2024/07/18

【成功する沖縄移住】「パーにサンバ?」小粒な伝統打楽器がおもしろい!

エイサーや琉球舞踊などの伝統芸能では三線が大きな役割を果たすが、打楽器も欠かせない。大きな太鼓だけでなく、小さな打楽器も音楽の根底を支えている。今回はこうした小粒な伝統打楽器を紹介してみたい。

 

叩くだけで恋が生まれるかもしれないパーランクー

パーのランクといったら、まるでバカのレベルみたいだが、もちろんそんなことはない。
パーランクーは、パコンパコンと乾いた音を立てる、小さな太鼓である。直径20cmあまりの片面だけ皮を張ったもので、外見的にはタンバリンに近い。
とはいえ、ジャリンジャリンいうやつはついておらず、カラオケの時に振ったり、手で叩いたりはしない。片手で持って、もう一方の手に持ったバチで叩いて音を出す。
主に使われるのはエイサーの時である。エイサーでは脇に抱える大太鼓も使われるが、パーランクーは軽くて持ちやすいので、踊りながらぶっ叩くには最適だ。
三線に合わせて叩くだけのシンプルな楽器だが、豪快に踊りながらパーランクーを打ち鳴らすと、男も女もかっこよく見えるので不思議だ。
エイサーで芽生える恋も多いといわれるが、異性の目とハートを引きつけるための小道具としてパーランクーの果たす役割は大きいようだ。
沖縄でモテたければエイサーを習ってパーランクーをマスターしよう。ただし、30歳未満に限る。

極めてシンプルな作りのパーランクー。もちろんバチとセットである。

 

甲子園の応援では使用禁止らしい

ところで、春夏の高校野球大会が行われている時の甲子園では、パーランクーを使った応援は禁止という話を聞いたことがある。
というか、エイサー自体が禁止されているらしいのだが、沖縄の伝統文化が否定されているように思えてしかたがない。
アメリカから入ってきたチアリーディングが許されているのだから、エイサー抑圧は、米軍基地を沖縄に押しつけて知らん顔する発想と同じではないか。
まさか、エイサーはモテるし、チアガールとくっついたらまずいと、嫉妬した高野連が禁止したのではあるまいな。

エイサーでは女子がパーランクーを担当するケースが多い。軽いので踊りとも組み合わせやすく、躍動感を生み出す。

 

透き通った上品な音色が響き渡るサンバ

ここでいうサンバは、ブラジルの音楽ではなく、出産時に自宅にやってくるばあさんのことでもない。漢字では三板と書く、琉球伝統の楽器で、民謡の演奏や琉球舞踊でよく使われる。
形、機能としてはカスタネットによく似ているが、あちらが2枚で構成されるのに対し、サンバは名前の通り3枚の板でできている。
民謡好きのオジィに「サンバって、なにでできているんか」と聞いたら「木」と答える。素材が知りたいので「だからどんな木よ」とツッコんでも「堅い木やさ」としかいわない。
そこで調べてみると、黒檀、紫檀、樫、花梨などの木で作られるそうだ。もちろん、素材によって音色が違うのも奥深さである。
カスタネットはパカパカした音であるが、サンバはキンキンに近い。高くて、乾いていて、透明度の高い音である。音はカスタネットよりサンバの方がはるかに美しい。
さらに、単純に叩くだけでなく、たとえば片手で持って、もう一方の手の指をすべて使って打ったりすると、複雑で優雅なリズムを刻むことができる。

サンバは素材によって音がまるで違うのがおもしろい。この黒檀製は樫製よりも透明感があって、美しい音色を奏でる。

 

サンバにも使えるはずだ

音色もリズムも、カスタネットよりはるかに幅が広いので、フラメンコでもカスタネットではなくてサンバを使えばいいのではないか。
リオのカーニバルでサンバを踊るときもサンバでリズムを取ればいいし、子どもが生まれるときも助産師がサンバを打ち鳴らして陣痛のリズムを整えてあげればいいのではないか。というわけで、アイディア次第で使い道は広い。
ちなみに沖縄三板協会という団体が3月8日サンバの日としている。もちろん祝日ではない。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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