【成功する沖縄移住】やんばる本部町でおいしく暮らそ!
本部町はやんばるのなかでも本部半島に位置し、美しい東シナ海に面した静かな町だ。その特性を表現する4つのキーワードをあげると次のようになる。沖縄美ら海水族館、沖縄そば、カツオ、名護東道路である。それぞれについて解説してみたい。
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スカイツリーを超える美ら海水族館
沖縄美ら海水族館には世界最大級の水槽があり、その中をジンベエザメやマンタなどの大型魚が泳ぐダイナミックなシーンを間近で楽しむことができる。
開館したのは2002年なので、今年で満22年歳を迎える。入館者数はコロナ禍前の2018年度に約372万人を記録した。
当時、沖縄に来る観光客は1000万人前後だったから、その3分の1以上がこの水族館を訪れたことになる。
ちなみに、2019年の東京スカイツリーの来場者は360万人だったので、観光施設としての美ら海水族館は化け物クラスといっていい。
さらにいえば、本部町の人口は約13,000だから、一年間に水族館を訪れる人の数は人口の286倍にも達する。これはある意味異様だ。
一番異様なのは、これだけの観光客が町を訪れながら大部分は本部町には宿泊しないこと。つまり、通り過ぎるだけなのだ。
したがって、水族館の地元への経済波及効果はどのくらいか、はなはだ疑問である。
水族館だけでなく、魅力的な観光資源をどう提供するか。町の将来はこの点にもかかっているといえるだろう。
たとえば、移住者がこうした観光資源の開発に貢献できるとしたら、地元は大歓迎のはずだ。
伝統の手打ち麺とカツオダシがメチャうま
本部町は沖縄そば店が多いことでも知られる。コロナ禍で廃業した店もあるようだが、それ以前は町内でそばを出す飲食店が70軒あるとも80軒あるともいわれた。
特に県道84号線は有名店が軒を連ねることから、もとぶそば街道と呼ばれるようになっている。
本部町は、昔から手打ちそばで知られていた。しかも、ガジュマルなどの薪を焼いた灰を溶かした上澄み液で麺を練るなど、独特の製法で作っていた。
さらに、後述するように本部町はカツオ漁が盛んなこともあり、沖縄そばのダシとしてもカツオ節が大量に使われる。
コシのある手打ち麺と香り高いカツオダシ、それが本部の沖縄そばが多くのファンに支持される理由である。
日本で一番早い初ガツオに食らいつこう
沖縄そばのダシとしても使われるカツオは、本部町の特産品のひとつである。
その始まりは120年くらい前。漁法が宮崎県から伝えられたのがきっかけとされる。
大正に入ると本部だけで漁船が40隻を超え、大船団で出漁する様子は壮観だったという。
その後、戦争の時代や不景気を経てカツオ船は減少するが、今でも「本部といえばカツオ」というキャッチフレーズは健在だ。
本部のカツオ漁は一本釣りの日帰りが基本なのでモノは極めて新鮮。港で水揚げされたカツオは町内のサシミ屋(魚屋)で手に入るので、夕食用や土産用に買い求める人が多く見られる。
一般に、春先の黒潮に乗って日本南岸を北上していく連中を初ガツオと呼び、「女房を質に入れても初ガツオ」といわれるほどうまいとされる。
本部のカツオの旬は3月ごろ。つまり、日本で最も早い初ガツオだから、うまいに決まっている。女房どころか親や子どもを質屋にぶっこんでも食べた方がいい。
余計なことはしない。厚めの刺身がおすすめだ。
名護東道路延伸で那覇市内も通勤圏に
国は、沖縄自動車道の終点・許田インター近くから名護市伊差川に至る名護東道路(6.8km)を、沖縄美ら海水族館付近まで直線距離で約13km延伸する計画を立てている。
また、現在延伸工事を行っている那覇空港自動車道も2026年には那覇空港ICの供用が開始される予定だ。
両方の延伸工事が完了すれば、那覇空港ICから本部IC(仮称)まで信号なし、所要時間は70~80分程度となりそうだ。
ちなみに現状では、那覇空港から美ら海水族館まで車で100分ほどかかるので、所要時間が2~3割程度短くなるだろう。
そうなると、本部に住んで那覇市内に通勤するスタイルも現実味を帯びてくるから、移住後の住まいとして検討する価値も出てきそうだ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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