2022/12/14

【成功する沖縄移住】冠婚葬祭お金の相場について「結婚式のお祝儀」編

本土から沖縄に引っ越してしばらくは、金銭感覚を合わせるのに少し苦労するかもしれない。たとえばお年玉とか葬式のお香典などをいくら包めばいいのか、といった話だ。
今回は結婚式のお祝儀。相場的にいくらくらいなのかを考えてみる。結婚式もコロナ禍で下火になっているとはいえ、沖縄社会を快適に生きていくにはお付き合いも重要で、そのために金額をおさえておきたい。

 

出席者300人400人は当たり前

沖縄の結婚式は、本土とはちょっと様子が違う。違う点は、①披露宴の出席者が多い、②祝儀が安い、③黒字になったりする、④学芸会である、などの点だ。

披露宴の出席者が多いのは気取っていえば、人と人のつながりが強いからである。

はるかに遠い親戚でも、親の担任でも、新郎か新婦を取り上げた助産婦でも気軽に呼ぶ。その結果、新郎新婦が会ったことのない人も来る。場合によっては呼んでいない人も来る

ごちそうが食べられる機会だからと、食い意地の張った子どもを連れてくる人もいっぱいいる。なので300人400人クラスの披露宴になることもザラだ。

 

親族でなければ祝儀は基本1万円

さて、結論をいうと、お祝儀は通常1万円。全国的なレベルからすると破格の安さである。収入レベルも関係あるが、披露宴の出席者が多いこともその要因だろう。

プランにもよるが、一般に出席者が多ければ多いほどひとりあたりの単価が安くなり、新郎新婦の負担が少なくなる。たくさん呼んだほうが得なのだ。

とはいっても、祝儀が安いからたくさん呼ぶのか、たくさん呼ぶから祝儀が安くなるのかは、よくわからない。ただ、仮に祝儀相場が2万円とか3万円になったら、出席者が激減するのは目に見えている。

 

この額でハワイハネムーンも付いてきたりする

先に書いたように、出席者が多くなれば客単価は安くなるが、これがさらに進んだ結果、客単価が1万円を切ることもある。

たとえば300人来て、祝儀が300万円、客単価が8000円だったら、総費用は240万円で、60万円余ることになる。黒字になるケースもあるのだ。余った金で海外へ新婚旅行に行けたりするからすごい。

ちなみに、夫婦が子ども3人連れてきて祝儀は2万円、つまり家族5人で出すのは2万円というケースも見られるが、こんなのはシャレの範囲内。笑って済ませるのが普通だ。

東京あたりの感覚からすると、こんな結婚式事情は信じられないかもしれないが、たくさんの人が少しずつ、それほど負担にならない額を出し合って、若くて金のない2人を祝ってあげるという意味では、これが本来の姿なのだろうと、ウチナーンチュは思っている。

 

余興が見ごたえあるので1万円でお得

一方、沖縄の披露宴は余興がおもしろい。出し物の数も多く、大人の学芸会といってもいいほど。これを楽しみに出席する人も多い。飲み食いに学芸会が付いて1万円なら高くないという計算だ。もちろん会場には立派なステージが用意されている。

余興の種類としては、まず琉球伝統芸能がある。三線の演奏や歌、琉球舞踊、棒術や空手の形など。

それからジャンル不明の演劇コント手品踊り、ロックやジャズのライブ、キワモノでは人の頭で字を書く人間習字や牛の交尾のものまね、果ては男性によるストリップまがいのショーまで、なんでもありだ。

中にはモザイクをかけたくなるものや、公然わいせつで捕まりそうな出し物もある。

通常、余興の幕開けは琉球舞踊から。こちらは「かぎやで風」という古典音楽をバックに踊っているが、衣装が琉球風ではなく日本風なのがおもしろい。

 

芸達者ぶりはほとんどセミプロ

感心させられるのは芸のレベルの高さである。友人や親戚の結婚式があるからと、たとえば琉球舞踊や三線の教室に通ったりする。余興に人生をかける人もいるのだ。

そこまでいかなくても、仕事が終わった後の会議室で職場の仲間が集まって練習にはげむ光景はよく見られる。新郎新婦の職場仲間や友人たちは、本番に向けて猛特訓するのだ。

これは義務のようなものだから、参加しないとまわりから白い目で見られる。そんなことを何度もやっているうちに自然と芸達者になる。

そのため、見ている方はたかだか結婚式の余興なのに感動したりする。ほめられた方は図に乗ってさらに芸に磨きをかけ、次の結婚式でも大喝采を受け・・・というふうに余興のレベルがどんどん上がっていくのである。

シメはカチャーシーといって軽快なリズムの琉球音楽で踊る。花嫁も子どもも出席者もみんなで踊る。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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