【成功する沖縄移住】厳寒の冬至には鬼の餅を食べて邪気払い
今日の沖縄は寒い。この記事を書いている12月19日の昼12時の気温は16度だ。これは暖房なんて考えないウチナーンチュにとっては極寒である。そういえばあさっての21日は冬至。冬至は第3の正月なのだから寒いのは当然だ。
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冬至は正月だ!
沖縄には3つの正月があるといわれている。新暦および旧暦の正月と冬至正月(トゥンジーソーグヮチ)だ。
また、冬至は一年で最も夜が長い日であり、この日以降昼が長くなっていくことから、太陽が再び力を取り戻していく節目ともされている。
このため、冬至を祝う行事には新しいエネルギーの到来を喜ぶ意味も含まれている。
こうしたもろもろから、沖縄には冬至の日を祝う風習がある。特別な料理を準備して家族で食べるのだ。
たとえば、沖縄そばやジューシー(炊き込みご飯)、豚肉料理などが並ぶことが多い。
冬至に鬼餅を作ることもある
また、地域によってはムーチーや、もち米を使ったお供え物を作ることもある。
正月だ太陽復活の日だといっても、現代では冬至を祝う家は少なくなっているが、ムーチーを作る家庭は今も見られる。
鬼餅とも呼ばれるムーチーには邪気を払う力があるとされ、家族や子どもの健康を祈るために作られる。
特に小さな子どもがいる家庭では、餅を吊るす習慣があり、餅を家の柱や梁に吊るして健康を祈ったりする。
なお、ムーチーについては新暦の冬至に作るほか、旧暦の12月8日に作る場合もある。
いずれも基本的には同じもので、蒸して作った餅をサンニン(月桃)の葉で包んだものだ。
味はプレーン、黒糖、紅芋などいくつかある。混ぜる素材によって色が変わるのも視覚的におもしろい。
鬼嫁ならぬ鬼兄を退治して村人を助けた妹
ところでムーチーには由来となった物語があるので、それを紹介しよう。鬼兄弟の伝説とも呼ばれるものだ。
昔、沖縄のある村に兄妹が住んでいた。しかし、兄は鬼のような怪力を持ち、その力におごり高ぶり、村人たちに恐怖感を抱かせていた。
兄は次第に心も鬼のようになり、村の人々を傷つけたり、妹に対しても横暴な振る舞いをするようになる。
心を痛めた妹は、村人たちを助けるため、兄を退治する決意をする。妹は餅を作り、その中に鉄の釘や硬いものを仕込んで兄に食べさせた。兄はその餅を食べて苦しみ、最終的に命を落としたという。
その後、妹は兄の霊を弔い、邪気払いのために村人とともに餅を供えるようになった。
この餅がムーチーとして広まり、健康祈願や厄払いの象徴になったといわれている。
時期になるとスーパーでも売っている
なお、サンニンの葉には抗菌作用や香り成分が含まれており、この葉で餅を包むこと自体にも邪気払いの力があるとされている。
また、この香りが餅に移り、ムーチー独特の風味を生み出しているので、子どもたちのみならず、大人にもぜひ食べてみていただきたい。
なお、正直ムーチーを作るのは面倒くさいのだが、時期になるとスーパーでも売られているので気軽に食べられるからどうぞ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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