2023/04/11

【成功する沖縄移住】夏は「かりゆしウェア」を着て地球を温暖化から救おう

きのう4月10日月曜日、沖縄県警の警察官が夏服に衣替えし、本部長が服装チェックをしたというニュースが流れていた。お巡りさんを始め、もう衣替えの季節なのである。そして、沖縄における夏服といえばかりゆしウェアが代表選手。長い夏をのりきるには不可欠といってもいいこのアイテムの知識は、きちんとおさえておきたい。

 

アロハっぽいがハワイのパクリではない

かりゆしウェアは、いわば沖縄風アロハシャツである。

ハワイのファッションをまねた、悪くいえばパクったともいわれるが、それはまちがい。

ハワイのアロハシャツそのものが、日本人移民の発明品といわれるからである。

初めて発売したのも日系人経営の店だった。もともと日本人の感性が生んだファッションなのである。

 

かりゆしにネクタイしてたら変な人

かりゆしウェアは半そで開襟で、胸ポケットがつき、すそは短めにカットされている。ズボンから出して着るのを想定しているからだ。

もちろんネクタイは想定されていない。かりゆしにネクタイをしめていたら変な人と思われかねないので、ご注意を。

というか、日差しの強烈な沖縄の夏にネクタイスタイルは合わない、というネクタイ否定の発想から生まれたのである。

さらに沖縄観光をアピールする目的もあるので、柄はゴーヤー、ハイビスカス、シーサー、染め織り物など、沖縄の自然や文化がモチーフだ。

半袖開襟、短めの裾というのがかりゆしウェアの基本スタイル。色がピンクとかであっても違和感がないのは南国沖縄だからかも。

 

ルーツは70年代だがブレークは2000年

原型は「おきなわシャツ」という名称で1970年ごろには発売されたが、あまり普及しなかった。

海洋博の時に質のよくないアロハシャツが大量に入りこんできて、その安っぽくて粗悪なイメージが足を引っぱったともいわれる。

しかし、デビューから30年もたった2000年に沖縄サミットが開催され、この時に各国代表が着たことがきっかけで一気にブレークした。

 

温暖化防止ファッションとして全国区へ

その後、地球温暖化防止のためのクールビズ推進にからんで、環境大臣と沖縄担当大臣を兼務していた小池百合子氏が、かりゆしウェアを強力にプッシュし、当時の小泉純一郎首相も着て、全国的に知られるようになった。

地球温暖化防止という世界的テーマとのかかわりは、ノーネクタイで涼しいかりゆしを着ることで冷房の設定温度を上げて、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を減らすというものだ。

それがどのくらい効果があるかはわからないが、ウチナーンチュにとって夏場過ごしやすくなったのはたしかである。

今では一般企業はもちろん、官公庁、銀行、放送局、航空会社、旅行会社、学校、タクシー乗務員、バス運転士、フリーター、犬まで、県民をあげて着まくっている。

もちろんビジネスマン・ビジネスウーマンの制服として認められているし、地元テレビ局のアナウンサーもかりゆし姿でニュースを読む。

近年は喪服バージョンも登場している。さすがにまっ赤なハイビスカス柄などではなく、黒いやつだが。

かりゆしにタイトスカートは沖縄OLの制服のようなもの。ただし、写真のモデルは現役女子高生である。

 

デザインのダサさをどうするかが課題

とはいえ、若者を中心にかりゆしウェアを好まない人もいる。その原因はデザインのダサさだ。

かりゆしは沖縄県産で沖縄的な柄でなくてはならないとされる。県産はいいとして、柄を制限されるとキツい。シーサーやかすり柄ばかりではうんざりするに決まっている。

あぶらぎったオヤジが、ハデハデで田舎臭い柄のかりゆしにネズミ色スーツのズボンを合わせて着ているのを見ていれば、若者が避けたがるのはあたりまえだ。

機能性はともかく、ファッション性は今ひとつだったのである。そこで、形はかりゆしだけど柄は沖縄から解放されたデザインのシャツが売り出され、けっこう人気を博している。

 

値段高めなので模造品はんらんの心配も

値段だが、数千円から1万円を超えるものまで幅広い。布地が手織りだったり手染めだったりすると高くなる。

だが、ウチナーンチュの感覚では、やや高いと思う。平和通りでは似たような柄のアロハシャツが1000円ほどで売られている。

10枚ぐらいまとめ買いすれば2、3年は着れるだろうから、こっちの方がお得と考える人も多いだろう。

それより、人件費の安い外国で密かに大量生産し、県産を装って安く販売すれば、きっともうかるだろう。

「かりゆしウェアの密造業者逮捕」「大がかりな密輸シンジケート摘発」「暴力団の資金源? 逮捕のバイニンが供述」などといった見出しの記事が新聞をにぎわせるようになったら、それはそれでおもしろいかも。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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