【成功する沖縄移住】「イルカ」を食べるのも文化という話
3月に入って最高気温が20度を超える日が続いていて、春というか、ほとんど初夏の陽気である。
この時期になると思い出すのが名護湾のイルカ漁(もしくはイルカ狩り)である。イルカを獲って食べることの是非はともかく、ひとつの文化として紹介してみたい。
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名護人の血を沸騰させる、驚くべき海の恵み
沖縄には今でもイルカ肉を食べる習慣が残っている。「今でも」とわざわざつけたのは、昔ほど盛んではないが、という意味だ。
イルカ狩りが行われているのは、本島北部の名護市である。
漁場は東シナ海に面した名護湾で、昔は3月から5月にかけて、ここにイルカ(正確にはゴンドウクジラらしい)の群が押し寄せ、町役場の鐘の音を合図に、海人はもちろん、農民も公務員も学校の先生もヤリを持って海に飛びこみ、血マナコになって仕留めていた。
そのため、ふだんはおだやかで七色に輝く名護湾が、この時ばかりは血に染まって、赤く沈んでいたものだ。
人まで血を流すこともあったとか
狩りの狂乱の中でイルカだと思って突き刺したら人だったという噂や、黒い服を着て名護の街を歩くとイルカと勘違いされてヤリで刺されるという冗談もあった。
なので、沖縄ではイルカのことをヒートゥというが、ヒートゥ狩りがヒト狩りに聞こえてあらぬ誤解を生んだという話にも真実味があるのだ。
ちなみに名護あたりではピトゥまたはピットゥともいう。
町長が吊し上げられたことも
名護が市ではなく町だったころの話である。
ある年はイルカが名護湾にまったく寄ってこなかったという。貴重なタンパク源もしくは現金収入が得られないので、町民は不満をため込んでいた。
そのはけ口となったのが町長だった。「イルカがこないのは町長に人徳がないせいだ」というのである。
無茶苦茶な話である。イルカが寄ってこないのはイルカのせい、もしくは環境悪化のせいなのに、町長は罵詈雑言を浴びせられたり、町民に責められたりして大変だったようだ。
不満のはけ口としてスケープゴートにされたのではたまったものではない。だが、イルカの動静は、町にとってそれほど重要だったことがわかる。
今は120頭制限で漁が行われている
昔は特に制限がなく、獲りたい放題だったが、今は120頭の制限枠があり、1994年以降は許可を得た6隻の漁船だけが漁を行っている。
ただし、水揚げの9割が「クジラ肉」として本土に出荷されているため、沖縄でもイルカの肉は貴重品になっている。食べられるのはほとんど名護だけといっていいだろう。
環境保護団体はやはり怖い
でも、さすがに暴力団より恐ろしい環境保護団体にかみつかれるとヤバイと考えているらしい。
そこで、現地ではイルカのことを「なごり雪」と隠語で呼んでいるという噂もあるが(イルカの曲なので)、真偽は定かではない。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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