2024/03/01

【成功する沖縄移住】暮らしも仕事も順調、未来に光を見た独身男性

関西のIT関連企業で働きながらも先を見通せない閉塞感から転職を考え始めたEさん。セミナー参加をきっかけに沖縄への移住と転職を果たす。転職に成功し、未来に光も見えるようになった男性の実例。

6年勤めていても立場は一番下だった

Eさんは兵庫県生まれ。12歳からバレーボールに打ち込んだバレー少年だったという。
高校を卒業し、いったん運送業界で働き始めるが、再度学ぼうと専門学校に入学する。
そこで簿記などを勉強した後、大阪にあるIT系の会社に再就職した。そこは地方公共団体向けのシステムを開発している会社だった。
しかし、残業が多く社員の年齢層も高く後輩も入社してこない6年働いたが最後までEさんが一番下の立場だった。業務量は増えるのにキャリアアップは望めない
将来が見通せない閉塞感のなかで転職を考えるようになった。当初は、とりあえず関西を出てほかの地域で働きたいと考えていて、その第一候補は東京だった。
転職に向けて求人サイトに登録したりして、職探しもしていた。しかし、沖縄県がIT系エンジニアの移住・転職を支援するためにやっているITキャリア沖縄セミナーに参加したことから、沖縄に意識が向くようになる。
もともと沖縄は好きだった。離島を中心に何度か遊びに来たこともあるし、宮古島で開催されたビーチバレーの大会を見たこともある。
大阪でITキャリア沖縄のセミナーに参加したあとはトントン拍子で話が進んだ。まず、2泊3日で実際に沖縄を訪れて会社巡りをするツアーに参加。
まわったなかでは現在働く会社がもっとも気に入った。社屋がきれい、キャリアアップが見込める、ことが理由だったという。
その後、再度沖縄を訪れて現在の会社の面接を受けた。この時点では採用は決定していなかったが、決まったら移住してくるつもりだった。
そこで面接に来たついでに住まい探しもした。気に入った物件があって、不動産屋が翌月いっぱいまで押さえてくれることになった。これはかなりありがたかったという。

 

風土と文化の違いに翻弄されつつも…

内定が出て、移住・転職が本決まりになった。電話と郵便のやりとりで住まいの契約も完了し、沖縄で乗るも大阪で購入した。
車と荷物を送ったのは12月頭。本人は12月20に引っ越しし、翌年1月4日には新しい職場に初出勤した。
実は引っ越すときに物干しざおを送った。「必要だと思ったから」だという。
関西から沖縄に物干しざおを送ると送料は1本数千円かかる。それも3本送ったのでかなりの金額がかかった。しかし、これが裏目に出た。
ベランダにかけていたら夜中に風のせいでガランガランとすごい音がして、結局洗濯ひもに変えたという。
「こっちの人は洗濯ひもをメインに使うそうで、知っていたらそんなに金かけて送らなかった」と悔やむが、これも文化の違いだと自分にいい聞かせて納得している。
買って間もないエアコンも送った。地元の業者に取り付けてもらったが暖房が機能しない。
沖縄とはいえ、1シーズンに数日程度は部屋に暖かい空気がほしいときもある。それがなくて移住後最初の冬は少し寒い思いをしたようだ。
水にも驚いた。地域にもよるが沖縄の水はおしなべて硬水である。一般的に日本人は軟水を好むといわれ、Eさんは沖縄の水が口に合わないと思った。最初は肌荒れもしたという。
物干しざおは使えない、冬は暖房がないとつらい、水が口と肌に合わない…。
いろいろ細かい計算違いはあるものの、大きなトラブルはない。とにかく転職がすんなり決まってよかったと思っている。
住まいは会社のある宜野湾市内だ。通勤には大阪で買った車を使っており、会社まで10分、渋滞しても20 分で着く。
8時に家を出れば会社着が8時20分。遅くとも8時半にはデスクに着いていることになる。
ちなみにEさんの勤める会社は従業員全員分の無料駐車場を備えているので、マイカー通勤になんの支障もない。「満員電車から解放されて、ものすごく楽

Eさんの職場がある宜野湾市にはトロピカルビーチというきれいなビーチがある。その気になれば終業後にここで夕陽を楽しむこともできる(©OCVB)

 

収入は3分の2だが自分の時間が持てるようになった

仕事は9時から。実は会社の周辺にはあまり飲食店がない。しかし、お昼ごろになると1階の正面玄関前に弁当屋が車でやって来る。そこで昼食を手に入れて社内の休憩室で食べることが多い。
終業は原則18時。会社が残業を月22時間までと制限していることもあって、大阪で働いていたころに比べて残業は激減した。
したとしても1時間程度である。そのため平日は19時前には家にいることが多い。土日はもちろん休みで、休日出勤はない。
ただし、収入は大阪時代に比べて3分の2になった。
基本給ではそれほど変わらないものの、たとえば以前の会社では住宅手当が2万円支給されていたものが今の会社ではなくなった。
さらに残業代が減ったので、手取額が3分の2になったというのである。
とはいうものの働く時間が大幅に減って、自分の時間が増えたことを考えれば「まあまあの額」と納得している。
ちなみに福利厚生面についても以前とほとんど変わらず、特に不満はないという。
会社では12人で構成されるチームのリーダーという立場だ。前職では6年勤めてもオペレーションだけで、上を目指すことすら叶わなかった。
それもあって管理職的な仕事をしたいという希望があった。それが沖縄の会社に入ってできるようになった。そこにやりがいを感じている。
また、以前の会社では将来も見通せない境遇だったとはいうが、実はそのときの経験が今役に立っている面もあるという。
今の上司からもそのスキルを生かしたり、よいところは積極的に取り入れるようにといわれている。
「前職での経験も生かしつつ、見るチームをもっと増やしていきたい。上長の部長は自分より2〜3歳上なだけだし、この会社なら自分が活躍できるチャンスがいっぱいあると思う」
一方で、沖縄に来て気づいたのは男性の仕事に対するモチベーションが低いことである。一般的に沖縄の男は女性に比較してあまり働かないといわれるが、その話にも通じるかもしれない。
「その状況を変えていきたいし、モチベーションの高い移住者とも一緒に仕事をしてみたい」と意気込む。

 

男女が一緒に楽しめるバレーボールを沖縄で広めたい

仕事が終わってからチームのメンバーと食事に行くことはよくあるが、お酒が飲めない体質だ。
もともとよくしゃべるタイプなので、それでなんとか場は持たせているが、実はけっこう気にはしている。
「沖縄にいるのに酒が飲めないとなったら付き合いに差し支えるかもしれない」と思っているわけだ。
しかし、それを逆手に取ってハンドルキーパーを買って出てありがたがられている。
したがって飲み歩く習慣はないが、趣味のバレーボールは続けている。増えた自分の時間をそれにもあてているという。
まだ特定のチームなどには所属していないが、休日や会社帰りにもバレーの試合や練習に顔を出すようにしている。
もちろん教えることもできるほどの経験と腕があることはいうまでもない。
「自分がむこうでやっていた混合バレーを沖縄でも広めたい」
混合バレーとは男女それぞれ3人ずつでチームを組む6人制のバレーボールである。性別の枠を越えて一体になって楽しめるので人気がある。
沖縄でもバレーボールは盛んなのだが9人制が中心で、混合バレーはあまり普及していない。
それを広め、全国レベルで戦えるくらいにしたいというのがEさんの夢なのである。

沖縄はビーチバレーも盛んで、近年では国体で優勝するくらいのレベルになっている(©OCVB)

 

ほとんどふるさとを沖縄に移したようなもの

沖縄に引っ越してきてまだそれほど月日は経っていないが、振り返ると移住・転職セミナーから物干しざおの一件まで濃密な経験をしており、そこから出てくる助言もある。
収入源を確保してから来ること

まずは仕事を決めてから移住してくるべきというわけだ。住むところを先に決めてしまうと、職場はその周辺に限定されてしまう可能性がある。
これではいい仕事が見つかるかどうか、かなり心もとないし、職探しに時間がかかって持ち金が減って焦ることになりかねない。
趣味を持って来ること

趣味があれば友だちができやすく、コミュニティも広がる。なにより趣味自体の楽しみも広がる。Eさんのバレーボールがいい例だ。酒が飲めなくても共通の趣味があれば仲間は増える。
寒いのがイヤだから、はNG

寒いのが苦手で暖かいところに住みたいから沖縄へ、という発想をしていると、想定外の寒さで震えることになる。
暖房なしで一冬を過ごした経験者ならではのアドバイスである。それらも踏まえて、沖縄暮らしの感想を次のように話す。
「食事もおいしいし、住むのになんの問題もない。車通勤で、家は高台にあり、会社は海の近くにあるので意外にガソリンを食うのが気になるくらい」
そしてなにより、移住して生活ストレスがなくなったことが本当にありがたいという。
「関西に比べると圧倒的に人が少ない。高いビルがないので圧迫感がなくて、空の広さが感じられる。空気はきれい。この3つだけでも生活ストレスから解放されるのに十分だった」とほっとしたような表情を見せる。
「将来的にはこっちに永住し、関西は遊びに行くところ、となるかもしれない」
そうなったら、ふるさとが沖縄に移り、生まれた関西はアウェーみたいになるのかも。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

著作の紹介

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