2023/09/28

【成功する沖縄移住】感動のうまさ「中味そば」は絶対食べてみるべき

沖縄そばの一種で中味そばというのがある。あまり一般的ではないメニューで、観光客はもちろんウチナーンチュも口にすることは少ないだろう。が、今回浜比嘉島へこの希少メニューを味わいに行ってみたら、そばはもちろん店もなかなかよかったので報告したい。

島と古民家と琉球料理の魅力をセットで

うるま市の勝連半島の先、生活道路であり人気のドライブコースでもある海中道路を渡って平安座島に入ったところを右折すると、橋を渡った向こうに浜比嘉島がある。

琉球開びゃく伝説もあるこの島の古民家食堂てぃーらぶいで中味そばを食べてみた。

古民家というだけあって、食堂の建物は築94年だという。おそろしく古い。

とはいえ、一部リフォームもしているだろうが、一世紀近い年月を感じさせないくらいしっかりした建物だ。

まるでおばぁの家を訪れるような気分で行ける、かなり情緒というか風情のある店である。

古くから漁業の島であったが、そうしたいにしえの空気感を今も残す集落内にあることも特徴のひとつ。集落内を散歩したり、拝所で手を合わせたり、はたまた美しいビーチで遊んだりしながら訪ねるのもよい。

というわけで、浜比嘉島と古民家と琉球料理、それぞれの魅力が同時に味わえる食堂なのである。

 

防風林に守られた静かな空間

さて、店内はすべて畳の間。30席くらいあるようだが、お客さんがいてもとても静かな空間なのが不思議である。

フクギなどの防風林に囲まれていることも静けさの理由のようだ。台風の際の猛烈な雨風から家をしっかり守っているだけあって、そのなかにいると、まるで母親の腕に包まれているような気分になる。

角の席などは二面の大きな窓から外が眺められる。非常に落ち着けて、つい時間を忘れてしまうので、長居したい気になってしまうはずだ。

 

スープが異次元のおいしさ

今回食した中味そばは、中味(豚もつ)汁と沖縄そばを合体させたメニューといっていいだろう。

ちなみに中味汁は冠婚葬祭の際に振る舞われるのが一般的で、作るのに手間がかかるせいか、普通の食堂ではあまり見かけない。

スープに中味のダシがいっぱい出ていて、たまらないうまさだ。これを味わうために浜比嘉島まで足を延ばしても損はないと思う。

ところで、この中味そば、単品でも頼めるのだが膳もある。写真がなくて恐縮だが、非常に個性的というか独創的で、ほかではなかなか見られない小鉢が三品付くので、ぜひそちらも紹介しておこう。

まず、じーまーみー豆腐のてんぷら。じーまーみー豆腐を油で揚げるという発想はウチナーンチュにもほとんどない。しかし、この不思議な料理がなかなかイケる。

二品目は大根シリシリーともずくのさっぱり和えという料理。ニンジンシリシリーという料理は聞くが、大根ではあまり聞かない。でもよく考えたら、ありだろう。

デザートも付いている。紅イモのナーントゥという品らしい。やわらか系のもちで、やさしい食感と上品な甘さがクセになりそうだ。

 

付加価値を楽しんでもらいたい

店主は、単にそばを食べるだけでなくまわりの雰囲気や古民家のおもむき、フクギや石垣が描き出す原風景などの付加価値も楽しんでほしいという。

それから、普通の沖縄そば屋は回転で稼ぐので、店にとっては滞在時間の短い客が好まれるはずだ。

しかし、店主は逆に長い時間楽しんでもらいたいという。

はるばる浜比嘉島まで来て単品のそばを食べるだけではお客さんがかわいそう。だから膳で出している。それと内容は女性を意識していると話していた。

雰囲気、味とも申し分のない店である。ドライブも楽しみながらぜひ一度訪れていただきたい。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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