【成功する沖縄移住】初代琉球国王は源頼朝のいとこって、本当?
初代琉球国王と鎌倉幕府を開いた源頼朝はいとこ同士という話がある。本当かどうかはさておき、意外性に富んだ興味深い話なので、紹介しておきたい。
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舜天は源為朝の子?
琉球王国の初代国王とされるのは舜天(しゅんてん)という人物で、13世紀初頭に登場したといわれる。
彼に関しては多くの伝説や仮説が存在するが、中でも特に有名なのが「舜天は源為朝(みなもとのためとも)の子であり、源頼朝のいとこ」という説だ。
この話は、史実というより伝説や民間伝承の色合いが強いものだが、琉球と日本の歴史的つながりを象徴する逸話として語られてきた。

源為朝は身長2mを超える巨体で、父親が扱いに困るほどの乱暴者だが、弓の名手でもあったという(想像図)
為朝は頼朝・義経の叔父さん
源為朝(1139年–1170年?)は平安時代末期の武将で、鎌倉幕府を起こした源頼朝やその弟義経の叔父にあたる人物。
武勇に優れ、身長2mを超える巨体も相まって「鬼武者」とも称されるほどの武人だったという。
ところが、1156年に起きた内乱、いわゆる保元の乱で敗れ、伊豆大島に流されてしまう。
そこでおとなしくしているかと思いきや、生来の気性の荒さから大暴れして、伊豆諸島一帯を支配下に治めたという。
その後、追討を受けて自害したという説もあるが、実は脱出して琉球に流れ着いたという話もある。

為朝が上陸した今帰仁村の運天港は現在、大型フェリーが出入航を繰り返す沖縄の重要港湾のひとつになっている。

港の近くには為朝の上陸記念碑がある。大正11年に建立されたもので、日露戦争を勝利に導いた海軍軍人・東郷平八郎の揮毫という。
漂着したのが運天港
島流しにされたり、嵐に翻弄されたりした末に、為朝は現在の今帰仁村の港に上陸する。
運を天に任せてたどり着いたことから、そこを「運天港」と名付けたという。
その後、為朝は地元の女性を妻とし、一男をもうける。なお「中山世鑑(1650年)」などの琉球の歴史書には、源為朝が伊豆から南下して琉球に漂着し、琉球女性と結ばれて子をもうけたという記述も見られる。
そして、その子が舜天であり、のちの初代琉球国王なのである。
数年後、為朝は本土へ戻ることになった。しかし、当時船に女子どもを乗せるわけにはいかなかった。
しかたなく、為朝は妻子に「必ず戻ってくるから待っておれ」との言葉を残し、現在の浦添市牧港あたりから出航する。
もちろん為朝が琉球に戻ることはなかったのだが、母子は彼の言葉を信じ、港近くのガマ(自然の洞窟)で暮らしながらその帰りを待っていたという。
この逸話から、母子が暮らしたガマのあたりを「待つ港」と称し、それが変化して牧港という地名になったとされる。

舜天母子が為朝の帰りを待ち続けたという浦添市の洞窟は「牧港テラブのガマ」という名称で現存し、拝所にもなっている。
ファンタジーとしてはおもしろいはず
その後、舜天は1210年頃に即位したとされ、琉球で初めて「王」として広く認識されるようになる。
舜天王統はその子・英祖に引き継がれ、3代で終わるが、琉球国の政治体制の基礎を築いたとされる。
こうした話が伝わっているので、舜天王が実在した可能性はあるものの、源為朝の子であるという説には確実な根拠がない。
琉球王朝が自身の正統性を示すため、当時「尊い」とされた源氏の血を引いているという伝説を取り入れた可能性がある。
特に1609年の薩摩侵攻後、琉球は日本と清の間で微妙な外交バランスを取っていたため、日本との歴史的・文化的なつながりを意識的に強調したとも考えられる。
そうした現実的な話はともかくとして、ファンタジーとしてはおもしろいと思うがいかがだろうか。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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