商売としての「沖縄そば」考①
沖縄県民が大好きな沖縄そば。もちろん知っているナイチャーも多く、ファンもたくさんいるだろう。食文化としてもよく取り上げられるが、今回は少しだけ商売の観点から沖縄そばについて触れてみたい。
メニュー
昔は高級料理だった
沖縄の暮らしに欠かせないソウルフードといえば、沖縄そばである。しかし、沖縄そばの麺にはそば粉がまったく使われていない。主原料は小麦粉で、 DNAレベルではうどんに近い。
この麺を、カツオと豚骨から取ったダシ汁と合わせ、三枚肉の煮付け、かまぼこ、紅しょうが、ネギなどをトッピングする。
気軽に味わえるが昔は小麦粉が高価だったため、高級料理だった。今のようにだれでも食べられるようになったのは戦後のことである。
ウチナーンチュはもとより、観光客にも絶大な人気があるので、いたるところにそば屋がある。
実は伝統料理ではなく最先端グルメ
この沖縄そば、実はこの半世紀ほどで驚くような進化を遂げている。麺やスープはもちろん、トッピングの具材や調味料、器に至るまで、進化の流れをリアルに見てきた筆者などにとっては、まるで最先端の科学技術かというくらい進んできたのだ。
したがって、沖縄そばを伝統料理と受け止めたら、その本質を見誤ることになる。その証拠に昔は名店だの老舗だのと讃えられていた沖縄そば屋がバタバタつぶれていく。それは例えていえば、300年続く京都のおばんざいの名店がどんどん閉店していくようなもので、そんなことは普通あり得ない。
つまり、名店だろうが老舗だろが、伝統(そんなものがあればだが)にあぐらをかいていれば、そのうち廃業の憂き目を見る。どんどん味を改善していかないと、あっという間に取り残されてしまう世界なのだ。くり返すが、沖縄そばは伝統料理ではなく、最先端グルメなのである。
一発当てれば大もうけ、知られざるそばビジネス
なぜどんどん進化するのか。それは沖縄そば屋は当たるともうかるからだ。うまくいけばビルの1つや2つ、軽く建つ。そのため新規参入の絶えることがない。
最近は地元系だけでなく、明らかにナイチャー系だと味でわかる店も多くなった。途切れることなくライバルが参入してくるので、生き残り競争は激烈だ。
味を磨かなければ閑古鳥が鳴いて、名店のほまれ高いそば屋がいつのまにか駐車場に変わっていたりするわけである。
ただし、何度もいうようだが、業界の切磋琢磨のおかげで、沖縄そばの味がここ50年でかなりよくなったのもたしかであるが。
これだけ進化しているのだから、業界や行政によるマーケットの開拓にも、もっと本腰を入れてほしい。東京駅に立ち食い沖縄そば屋を出店する、機内食で出す、帝国ホテルで出す、ディズニーランドで出す、スキー場で出す、刑務所で出す・・・みんな喜んで食べてくれるだろう。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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