【成功する沖縄移住】ペット並みに親しまれる「シーサー」は本来権力の象徴だ
きのうの4月3日は語呂合わせで「シーサーの日」だった。シーサーはやちむん(焼き物)なので、沖縄のやちむんのメッカである那覇市の壺屋で記念イベントがいろいろ行われたという。そこで今回はシーサーについて簡潔に紹介してみたい。
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屋根シーサーは一種のオマケだった
シーサーといえば、沖縄伝統の守り神で、瓦屋根の上でにらみをきかせている姿をイメージする人も多いだろう。
もともと屋根シーサーは、仕事をくれた家主へのお礼に、屋根ふき職人が余った材料で作った、一種のオマケだった。
だが、一般人が瓦屋根の家を建てるようになったのは、比較的最近のことで、昔は茅ぶきの家が普通だった。
したがって、屋根シーサーが本格的に登場したのは20世紀に入ってからということになる。わりと新しいのだ。
火事を防いで魔除けスタンスが確立
それ以前をさかのぼっていくと、1689年に東風平(現八重瀬町)の富盛(ともり)に設置された石造りシーサーが有名である。
この村はたびたび火事に見舞われたので、火除けとして石彫りのシーサーを置いたところ、火事が起こらなくなったという。
これをきっかけに、魔除けとして沖縄中に広がっていったといわれている。
権力に寄り添っていた存在
ただし、もっとも古いシーサーは、浦添市にある英祖王の墓の中にあるが、これは厳密にいうと、レリーフに描かれた獅子である。
英祖王は、沖縄ではじめての王朝となった舜天王統の末裔で、13世紀に浦添を中心として一帯を治めた王。したがって、この獅子のレリーフは、13世紀に作られた可能性がある。
シーサーは、800年近くも前から王の権力を誇示する存在だったかもしれない。
夫婦が呼吸を合わせて魔物撃退
現代においてシーサーは、2体ペアで魔除けとして機能することが多い。
一般的には右の方は口を開け、左は閉じている。これはいわゆるあうんの呼吸というやつらしい。
また、口を開けている方はオスで、閉じているのはメスとされている。
これらを総合すると、シーサーは夫婦で呼吸を合わせて魔物を追い払っていると考えられるわけだ。怖い顔をしているのは当然である。
ペット扱いはいかがなものかと思うけれど・・・
本来シーサーはこのように怖くて強いものだが、近年は人間との距離が近くなったというか、あまりにも親しまれすぎて、まるでペットのようになっている感がある。
その結果、マニアというかシーサーオタクのような人種も出現しているらしい。
でも、行きすぎるとシーサーと会話したり、押し倒したりするのではないか。
あくまで魔除けであることを踏まえて、健全なつきあいをしてもらいたいものだ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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