【成功する沖縄移住】移住後に働いたら「どのくらい稼げるのか」県民所得や家計調査で考えてみた
沖縄で仕事もせず、のんびり遊んで暮らせるなら、これは最高だ。まさに楽園である。しかし、働かなければならないのであれば、必ずしも楽園とはいえないのが、この島である。なぜ働く人にとって楽園ではないのか。それはもちろん給料が安いから、すなわち貧乏だからである。
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なぜ貧乏なのか
戦後アメリカ統治の時代が27年も続いた。アメリカが沖縄を占領したのは、アジアの軍事拠点にするためである。だから、島全体が基地という位置づけであり、アメリカ軍の都合が最優先された。
軍人の頭の中に、沖縄の産業や経済を発展させようという発想などあるわけがない。そのため、特に製造業が育たなかった。
モノ作りで高度経済成長をなしとげた日本の中で、この島だけが取り残されたのである。
もちろん、テーゲー主義が仕事の場では裏目に出ているのもたしかだ。東京のように身を削って必死になって働くという意識があまりない。
その結果、収入は増えない、だからモチベーションが上がらないという、悪循環にはまっている。ただ、モチベーションを上げようにも、その場がないのも実情だ。
所得は全国平均の7割、東京の4割
内閣府の調査によると、2020年度における沖縄の1人あたりの県民所得は 216万7,000円である。
これは全国平均の約7割で、東京都(521万4,000円)の約4割だ。しかもピークだった2019年度の 233万2,000円から額にして16万5,000円、率にして7%ほど減少している(コロナ禍の影響ももちろんあるだろうけど)。
ちなみに県民所得とは、1年間の給料やボーナスなどの雇用者報酬、利子などの財産運用収入である財産所得、企業の利益などの企業所得の三つを足し、それを人口で割って算出する。
つまり、県民の年間の稼ぎを頭数で割ったものだ。頭数には0歳児も働き盛りのお父さんも介護保険のお世話になっているオバァも含まれる。
したがって単純に考えれば、オバァに夫婦に小学生2人の世帯の場合、その世帯の合計県民所得は1,000万円を超えることになってしまう。もちろんこれは現実的な数字ではない。
ただ、零細企業に勤める30代の男性で年収200万というのはザラにいるので、地元で実感する労働者所得の最低ラインは、やはりこのくらいだ。
それでも8割が満足
さて216万7,000円を12で割り、月間所得を出すと18万円ほどになる。これから税金や社会保険料などを払うと考えると、手取りは14~15万円程度だろうか。
この額では1人ならなんとかなるかもしれないが、家族を持っていて、しかも家賃を払う立場だと大変だ。実際には暮らせないだろう。
それでもウチナーンチュはちゃんと暮らしている。なぜだろうか。それは共稼ぎだからである。県の家計調査によると、2020年における二人以上の勤労者世帯一世帯あたりの実収入は月平均39万162円だ。これならまあまあやっていける。
ただし、全国平均は60万9,535円なので、額で21万9,373円、率にして36%も下回っている。ちなみにエンゲル係数を見ると、全国平均が26%なのに対し、沖縄は29.7%と、やはり家計が楽ではない実態が見えてくる。
内閣府が実施した県民意識調査によると、沖縄県民の約8割が生活に満足しているという。所得は最下位なのに大部分の人が暮らしには満足しているのだ。経済関係のデータはひどいものばかりだが、それらは実相を反映していないわけで、住むにはやっぱりいいところなのだろう。
まとめ
・県民所得は1人あたり216万7,000円で全国最低
・共稼ぎ世帯の実収入は月39万162円で全国平均の3分の2
・でも8割の人が暮らしに満足している
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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