【成功する沖縄移住】秋出現するカーブチーやタルガヨーは何者?
秋になるとカーブチーやタルガヨーという連中が農産物直売店などに出てくる。名前に聞き覚えがないかもしれないが、柑橘類つまりミカンである。秋の訪れとともにこういうおいしいミカンもぜひ食べてもらいたい。
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そもそもウチナーミカンはおいしくて健康にいい
沖縄の温暖な気候やミネラルを多く含む土壌は、柑橘類の栽培に適しており、秋から冬にかけて沖縄ならではの味わいが楽しめるミカンが実る。
しかも、健康にいい栄養素も豊富なので、旬の時期にはおすすめなのだ。
筆者が思うに、特に本島北部のやんばる地域は、愛媛や静岡、熊本といった県にも負けないほどのミカン産地である。
主に夏に収穫されるシークヮーサー、冬場のタンカンあたりが有名だが、やんばるで採れた秋ミカンもうまい。
ツラの皮が厚いのかカーブチー
秋ミカンの代表としてあげたいのがカーブチーである。一説によると、皮(カー)が分厚い(ブチー)という琉球語からこの名が付いたという。
たしかに皮は厚く、しかもかなりゴツゴツしているが、むきにくいということはまったくない。
サクッと気持ちよくむけて実ばなれがいいのでノンストレスであり、たちのぼる上品な香りも楽しめる。
果汁にはさっぱりとした酸味があり、シークヮーサーに似た爽やかな風味がお口の中から鼻の奥にかけて広がる。
しかし、シークヮーサーよりも酸味が控えめで、そのぶんまろやかな甘味が前面に出てきてクセになる。
カーブチーは、ビタミンC、カロテン、ポリフェノールなどが豊富で、抗酸化作用や美肌効果があるとされる。
「何者?」という意味のタルガヨー
もうひとつ沖縄秋ミカンの代表格としてあげたいのはタルガヨーである。
ナイチャーはもちろんのこと、ウチナーンチュでも知らない人が多いだろう。
タルガヨーというのは「だれだよ?」という意味だ。特に夜現れた不審者に対して本島北部では「タルガヨ!」ということがある。語感的にはそんなイメージだ。
なぜミカンにそんな名前が付いたのかははっきりしないが、一説では「だれがこんなにおいしいミカンを作ったのか?」という驚きから来ているともいう。
タルガヨーの味の特徴はなんといっても甘味と酸味のバランスがいいことだ。
そのため、ジュースやドレッシングの材料にされたり、カクテルの風味付けに使われたりもする。レモンほど酸っぱくなく、シークヮーサーほどクセ強でもないので使いみちは幅広い。
とはいえ、やはりそのままむいて食べるのが一番だ。直径がシークヮーサーの3倍くらいあるので食べ応えも充分。色が青から黄に変わってきたころが食べ時だ。
ビタミンCが豊富に含まれており、抗酸化作用や免疫力の向上が期待できるという。
おまけ:黄色いシークヮーサー
前述のように沖縄のミカンといえばシークヮーサーが有名だが、こちらはまだ実が青い夏に収穫されるので秋ミカンではない。
シークヮーサーは強力な抗酸化作用を持つノビレチンやビタミンCを多く含み、それが免疫力の向上や老化防止に役立つ。
さらにノビレチンは血糖値の上昇を抑える効果があるため、糖尿病の予防にも役立ち、ガンや慢性リウマチの予防や治療にも効果があることがわかってきている。
ただ、このノビレチン、シークヮーサーが熟するにつれて減ってしまうため、その恩恵を受けるには夏場の青い状態で収穫した方がいいのである。
とはいえ、青い状態のシークヮーサーは、そのままでは酸っぱすぎて食べれたものではない。
ジュースなどに加工するか、レモン代わりとして料理のつけ合わせにするしかない。
ところが、夏場に収穫せずに放置しておくと、やがてシークヮーサーは黄色に熟してくる。これがまたうまいのだ。
健康成分は少なくなっているかもしれないが、酸味がぐんと減って逆に甘味が増してくる。
特に正月くらいになると、コタツでテレビを見ながら食べるのに最適な状態になる。ぜひお試しあれ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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