2023/12/01

【成功する沖縄移住】沖縄で働く、そのメリットとデメリット

移住後沖縄で働くとして、ここでそのメリットデメリットを整理しておきたい。ただし、東京から沖縄への転職では移住がともなうため生活環境もガラっと変わる。したがって仕事だけでなく生活面も含めて考えなくてはならない。だから厳密にいえば「沖縄で働き、暮らすことのメリット&デメリット」という観点から解説していく。

 

メリット

冬でも暖かい

まずは南国なので、冬でも暖かいのがいい。寒い時期でも那覇市の最低気温の平均は15℃程度である。
もちろん雪は降らないし(2016年の冬に本島で初めて「みぞれ」が観測された。みぞれは分類上雪に含まれるが、一般的に雪といわれるものは降ったことがない)、霜が降りることもほとんどない。
本土では冬の朝は起きるのがつらく、出勤するまでにかなりのエネルギーを使うことになるのだが、それに比べると沖縄の冬は全然楽勝である。

 

冬場も暖かいので、プロ野球を始め各種スポーツチームが沖縄でキャンプを張る。写真は宜野座村でキャンプする阪神タイガース。

大きな地震と原発がない

大きな地震も非常に少ない。さらに沖縄には原子力発電所がない。
2011年の東日本大震災とそれに続く原子力発電所の事故のあと、多くの人々が沖縄に移住してきた。
大きな地震と原発がないことが暮らしの安心につながるのはたしかである。

花粉症がない

春先に多数の人が苦しむ花粉症だが、沖縄ではこれがない。
日本では戦後、焼土から復興するための木材を確保する目的もあって全国的に杉の植林が盛んに行われた。
それらが大きくなって花粉をまき散らすようになり、1970年代から花粉症になる人が増えたといわれる。
しかし、沖縄は戦後長く米軍統治下にあったことと、もともと針葉樹が育ちにくい気候風土であることで杉の植林が行われなかった。したがって杉の木がほとんどない。原因となる花粉がないので花粉症も発症しないのである。

満員電車がない

沖縄にはモノレール以外に鉄道がない。したがってというか当然というか満員電車もない
鉄道がないことが原因なので、これが厳密にメリットといえるかどうかはわからないが、満員電車でぎゅうぎゅう詰めになりながらエネルギーを浪費し、ストレスを貯めることがないのはたしかである。

自然がすばらしい

オフィスで働いている間はあまり関係ないかもしれないが、美しい海や緑の山々、季節ごとに咲き乱れる花々などの豊かな自然が手を伸ばせば届くくらいのところにあるのは大きなメリットである。
ストレスの解消はもちろん、趣味で自然とふれあうこともできて幸せ度が増す。仕事へのモチベーションを高める効果も期待できるだろう。

文化が濃厚

もともとが琉球という独立国だったので、文化的にもひとつの国といえるだけの充実度がある。
音楽から舞踊、焼物、ガラス、漆器、織物、染物、建築、お墓まで、あらゆる独自文化がこの小さな島々に詰まっている。
それらに触れつつ、暮らしや趣味に取り入れることができれば人生が豊かになることはまちがいない。

家賃が安い

総務省統計局が行った2022年の小売物価統計調査によると、住居費は全国を100とした場合の地域差指数は東京都が130.7、沖縄県は89.9となっている。

ざっくりいうと、東京で月13万円の物件が沖縄では9万円ということになる。東京に比較すると沖縄の家賃はかなり安い。収入が低くなったとしても、家賃が減った分でかなりカバーできそうだ。

場合によっては、このような伝統的琉球家屋に住むこともできるかもしれない。

 

デメリット

給料が安い

もっとも大きなデメリットがこれである。一般的に本土から沖縄に転職すると、給料が7割程度に減るといわれる。
最近は同じ仕事であれば東京と同じ額を出すという企業も出てきてはいるが、それほど多くはない。本土より多くなることもほとんどない。
要は減った分を他のメリットでカバーできるかどうかである。
給料の額だけで判断せず、たとえば通勤地獄から解放された、家族との時間が増えた、趣味が充実した、スポーツに打ち込めるようになったなどなど、どれだけ幸せ度がアップしたかで評価すべきである。

職場の環境が違う

一般的に沖縄の企業は、本土の企業ほどには社員に実績を求めないとされる。ノルマを達成しろだの、売り上げをアップしろだのと、それほど厳しくはいわれない。
社員同士は仲がよく、和を大切にする傾向が強い。しかし、そこへ本土からの転職者が入ってきた場合、驚くこともよくある。「こんな『なぁなぁ』で業績が上がるわけがない」というわけだ。
そして悩んだり改善しようとしたりする。だが、その努力が逆に反感を買って孤立することもある。まずは郷に入りては郷に従うことから始めるのが賢明だ。

非正規が多い

日本企業の雇用形態といえば正社員の終身雇用が一般的だった。しかし、かつての長期不況やデフレを背景に雇用に関わるコストを削減する目的もあり、企業は非正規の割合を増やしていった。
ところが沖縄では不況やデフレなどに関係なく、もともと非正規雇用が多かった。沖縄県の調査によると、県内の非正規雇用率は41%で全国でもっとも高い
その理由や背景には歴史的なものもあるが、とにかくそういう土地柄なので「最初から正社員じゃなきゃだめ」という姿勢だと転職先を見つけるのに苦労するかもしれない。
最初は契約やパートでも、しっかり働いていれば正社員に登用されるケースも多いので、入社時には正社員にこだわらないほうがいいだろう。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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