2024/05/21

【成功する沖縄移住】やんばる今帰仁村でのんびり暮らそ!

本部半島北東部に位置する今帰仁村は人口9,000ほど。村とはいうものの、隣町の名護市中心部までは車で20~30分程度。そこは市場から大学までなんでもありの大都会で、日常生活に必要なものはなんでも揃う。今帰仁に住んで、車さえあればなんの不便もなく、のんびりゆったり快適に暮らせるだろう。

イクサに勝っていれば県庁所在地だったかも

1万人近くも住んでいれば「町」であってもおかしくないが、なぜかずっと村である。ただ、読谷が42,000の人口を抱えているのに村であることを考えると、不思議ではない。
人口はともかくとして今帰仁はやはり、どう考えても村である。そこで生まれ育った筆者がいうのだからまちがいない。
マクドもないしスタバもない。バスは1時間に1本くらい。中学は村全体で1校。ハブがいっぱいいて人間より多いかもしれない・・・
まあ立派な田舎であるが、わが村には実は世界遺産がある。今帰仁城跡だ。
今帰仁城(なきじんぐすく)は、かつて北山という王朝が拠点としていた城である。
北山は14世紀初めごろにはやんばる一帯を治め、現在は鹿児島県に属する与論島や沖永良部島あたりまで勢力圏下にあったという。さらに、明国との交易も行っていた。
当時の琉球は北山と、のちに統一を果たす中山、そして南山の三つの王朝が存立する三山時代であった。
15世紀には北山が中山との戦いに敗れて滅亡するわけだが、もしこの戦で北山が勝っていたら、琉球を統一するのは北山だったかもしれない。
もしそうなら、今帰仁は田舎どころか現在の那覇市のような県都になっていただろう。

標高約100mの丘の上に建造された今帰仁城。現在も城壁が残っており、曲線の優美さと東シナ海の美しさが織りなす絶景は多くのファンを虜にしている(©OCVB)

 

日本最貧クラスだが伸びしろは大きい

沖縄県の一人あたりの県民所得は、たまに46位になったりするが基本47位、つまり全国最下位が指定席である。
また、沖縄県内には41の市町村があって、そのランキングで見ると今帰仁村の一人あたりの市町村民所得は41位、つまり県内最下位である。
数字で見ると、令和3年度における沖縄県全体の県民所得は225.8万円、那覇市は259.6万円、今帰仁村は174.4万円だ。
沖縄県は全国最下位、今帰仁村は県内最下位、ということは今帰仁村は全国でもっとも貧乏な村ということになる。
前述のように筆者は今帰仁村で生まれ育った。だからといって、日本一貧乏などと自虐的にいっているのではない。
だからこそ、今後の伸びが期待できる、伸びしろがあるといいたいのだ。
そのひとつはこのサイトで何度も紹介しているジャングリアだ。
この新しいテーマパークは今帰仁村と名護市にまたがるゴルフ場の跡地にでき、2025年の夏に開業するという。
経営危機に陥った大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建で知られる森岡毅氏が中心になって進められているこのプロジェクトには、オリオンビールやリウボウなどの県内企業も出資。事業費は総額700億円規模にもなるという。
ジャングリアは開業時にアルバイトを含むスタッフが1500人ほど必要といわれるので、地元への雇用効果は大きい。また、それらの人の住まいも必要で不動産市場も活性化するだろう。
もちろんオープンすれば富裕層を含む観光客が多く訪れ、観光産業への波及効果も大きい。
ちなみに、ジャングリアについては民間の事業ではあるものの、沖縄県が策定した2022年度から2031年度までの10年間の振興計画でも、北部の「大規模テーマパーク」と明確に触れられている。
さらに、オープンに伴って車の渋滞も予想されており、その改善目的も含めて名護東道路の本部までの延伸がほぼ決まっている。
つまり、国や県が新しいテーマパークを支援する構図ができているので、その前途はかなり有望なのではないだろうか。
ちなみに名護東道路の延伸に関しては、今帰仁にもインターチェンジのひとつくらいはできるだろうから、それによる利便性アップも期待できる。

今帰仁村は本部半島の北東部に位置する。方角でいうと手前が東で奥が西。北側の海沿いに住宅地が広がり、南側に山が広がっていて、その山のあたりを名護東道路の延伸部が通りそうだ(©OCVB)

 

絶景の古字利島を日常生活に取り入れて

今帰仁の観光地としては、今帰仁城跡以外に古宇利大橋が有名だ。本島から古字利島へ渡れる橋である。
橋の両側に美しい東シナ海が広がり、さらに夕陽もきれいな絶景スポットだ。
その景色は神々しいほどで、見とれた遊覧ヘリコプターが水面に近づきすぎて、そのまま海に墜落する事故があったほどである。
ちなみに、古字利島は名護市に属すると誤解しているウチナーンチュもいる。古宇利大橋の南のたもとは屋我地島に接しており、屋我地島は名護市に属する。
つまり、陸路で古字利島へは名護市からしかアプローチできないため、名護市の一部と思われているのである。
これは、今帰仁村民にとってはおもしろくない誤解である。あの、神話と絶景に彩られた宝のような島が隣町にぶんどられたようなものだ。
そこで声を大にしていいたい。古宇利は今帰仁、今帰仁の北方領土なのである。
だから、村内に住んで、ときどきドライブや散策、海水浴、デート、あるいはそれら全部をしに行くのがおすすめだ。

古字利島の丘の上から古宇利大橋の全景を俯瞰する。海のあでやかさはこの世のものとは思えないほど。奥には屋我地島、さらにその奥に本島も見える。

 

軽1台あれば便利でゆったりした暮らしが実現する

とにかくいいところではあるが、暮らすことを考えると、現状では利便性がいいとはいえない。名護東道路の延伸もいつ実現するか不透明だ。
大型のショッピングセンターなどあるはずもなく、2店舗ほどの中規模スーパーと、数店のコンビニくらい。
娯楽施設としては今のところパチンコ屋が1軒あり、他には銀行と郵便局に総合病院が各1軒という具合だ。
したがって、ライフスタイルとしては、静かでゆったりした日常に、レジャーは豊かな自然と親しみながら、地元産の野菜をたくさん食べ、人情厚い人々とふれあい、満天の星空に癒されながら眠る、という感じがおすすめだ。

今帰仁村にはもちろん美しいビーチもたくさんある。ここは赤墓ビーチというらしいが、筆者らがプライベート感覚で使っていたころには名前すらなかった。

 

フクギ並木に抱かれた昔ながらの集落として本部町の備瀬が有名だが、今帰仁村今泊も近年知られるようになってきている。住む人の生活の息づかいが感じられるという点では、この今泊集落の方が上かも。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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