【成功する沖縄移住】ウチカビの火事騒動で思い出した追憶の「ウチナータバコ」
先日、那覇市内でウチカビを燃やしていたところ、火事だと思った人が消防に通報し、場所柄「ビル火災か!?」と消防車10台が出動する騒ぎがあった。
ウチカビは以前このコーナーでも取り上げた、あの世のお金であり、それを燃やすことでご先祖様に仕送りするものだ。その際の煙を見た人が火事と勘違いしたわけである。
その煙つながりで思い出したのが、沖縄だけで売られているウチナータバコである。今回はその話題を。
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県外で作っていてもウチナーンチュに愛される県産タバコ
なぜ沖縄だけで売られるタバコがあるのか。それは1972年の復帰前、つまり米軍統治時代の沖縄には琉球煙草、オリエンタル煙草、沖縄煙草産業といった民間煙草会社があり、それぞれがタバコの製造・販売を行っていたことにさかのぼる。
筆者が記憶している範囲では「うるま」、「バイオレット」、「ハイトーン」などの銘柄があった。
その後、復帰にともなってこれらのタバコの製造・販売は日本専売公社が引き継ぎ、那覇工場で生産が続けられた。
専売公社が民営化されてJTになった後も同様だったが、那覇工場は2004年に閉鎖され、その後、前記の3銘柄は県外工場で作られるようになった。
したがって、俗に県産タバコともいわれるのに実は県外産という、妙なことになっている。
かろうじて残っている1銘柄
どこで作られているかはともかくとして、タバコいじめが激しさを増す21世紀に、復帰後50年以上経ってもウチナータバコが存在し続けているのは、県民の愛着がそれだけ深いからだろう。
ただし、前述の3銘柄のうちハイトーンは2011年に、バイオレットも2018年に販売を終了している。
つまり現在も売られているのは、うるまだけということになる。
骨太でガツン、汗や魚の風味も
ウチナータバコの味は、かなりきつめである。マイルドセブン(現メビウス)などに代表される、軽やかでやさしく繊細な味とは対極にある、骨太でガツンとくる、インパクトのある味だ。
「あんなのはブルーカラーの吸うタバコだ」という人もいるが、たしかになんとなく汗の匂いがするのは不思議である。魚の臭いがするという人もいる。
金持ち高校生はマイルドセブン、ボンビーはウチナータバコ
ウチナータバコは値段も安かった。昔の高校生は、金持ちは甘くておいしいマイルドセブン、貧乏人は辛くて臭いハイトーンというのが常識だった。
学校にハイトーンを持ってくるやつは笑われた。マイルドセブンを入れたカバンを教室に置いていたら、いつの間にか箱の中身がハイトーンに変わっていたこともある。
そのとき泣きながら吸ったハイトーンが実は青春の味だったのだと、40年あまり経った今、実感している。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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