本有数いや世界でもまれな長寿の里である。
長寿の理由のひとつは、野菜、豆類、海藻、魚、特産のシークヮーサーなどを食材とする伝統的な食生活だ。
特に、ゴーヤーや豆腐、昆布などは栄養価が高く、それらを使った料理は自然と低脂肪低カロリー食となる。生活習慣病のリスク低下効果があっても不思議ではない。
適度な運動も背景にある。大宜味の老人は働き者であり、家に引きこもっている人などほとんどいない。
いくつになっても畑に出て農作業に精を出す。日常的に身体を動かすことが健康維持に貢献している。
また、コミュニティの絆の強さもある。家族や地域住民たちは強い絆で結ばれており、日常的に支えあうことが安心感とストレス軽減につながっている。
もちろん、一年中温暖で海からの潮風がやさしく吹いて来るという環境が体への負担をやわらげ、快適な生活をサポートしている面も大きい。
こうした要因が組み合わさり、大宜味村民は元気に歳を重ねていく。地域行事などでは「80代? まだ若手ね」と笑われるのが普通で、長寿社会のモデルとして世界的にも注目されている。
健康長寿の源・シークヮーサー
シークヮーサーは直径3~4cmほどの小さなミカンで外観はスダチに似ている。
味は強烈な酸味と苦みが特徴だ。そのまま食べるのは厳しいので甘味を足してジュースにすることが多い。レモンの代わりとして魚料理に添えたり、泡盛に入れたりもする。
正月くらいになると黄色く熟して、甘くおいしくなるのだが、普通は夏から秋のうちに収穫する。というのもその方が栄養価が高いからだ。
シークヮーサーは沖縄では昔から健康食品として親しまれており、風邪予防や疲労回復などにも利用されている。加工品は特産品としてお土産などにも人気がある。
成分的にはノビレチン、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、クエン酸など、豊富な栄養素を含んでいる。
特にノビレチンとビタミンCには強力な抗酸化作用があり、免疫力の向上や老化防止に役立つ。
なかでもノビレチンの健康パワーは最近注目度が高まっている。血糖値の上昇を抑える効果があるため、糖尿病の予防にも役立つという。
さらに、ガンや慢性リウマチの予防や治療にも効果があることがわかってきている。
ただ、このノビレチン、シークヮーサーが熟して甘くなると減ってしまうため、夏場の青い状態で収穫した方がその恩恵を受けやすい。
沖縄最古の織物生産は後継者不足が悩み
大宜味村は伝統的な織物・芭蕉布(ばしょうふ)の産地でもある。なかでも喜如嘉(きじょか)地区の芭蕉布は1974年に国の重要無形文化財の指定を受け、織り手の代表的存在だった故・平良敏子は2000年、人間国宝に認定された。
芭蕉布の材料は、実のなるバナナの木の先祖といってもいいイトバショウである。
その茎から取った繊維を糸にして織り上げていく。布は軽くて通気性が良く、夏の衣服に適している。
芭蕉布は、数ある沖縄の織物のなかでも最古のもののひとつといわれる。そのため、技術の継承が課題だ。
沖縄戦で壊滅状態だった芭蕉布が復活を遂げたのは前述の平良敏子の功績が大きい。
だが、彼女も2022年に101歳で死去し、他の生産者の高齢化も進んでいることから、後継者問題はさらに切実になっている。
若い移住者が芭蕉布の継承に取り組みたいと手を上げれば歓迎されるかもしれない。
ちなみに喜如嘉にある芭蕉布会館は後継者育成を目的とした施設で、織りの工程などを実際に見ることができるので、興味のある人はぜひ訪れていただきたい。
のびのび育って最低限の教育コストで大学卒業
大宜味村は前述のように長寿の里である。しかし逆にいうと少子高齢化がものすごく進んでいるともいえる。
実際、2016年には村内にあった4つの小学校がひとつに統合された。中学校も従来から1校だけだったので、村内には小学校と中学校が各ひとつとなっている。
ただし、村内には高校がある。県立辺戸名高等学校だ。共学で普通科と自然環境科がある。
私立の学校はないし、進学塾もほとんどない。学校は公立だけで他の選択肢はないといっていいだろう。
ただ、保育園から高校までの教育は村内での完結が可能だ。極端な話、村から一歩も出なくても成人式を迎えることができるかもしれない。
大学に進みたいなら、一番近いのが名護市にある名桜大学だ。車なら20~30分程度なので、バイクか軽自動車でもあれば楽勝で通学できる。
大宜味村に子連れ移住もしくは移住後子どもが生まれた場合、村内に居住しつつ大学卒業までを最低限の教育費でまかなうことが可能というわけだ。
豊かな自然環境の中でのびのび育ちながら、受験戦争とは無縁の子ども時代を過ごすのも悪くないかもしれない。
大学出たらどうするか。それは個人の選択だが、世界に羽ばたく道もある。
それを実践した大宜味村出身の世界のカキ王・宮城新昌(みやぎしんしょう)の例を次回の記事で紹介したい。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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