2024/08/22

【成功する沖縄移住】南極も砂漠もへっちゃら!琉球漆器のすごさを知って

きわめて高い技術で作られながらも存在がやや地味で、意外に注目されない伝統工芸の漆器。お盆で重箱を見て琉球漆器のすごさを思い出したので、紹介してみたい。

 

食器だけでなく、楽器や仏具もある

マカイ、サンバ、重箱、東道盆(トゥンダーブン)、トートーメー。これらの共通点を指摘できるナイチャーは、かなりの沖縄通である。
その共通点とは漆を塗った工芸品、つまり漆器であることだ。もっといえば琉球漆器ということになる
日本各地にも漆器文化がある。たとえば石川県輪島市で作られる輪島塗。また、水戸黄門が持っている印籠も漆器だと思われる。

東道盆は琉球漆器の4番バッターであり、沖縄食文化とは切っても切り離せない存在(©OCVB)

 

沖縄は漆工芸に最適な環境

アジア各地にも漆工芸の文化があるが、沖縄は外国にも負けない。琉球漆器の製作は、一説によると15世紀の初めごろに始まったとされる。
それが本当なら600年もの歴史を持つことになる。南海の小さな島で漆工芸が花開いたのは気候によるところが大きい。
強烈な太陽の光が降りそそぐ高温多湿な環境で、漆は一年を通して自然乾燥するので、温度や湿度を人為的にコントロールする必要がない。
しかも強い紫外線のおかげで、漆が透明になりやすく、色が鮮明に出る。
木地のデイゴは完全に乾燥した状態でも、100%水分を含んだ状態でも、ほとんど収縮・膨張しない
そのため、熱帯雨林だろうと南極だろうとサハラ砂漠であろうと、漆がひび割れる心配がない
しかも、非常に軽いため、重量を気にせず厚手の作品も作れるので、デザインの自由度も高い
ちなみにベースになるデイゴは沖縄の県花でもあるほど一般的な木なので、手に入れるのも簡単だ。

深い黒、いわゆる漆黒に立体感のある美しい絵柄は、漆器が芸術品であることを教えてくれるようだ(©OCVB)

 

皇帝や将軍にも献上された芸術品

技法も、文様に金ぱくを使う沈金(ちんきん)や箔絵(はくえ)、色の鮮やかさを強調する密陀絵(みつだえ)、夜光貝の殻を埋めこんでいく螺鈿(らでん)、立体的な図柄を特徴とする堆錦(ついきん)など、多様である。
それらによって、中国の皇帝や日本の将軍に献上される、豪華で多彩な作品を生んだ。
ちなみに筆者の住む浦添市にある浦添市美術館は、日本初の漆芸専門美術館である。
つまり、琉球漆器のコレクションを中心に展示している施設なのだ。琉球漆器はそれほど文化的芸術的価値が評価されていることになる。

浦添市美術館は、日本初の漆器専門の美術館。アジアなど近隣諸国の漆芸作品も展示している(©OCVB)

 

携帯やキーボード、車にも応用してほしい

琉球漆器はもともと実用品で、耐久性がきわめて高い。朱漆のスマホ、沈金のキーボード、螺鈿のベンツとかがあったらぜひ使ってみたい。密陀絵のペットもいいが、漆なのでかぶれないか心配だ。

この朱漆の皿には7500円の値札が付いていた。砂漠でも南極でも熱帯雨林でも100年ぐらい使えそうだから、高くはないと思われる。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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