2023/06/08

【成功する沖縄移住】時間に縛られない生き方「ウチナータイム」とはなにか

南国は時間がゆっくりと流れ、人々もおおらかで時間にあまり厳しくないイメージがある。たしかに、沖縄にもそんな傾向がある。その象徴がウチナータイムというやつだ。時間に厳しくないといえば、なんだか美点のようにも聞こえるが、逆にいえば遅刻魔だったりもするわけで、相手にとっては迷惑この上ない。この二律背反というか、美点欠点両面を持つ特性について解説してみよう。

 

飲み会が時間通り始まることはまずない

ウチナータイムは、直訳すれば沖縄時間だが、簡単にいうと約束の時間に平気で遅れることである。

代表的なシチュエーションが飲み会の時。かつて、携帯電話が普及する前には、次のようなケースは毎度のことだった。

開始時間に居酒屋へ行くと、だれも来ていない。ナイチャーはここで面食らう。「時間を間違えたのだろうか。いや店を間違えたのか。そもそも日を間違えたのか。それとも飲み会の話自体が幻覚で、自分は若年性認知症ではないだろーか」

しばらく待っても誰も現れない。自分の頭を疑いつつ、家に帰る。翌日、飲み会に誘ってくれた友人から電話が入る。

「おまえよ、なんできのう来なかったばー? せっかく会社の女の子紹介しようとしてたのによ、はっしゃ、おまえが来ないからやー、その子もワジてた(怒ってた)ばーよ、フラー(ばーか)」

参加者が集まり始めたのは、予定の時間から30分以上経ってからのことらしい。ウチナータイムを知らなかったための失敗である。

といっても、本来は遅れた方が悪いのであって、失敗とはいえない。それを相手のせいにしてしまうところが、ウチナーンチュパワーだ。

ざわわ~と、サトウキビ畑に吹いてくる南風のように、時間にとらわれず自由に生きられたらいいわけだが、そうもいかない。ただ、ウチナータイムにはその雰囲気だけはあるということだろうか。

 

仕事で5分10分遅れてもあまり怒られない

仕事でも5分や10分遅れるのは日常茶飯事である。遅れたからといってとがめられることもあまりない。

県内でも優良な企業の営業マンに、このあたりを聞いてみると、次のようにのたまった。「客? 子供の保育園に弁当届けてから行くから、待たしとけ」

県内の学校では子供たちにこう教える。「東京の電車は分単位で走っている。だからちゃんと時間は守りなさい」

実際は、駅のホームで次のようなアナウンスを聞くことがある。「3番線内回り電車は8時13分半の発車です」。

「半」は30秒のことだろうから、厳密にいうと秒単位のスケジュールだ。すごい。ウチナーンチュの思考能力を越えている。

ただし、念のためいっておくが、仕事のアポで30分や1時間も遅れることはさすがにない。そこまでやると経済活動がうまくいかなくなる。

ところがナイチャーには勘違いする人もいて、仕事のアポなのに平気で遅れて来る人がいるのは、逆の意味で問題だ。

 

路線バスはかなりヤバイ

沖縄のバスはもっとすごい。時刻表は分刻みだが10分や20分は平気で遅れる。

だが、怖いのは時間より早く来る場合だ。渋滞を見越してダイヤを組んでいるが、意外に道路が空いていた場合にこんなことが起こる。そして、時間調整せずに時刻表より早く行ってしまったりする。

それどころか、客の少なさを見越して運行自体をやめることすらある。いわゆる間引き運転というやつで、法律に違反する行為だ。それで監督官庁からだいぶ怒られていた。経営が苦しいので、燃料代をおさえようという発想かもしれないが。

結果的に、バスがあてにならないので車で動く人が多くなり、道路が混んでバスのダイヤがむちゃくちゃになる、だから車で…という悪循環だ。ちなみにモノレールではこんなことはない(はず)。

 

本当に悪い習慣なのか?

時間を守ることは、一般的に美徳とされているが、分単位秒単位で時間を切り売りするのが大都会の生活、といえなくもない。

これはもしかして、人生という時間を売り飛ばして生きているのかもしれない。最終的に得られるのは小さな家と年金ぐらいか。

ウチナーンチュは、そういうことをしない。大切なのは時間よりも自分の人生であり、家族である。多少は他人に迷惑をかけるかもしれないが、それがどうした、お互いさまではないか、というのが本音だ。

ウチナータイムとは、効率を極限まで追求する社会へのアンチテーゼでもある(かも)。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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