2023/04/16

【成功する沖縄移住】文化への理解も人間関係もうまくいく「三線」マスターのすすめ

すでに4月も半ばなので1か月あまり前になるが、3月4日は三線(さんしん)の日だった。毎年この日は、県内各地で合同演奏会などのイベントが開催される。自分自身は沖縄で生まれ育ったにもかかわらず、まったく弾けないのだが、移住者にはぜひ三線をマスターしていただきたい。伝統文化への理解が深まるし、地域社会へも溶け込みやすくなるからだ。

 

サムライが刀よりも愛した楽器は沖縄の心を奏でる

その昔、日本の武士の家では床の間に刀を飾ったが、琉球では三線を置いたという。三線は士族階級の典雅なたしなみだったのだ。

もともと三線は13~14世紀ごろに大陸から琉球に伝わり、17世紀の初めごろにはほぼ現在の形として完成した。

その後、日本本土にも伝わり、三味線に発展したともいわれる。三線の材料であるリュウキュウコクタンやニシキヘビの皮が日本では手に入らないため、紫檀や猫の皮で代用したのだという。

 

人工皮なら1万円で手に入る

ちなみに三線の材料も現在では輸入品に頼っている。値段的には蛇皮張りの一番安いタイプで3万円くらいだろうか。高いものは数10万円もザラだ。

蛇皮を使うと値段が高くなる上に、年数が経つと劣化してメンテナンスや張り替えが必要になるので、まず気軽に始めたいという初心者には人工皮がおすすめだ。これなら1万円ぐらいから手に入る。

ただし、プロにいわせると、やはり音のよさでは蛇皮にかなわないので、上達したら蛇皮製に替えるのが望ましいとのこと。

また、終戦直後の物資のない時期に、空き缶を利用して作られたカンカラ三線というのがあって、今も売られている。練習用としてはこれでも十分だ。キットなら5000円程度でも買える。

さらにミュージシャンの熱いご要望に応えてか、エレキ三線も登場した。それなら従来のをアコースティック三線と呼ぶのだろうか。

沖縄伝統芸能の核ともいえるのが三線。この店では入門用に1万円ちょっとの値が付いていた。教室代含めても3万円くらいから始められる計算だ。

 

値段も良心的な三線教室に通ってみよう

では三線に興味を持ったとして、どのように始めればよいだろうか。マスターへの一番の近道は三線教室に通うことである。

沖縄音楽の魅力が知られたためなのだろうが、三線を習う本土出身者が増えているようだ。

中には、女性にモテたいからという男性もいるらしい。コンタンはともかく、琉球伝統文化の中では、比較的入りやすいのはたしかである。弦の数が半分なので、ギターより簡単そうだし。

受講料は10回で2万円くらいが基本。1回2000円なら良心的だろう。

ただ、これは初歩の初歩で、「咲いた~咲いた~チューリップの花が~♪」みたいな曲の練習から始まる。そして簡単な琉球民謡がいくつか弾けるようになったら卒業だ。本格的にハマるのは、その後になるだろう。

失礼ながら普通のおばさんが三線を教えている場合もある。それを若い女性が習っている。何気ない風景だが、こうして伝統文化が継承されていくのはすごいと思う。

 

ウチナーンチュにこそ習ってほしいくらい

三線を習うことには大きなメリットがある。音楽はもちろん言葉習うことになるので、琉球文化に対する理解が深まり、広がっていくのである。

その意味でも入り口としてちょうどいい。自分のようなウチナーンチュにこそ習ってほしいと思うくらいである。

ちなみに三線を核とする沖縄音楽には、いくつか種類がある。琉球古典音楽、琉球民謡、八重山民謡などだが、それぞれまったく違う。

師匠には、それぞれ得意とする分野があるので、自分がなにをやりたいかをはっきりさせてから、教室を選ぶ必要がある。

教室の看板には「なんたら流だれだれ琉球古典音楽研究所」とか「だれだれ八重山民謡研究所」などと書かれているので、参考にするといいだろう。

三線の名手には人間国宝もいるし、故・登川誠仁さんは早弾きの名手で沖縄のジミー・ヘンドリクスと呼ばれた。達人は、むっちゃくちゃレベルが高いのだ。

 

どうしても無理ならエア三線で

自分も、やんばるのエリック・クラプトン目指して、独学で始めたことがあるが、なぜか手が震えるため、すぐに挫折した。

先日、スナックでエア三線の演奏を披露している青年がいた。エアギターのパクリだが、60代と思われるホステス3人に大受けしていた。

これなら三線自体を必要としないからタダである。自分もエア三線にしようと思う。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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