2023/05/10

【成功する沖縄移住】そもそも、なぜ「沖縄で暮らす」のか?

沖縄に移り住む理由は人それぞれであるが、どこに住もうと日々の生活という現実はある。生活という視点から見て本土とどう違うのか、実例を元に東京と沖縄それぞれをシミュレーーションしながら比較してみよう。

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東京在住営業マンの一日「家庭編」

今日は朝一から会議だ。今月もノルマ達成は厳しいから、また課長に怒鳴られるだろう。その前に資料を用意しなくては。

だから7時半には会社に着かないといけない。ということは6時には起きなくてはならないが、すでに5分過ぎている。それにしても、夕べ飲み過ぎた日本酒のせいで頭ががんがんする。胃も痛い。

カミさんも疲れた顔だ。一人息子はぜん息がひどくて、夜中もちょくちょく起こされるし、疲れて機嫌が悪いのは当然だろう。だが、いちいち離婚離婚とわめくのはかんべんしてほしい。

山手線は相変わらずの混雑。隣のオッサンがくっついてきて、オヤジ臭さが不快だ。アナウンスで新宿到着が3分遅れるといっている。JRはたるんでいるんじゃないか。

 

東京在住営業マンの一日「職場編」

しかし、うちの課長、面倒くさい取引先ばかりおれに押しつけて来るからむかつく。今日もアポに2、3分遅れたら先方に怒鳴られて、平身低頭せざるを得なかった。

「あ、はい、申しわけございません。次からは絶対遅れないようにしますから。え、値引きですか? そんなことしたら私がクビに……いえ、わかりました、なんでもしますから、取り引きを継続してください、お願いします」

しかも課長は、おれに責任をなすりつけてくる

「ですが課長、先方が値引きしないと取引停止っていうもんですから。いえ、口答えするわけではありません。青森営業所はかんべんしてください。子どもがぜん息持ちで、カゼでもひかせたら死ぬかもしれません。便所そうじ1ヶ月ですか。はい、わかりました」

「はいもしもし、え、駐車場代3ヶ月分未納? 6万円ですか。わかりました、すぐ振り込みます」。不動産屋からの電話。カミさんが駐車場代を払っていなかったらしい。でも、下手に文句いったらあいつ逆ギレするに違いない。

最近、駅の階段昇るのがつらくなってきた。体力が落ちた気がする。今日会社の女性社員に「あなた最近ひとりごとが多いわね」といわれた。みんな気味悪がっているそうだ。まるで気づかなかった。

カミさんに駐車場代の話をするのがおっくうだ。不機嫌な顔を見ても気が滅入るだけだし、いつもの居酒屋で一杯やっていくか。

もう会社に行きたくない。明日は休みたい。しかし、一日休んだら二度と行かないかもしれない。

おれは何のために生きているのだろう。夢なんか、とっくになくしてしまった。仕事も家庭もボロボロだ。

カミさんは子どもがぜん息になったのもおれのせいだという。意味がわからないが、すべてどん詰まりなのはわかる。これからなににすがって生きていけばいいのだろうか。

 

沖縄移住を果たした営業マンの一日「家庭編」

会社まで15分で行けるし、8時30分に家を出て、息子を保育園に送ってから出社しても十分間に合う。

そういえば息子は、沖縄に引っ越してからぜん息の発作が少なくなっている。東京にいたころより元気なようだし。子どもを育てるにはいい環境だから、もう一人作ろうかとカミさんと話している。

カミさんも毎朝海辺を散歩するようになって、顔色が良くなった。最近、表情もおだやかになっている。

車は軽ワゴンだけど、よく働いてくれる。東京の通勤地獄を考えると、車で通勤できるだけで天国だ。信号待ちしながらヒゲも剃れる。

給料はたしかに激減した。でも、家賃や食料品は安いし、あまりカネを使わなくなった。息子のぜん息が落ち着いたので、カミさんがパートで働くようになったし、なんとかなっている。飲み代も大幅に減った。

那覇市内にもかなりきれいなビーチがある。この波の上ビーチは国際通りから徒歩5分ほどなので、那覇の中心部で働いていれば仕事帰りに立ち寄るのも可能だ。

 

沖縄移住を果たした営業マンの一日「仕事編」

仕事は東京にいたころに比べると楽勝だ。売り上げがどうこうとか、ノルマがどうしたとか、あまりいわれない。

同僚も取引先ものんびりしていて、アポに5分や10分遅れてもだれも文句をいわないのには驚いた。お互いさまという感じである。

ここでも仕事は外回りが中心だが、やっぱり暑いのは大変だ。気温はそう高くないのだが、日射しがきつい。さえぎるものがないと、体感温度は40度を超えるかもしれない。

ただ、かりゆしウェアという、アロハシャツみたいな服が認められているので助かる。これに綿パンを組み合わせれば、ビジネススタイルとして十分通用する。それと、昼食後、木陰に車を停めて昼寝するのが気持ちいい。

ときどき上司や同僚に飲みに誘われるが、強制はされないので、断ってもぜんぜん問題ない

 

沖縄移住を果たした営業マンの一日「趣味編」

それより、最近は仕事帰りにダイビングに行くことがある。水中はもちろん、東シナ海の夕日も感動的だ。車にはダイビング道具が積みっぱなしになっている。

でも、こづかいが少ないので釣りで我慢することが多い。これが意外に釣れる。4、5匹も釣って持ち帰ると息子もカミさんも大喜びだ。

唐揚げや煮付けにすると酒のつまみに最高。大きいのは刺身にすることもある。獲れたてなので実にうまい。しかもタダ

美しい海がいつでも手の届くところにあるだけで、沖縄に越してきたかいがあったと思う。

来月は漁船をチャーターしての沖釣りに誘われていて、これも楽しみだ。息子がもう少し大きくなったら、いっしょに潮干狩りにも行ってみたい。

子どもといっしょの釣りや潮干狩りも楽しい。喘息の子が沖縄に引っ越してきて症状がよくなったという話はよく聞く。

 

ここが本当の故郷かもしれない

そういえば、会社に行きたくない病もいつの間にか治ってしまったようだ。仕事が楽しいというほどではないが、プレッシャーがものすごく少なくなって、だいぶ楽になった。

ストレスもあまり感じない。リラックスして一日一日が過ごせるようになった。想像だが、空気そのものに癒されているようだ。緊張がほぐれて、力を抜いて生きられる気がする。

これなら、新しいことに挑戦できるかもしれない。そういえば、もあい仲間にプロ級の三線弾きがいて、教えてくれるといっていた。今度頼んでみよう。三線弾きながら沖縄民謡が歌えたら最高だろうと思う。

この間、法事で埼玉の実家に帰ったとき、羽田で飛行機を降りたとたん、沖縄に戻りたくなった。やはり空気そのものが違うのだ。

実家に二泊した後、那覇空港で飛行機を降りて、ねっとりした空気を肌に感じたら、故郷に帰ってきた気がした。もう自分は沖縄でしか暮らせないのかもしれない。ここが本当の故郷なのだ。

おじぃのなかには素人なのにプロ級の弾き手もゴロゴロしている。そういう人と知り合いになって教えてもらうのが一番いい。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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