【成功する沖縄移住】相続した実家をほったらかしにしないで
本土出身の人が実家を相続したものの、それを放置したまま沖縄に移住したらどうなるか。さまざまな問題が起きるのは目に見えている。それを防ぐにはどうすればいいのか。方向性を探る。
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実家を空き家にするとさまざまなデメリットが
今年2025年には、日本人の約3割が65歳以上の高齢者になるとされる。
これは、第2次世界大戦後の1947年から1949年に生まれた、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となるからだ。
さらに10年後の2035年には団塊の世代が平均寿命に達し、死亡者数が増加する。
これにより、超高齢化社会は一層進み、多死社会を迎えると考えられている。
親が亡くなった後、相続した人が実家に住むのであれば大きな問題にはなりにくい。
しかし、誰も住まない場合、実家は空き家となる。
そのまま放置すれば建物は老朽化し、庭は雑草に覆われ、廃屋同然の状態となる。
やがて家屋や塀が倒壊し、近隣に被害を及ぼす可能性もある。
その結果、損害賠償を請求される事態に発展することも否定できない。
さらに、誰も住まず利益を生まないにもかかわらず、固定資産税は課され続ける。
このように、本来は資産であるはずの不動産が、負担しか生まない負動産と化してしまうのである。
親の死後、実家が空き家になる可能性があるのであれば、親が健在なうちに対策を検討すべきである。
これは終活の一環ともいえ、まさに親子で行う終活である。
では、空き家になりそうな実家をどのように扱うべきだろうか。

空き家もここまできたらもう廃屋に近い。さっさと取り壊さないと近隣にも迷惑がかかる。
まず片づける
親が高齢になると、体力の低下や病気などにより、整理整頓が難しくなることがある。
家の中が散らかった状態を放置すると、親の死後にも悪影響を及ぼす。
故人との思い出が詰まった品々は、簡単には処分できないためである。
その結果、実家は空き家であるだけでなく、ゴミ屋敷化する恐れもある。
したがって、実家の荒廃を防ぐためにも、親が存命中に、できれば相談しながら生前整理を進めておくべきである。

これは筆者の生家で1962年にできた物件。15年以上空き家だったが、リフォームして賃貸に出すことができた。
リバースモーゲージを利用する
近年、テレビCMなどで目にする機会が増えたリバースモーゲージは、財産の大半が自宅の土地建物である高齢者が多い日本社会に適した制度として注目されている。
リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関から融資を受け、その資金を分割して毎月受け取る仕組みである。
受け取った資金は生活費として活用でき、借り手が亡くなった時点で自宅を処分し、借入金を清算する。
この制度を利用すれば、親は住み慣れた家で経済的な余裕を持って暮らすことができ、子どもは親の死後に実家の管理で悩む必要がなくなる。
また、国が創設した長期生活支援資金貸付制度は、公的なリバースモーゲージといえる。
これは65歳以上で土地を所有しているものの、低所得である高齢者を対象とし、土地評価額のおおむね7割を上限に融資が行われる。
融資期間中は返済義務がなく、借受人の死亡時などに土地を処分して返済に充てる制度である。

こちらは筆者の祖母が住んでいた家で1968年竣工。現在空き家でどうするか考え中。
いっそ売れるうちに売っておく
将来的に実家が負動産となるのであれば、親に老人ホームへ入居してもらい、実家を売却するのもひとつの選択肢だ。
親の心情や、相続人が複数いる場合には、話し合いが難航することも予想される。
しかし、売却によって得た資金の分配を明確にしておけば、後のトラブルを防ぐことができる。

おばぁんちの内部はまだ比較的きれいで、リフォームすれば住めそう。賃貸に出せれば富動産化できるかも。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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