【成功する沖縄移住】ウチナーグチはしゃべれないといけないの?
沖縄には独特の言葉がある。ウチナーグチ(沖縄語または琉球語)と呼ばれるものだ。沖縄で暮らすとして、この特有の言葉をマスターしなくてはならないのか。答えはNOだ。難しすぎるし、ウチナーンチュですら話せる人は少ない。でも、知っていればコミュニティに受け入れられやすいので、多少の知識は仕入れておこう。
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練習問題
いきなりだが、次の文章は現代風のウチナーグチであり、本島における標準的ないいまわしを用いた日常会話である。日本語に訳しなさい。
「エー、ジラー、アンシユルカラ、マーカイガ?」
「アイ! タラーナー、シカマサンケー」
「ィヤー、クルマムッチ、アシビガナー?」
「イナグガヨ、クーワンディヨ」
「マーヌ、イナグヤガ?」
「えりざべすヨ」
「えりざべす? ふぃりぴんぱぶヌ、ネーネーナー?」
「アラン、ころんびあヌヨ」
「ヌーヤティンシムシガヨ、ィヤー、サキヌドーラヤー、クルマムッチヤナランド」
「アゲ、ヌガラシェーヤー」
「ヌガラスミヒャー、フラーガジュニ。スグラリンド」
答えと解説
多少はわかっただろうか。模範解答は次の通り。
「おい、次郎、こんな夜に、どこ行くんだ?」
「わ! 太郎か、びっくりさせるなよ」
「おまえ、車持ち出して、遊びにでも行くのか?」
「女がさ、来てくれって」
「どこの女だ?」
「エリザベスだよ」
「エリザベスって、フィリピンパブのおねーちゃんか?」
「違う、コロンビアの娘だよ」
「どうでもいいが、おまえ酒飲んでるだろう、車はやめろ」
「えー見逃してくれよー」
「見逃すわけないだろう、バカタレがほんまに。どついたろか」
例題のウチナーグチは、比較的わかりやすい方で、古来からの正式な言葉を話せるのは高齢者ぐらい。戦後生まれで、ウチナーグチを自在に操る人は少なく、ふだんはみんな標準語でしゃべっている。
だから本土から沖縄に引っ越してきても、言葉で苦労することはほとんどないから、安心していい。
とはいえ、言葉は文化の核心ではある。そのため、沖縄音楽に親しもうとすると、歌詞がウチナーグチである関係で、どうしても言葉の意味を知らなくてはならない。
その他の芸能や工芸に関しても、専門用語はウチナーグチだし、一般名詞に使われていることも多い。たとえば、ゴーヤー、ウッチン、コーレーグス、ミーバイ、チャンプルーなど
だから、沖縄を深く理解しようと思ったら言葉を勉強した方がいいのはたしかである。また、多少しゃべれるようになると、地元社会にも受け入れられやすいメリットもある。
たとえば、ウチナーグチであいさつするだけで、オジィやオバァは喜び、まるで身内のように扱ってくれることもある。高齢者を大事にする沖縄では、老人に気に入られることが社会に溶けこむコツなのだ。
日本語の方言か独立した言語か
ウチナーグチは、学問的には琉球語といわれる。これが日本語の方言なのか、独立した言語なのか、言語学者たちの間で議論がかわされている。
ただ、琉球語は日本語と同系列に属することは確認されている。それは母音変化の規則性によるものだ。日本語の母音は「アイウエオ」の五つだが、琉球語では「アイウ」の三つしかない。
「エオ」がないため、「エ」が「イ」に、「オ」が「ウ」に置き換わる。上の練習問題でいうと、「酒(サケ)」が「サキ」に、「夜(ヨル)」が「ユル」に変化している(ただし、練習問題は日本語の影響を強く受けた現代ウチナーグチなので、この法則は必ずしもあてはまらない)。
このような規則性があるために、琉球語を日本語の一種、つまり方言だとする学者がいる。また琉球語に日本語の古い表現が残っていることもこの説の根拠になっている。
たとえば本島北部などでハ行がパ行に変わるいい方がある。「花」が「パナ」、「ハゲ」が「パゲ」、「火」が「ピ」となるが、平安時代の日本語にもこのような特徴があった。
一方、琉球語は日本語とは別の、独立した言語だとするムキもある。練習問題であげた会話を初めて聞いた日本人が内容を理解できないのだから、意志の疎通が不可能といえるわけで、それなら別の言語と考えてもおかしくはない。
さらに、日本語と琉球語の違いは、スペイン語とイタリア語の違いより大きいともいわれるのだ。
オバァにモテるウチナーグチ講座
ちょっとだけウチナーグチのお勉強を。
もちろん、この程度の言葉を知っていたところでウチナーグチをマスターしたことにはならないが、沖縄の文化を理解しようとする姿勢は見せられるので、受け入れてもらいやすい…かもしれない。
わたし……ワン
あなた……ィヤー
あなた(敬意をこめて)……ウンジュ
わたしたち……ワッター
あなたたち……ヤッター
日本(沖縄以外)……ヤマトゥ
日本人(沖縄人以外)……ヤマトゥンチュ
内地人……ナイチャー
男……イキガ
女……イナグ
美人……チュラカーギー
不細工……ヤナカーギー
いらっしゃいませ……メンソーレ
こんにちは……ハイサイ
はじめまして……ハジミティヤーサイ
お元気ですか……ガンジューヤミセーミ
おはようございます……ウキミソーチイー
お願いします……ウニゲーサビラ
わかりました……ワカイビタン
わかりません……ワカイビラン
ありがとうございます……ニフェーデービル
ごめんなさい……ワッサイビータン
なんてこった……アキサミヨー
大変なことだ……デージナトーン
そうなの……ハーヤー
痛え!……アガッ
ごめんください……チャービラサイ
暑いですね……アチサンヤー
飲みに行く?……ヌミガイチュミ
いただきます……クワッチーサビラ
ごちそうさま……クワッチーサビタン
いくらですか?……チャッサヤイビーガ
お休みなさい……ユクイミソーレ
明日ね……アチャーヤー
さようなら……ンジチャービラ
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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沖縄移住を成功させるカギ、それは仕事だ! 沖縄における就職事情と、仕事をゲットするコツを伝授。
沖縄移住のバイブル! 金なし、コネなし、沖縄暮らし!
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