【成功する沖縄移住】ベトナム製まで出ている伝統工芸「琉球ガラス」
前回泡盛について書いたので、そのつながりで琉球ガラスのお話をしてみたい。もちろん琉球ガラスのグラスで泡盛を飲もうという発想だ。切っても切れない縁ともいえる。
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誕生は明治で華開いたのは戦後
琉球ガラスとは琉球伝統のガラス製品、だと思ったらちょっと違う。
もともと明治期から作られていたのはたしかで、その意味では伝統製品である。ただ、それが工芸品として開花したのは戦後なのだ。
廃ビンを利用したアメリカ人向けお土産用で発展
米軍基地から流れてくるコーラ、ビール、ジュースなどの廃ビンを材料として始まったもので、当初はワイングラス、シャンパングラス、サラダボウル、ガラスの造花などを、アメリカ軍人向けのお土産用として作っていた。
アメリカ製のコーラやビールなどのビンの色がそのまま出るのも、彼らに好まれた理由かもしれない。コカコーラのビンで作ると薄いブルーに、ビールビンだと茶色に、セブンアップなら緑色の作品になったのである。
その結果、製品の6割がアメリカに、2割が日本本土に輸出され、残りの2割も沖縄在住のアメリカ人が買っていたといわれる。原料も客もアメリカで、米軍御用達みたいな位置づけだったのだ。
海洋博をきっかけに日本人にも認められる
このように1970年代半ばまではアメリカ人相手がメインだったが、1975年の沖縄国際海洋博覧会をきっかけに日本人観光客が増加し、それに合わせるように琉球ガラスが観光土産として脚光を浴び始める。日本人もそのよさを認めるようになったのだ。
材料も廃ビンから脱却し、色のバリエーションもほぼ無限になった。さらに、泡ガラスという、独創的な作品も生み出される。実用品から工芸品へ進化し、そして芸術品へと昇華したのである。
琉球伝統の工芸品がグローバル化した
ところが20世紀の終わりごろ、琉球ガラス業界にちょっとした問題が起きた。某メーカーがベトナムでの生産を始めたのだ。
沖縄の職人が現地に常駐して技術指導しているとはいうが、ベトナムで作った製品を琉球ガラスとして売っていいのか、とモメたのである。
それなら、中国製沖縄そば、マレーシア製壺屋焼、北朝鮮製かりゆしウェアもOKだろうか。
でもメキシコ製泡盛というのがあれば飲んでみたい気もする。ちょっとテキーラ風味だったりして。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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