2024/04/27

【成功する沖縄移住】やんばる金武町でゆったり暮らそ!

金武町は本島中央部の東岸に位置し、太平洋に面した町。南側に接するうるま市は中部に属するので、金武町は北部の入口、いわばやんばるエントランスタウンである。
この町の特質は豊かな自然、ターンム、アメリカ人、タコライスの4点が代表的だ。それぞれについて解説してみよう。

 

豊かな自然

金武町はやんばるの入口だけあって、自然環境が非常に豊かなところ。
隣の恩納村との境目には恩納岳というとても美しい山がある。標高も360mちょっととそれほど高くないため、トレッキングにも良さそうだ。
ところがこの山、現在は米軍の実弾射撃訓練区域に位置するため、一般人の立ち入りは禁止となっている。
山で自然に親しむのは無理としても、川はなかなかのものだ。有名なのは億首川である。
太平洋に注ぐこの川の河口にはマングローブ林が広がっていて、数多くの魚はもちろん、エビ、カニ、貝類など多様な生き物が独特な生態系を形成している。
この一帯をカヤックで巡るツアーも人気だ。おだやかな川なので子どもも参加できて、自然教育や環境教育にも最適だ。

億首川の河口部ではマングローブの林が広がり、多様な生き物が暮らしている。カヤックツアーも人気だ。写真奥に太平洋も見える(©OCVB)

 

ターンム

金武町は水に恵まれていることでも知られる。豊かで清澄な水を利用した米作りや酒造りが盛んで、古くからの産業として定着している。
また、米以外にも水田で作られているものがある。それがターンムだ。漢字では田芋と書く、水田で栽培される里芋である。
食べておいしいのはもちろんだが、親芋のまわりに子芋や孫芋がどんどんできて育つことから子孫繁栄のイメージにつながり、盆正月や祝い事には欠かせない食材である。
このターンムの名産地が金武町であり、なかなか手に入らないほどの人気を誇っている。
ターンムは、ムジと呼ばれる茎も食用になる。汁にするのが一般的で、豚肉や島豆腐といっしょにみそ汁にして食べる。
ムジ汁は子どもが生まれたときのお祝い料理として振る舞われることも多い。

ターンムは水田で作られる里芋で、茎の部分も食用にされる。茎はみそ仕立ての汁にして味わうのが一般的だ(©OCVB)

 

アメリカ人

金武町は恩納村の東に接している。恩納村は沖縄でも代表的なリゾートで、数多くの観光客が闊歩しているが、金武町で闊歩しているのはアメリカ人である。
というのも、金武町および宜野座村、恩納村、名護市にまたがってキャンプハンセンという米軍基地が広がっているからだ。
しかも、キャンプハンセンは金武町の領土の50.7%を占めており、その出入口であるゲートも町内にある。
ゲート1と呼ばれるメインゲート前には、当然のように米軍人相手の店が並び、多くのアメリカ人がたむろしている。
この米軍人相手の繁華街は新開地と呼ばれ、建設が始まったのは1962年といわれる。
当時の沖縄はアメリカ世と称される米軍統治の時代。新開地はベトナム戦争などを背景に栄えた。
その空気感は今も残り、異国情緒を醸し出しているので、ちょっと変わった散策コースとしてもおすすめだ。

キャンプハンセンのゲート前に位置する新開地。今も米軍人相手の店が並び、ちょっとした異国情緒を醸し出している。観光客の姿もちらほら(©OCVB)

 

タコライス

アメリカ人が闊歩する新開地で生まれたのがタコライスである。今や学校給食の人気メニューになったり、レトルトが発売されたりと、全国的にも定着した感がある。
タコライスが産声を上げたのは1984年ごろといわれる。もともとは新開地にあったパーラー千里という店のまかない料理だったが、それを米軍人の客に出したところ好評で、系列店のキングタコスを介して沖縄中に広まったという。
メキシコ料理のタコスと和食の白米がコラボした逸品が金武町で誕生したことは、町民の誇りとなっている。
また、そもそも金武は海外移民が盛んだった土地である。1899年以降、ハワイやアメリカ本土、中南米などへ積極的に移民を送り込んだ。
そこで金武町民には海外雄飛の先駆けという自負がある。タコライスの発明もそうした文脈から生まれたのかもしれない。

タコライスの正体は白米に牛ひき肉、レタス、トマト、チーズを載せ、サルサソースやケチャップをかけた料理。取り合わせとしては意外性いっぱいだが、むちゃくちゃうまい。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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