2024/01/04

【成功する沖縄移住】観光業界就職への戦略はこれ!

以前の記事で転職先として観光業界は有望と紹介した。ウチナーンチュは、この業界で働くのに意外に適性が低いことも狙い目であると書いた。そこでもう少し掘り下げて、観光業界就職への戦略を考えてみる。

ひとことで観光業界といっても職種は多い

観光業界といえば、業種はホテルをはじめウェディングや観光関連施設などとなる。
さらに職種は意外に多い。ホテルのマネージャーからフロント、コンシェルジュ、営業、総務、広報、システム・エンジニア(SE)、ウェブマーケティングスタッフ、通訳翻訳、調理、エステティシャン、ウェディングプランナー、レンタカー会社スタッフ、ブランドショップスタッフなど、多岐にわたるのだ。
したがって、ホテル勤務の経験がなくてもホテルへの転職が可能なケースがある
たとえばIT業界で働いていた人が、ホテルのSEとして採用されるなどという場合だ。
雇用形態もさまざま。正社員から契約、アルバイト・パート、繁忙期のみの住み込みバイトもある。
こうしたことにくわしい人材派遣会社の担当者は「コンタクトしてくるのは沖縄に興味のある方が多い」と話す。
当然といえば当然だが、中には旅行に来るのでついでに面接してほしいという人もいるらしい。
そういう場合でも人材派遣会社の担当者は、会って1、2時間かけてじっくりと聞き取りをするという。
一番大事なのは移住の目的やライフスタイルなど本人の希望だから、そのあたりはくわしく、もちろん本人のキャリアや今後の仕事における方向性などもあわせて聞き出すわけだ。

竹富島などで見られる水牛車。運転手さんは立派な観光業界の人であり、求人も時々あったりする。働き方ものんびりしていることだろう。(©OCVB)

 

収入減も冷静に受けとめて

しかし、残念ながら勘違いしている人もいる。
たとえば東京の他業界の大企業で働いていたマネージャークラスで年収は800万円。
募集条件のよいホテルの宿泊マネージャーに転職を希望していて、ホテル経験はないが東京でバリバリやっていたから沖縄でもできると思い、前職と同レベルの給料を求める。
しかし、未経験だと年収は半分になる可能性があるし、たとえ経験があっても東京に比べると7割くらいに落ちると考えていたほうがいい。
経験者でも年収は3割減と話すと「え!?」と固まってしまう人もいる。「そこからもう少しつっこんだ話をする」とこの担当者はいう。その話とは次のような内容だ。
東京などから沖縄に転職すると最初は年収が落ちてしまうが、これを上げることは可能だ。
だいたい2年くらいで、東京並みとはいかないまでも沖縄でなら十分納得できるレベルまで上がる。
したがって2年程度は安月給でも我慢して働き続け、自分の努力で年収を上げるという発想がいい。
努力といっても特別なことは必要ない。東京の会社でごく普通にやる感覚でいい。そして勤務態度が真面目なら評価はしてもらえる。
だから年収を上げるのはさほど難しくない。気負わなくてもいいのである。

 

必ずしも正社員にこだわらないほうがいい

それから大切なのは、雇用形態にこだわらないことだ。正社員であっても残業代なし、ボーナスなし、休日出勤いっぱいなどという会社が沖縄にはザラにある。
また、継続して正社員で求人を出している会社は定着していないと考えられるので避けたほうがいい。
一方、契約社員でも待遇や職場環境がよく、契約が自動更新されるなど働きやすい職場もある。
雇用形態にとらわれず、中身をしっかり確認してから転職先を選ぶほうが選択肢が広がるというわけだ。
また沖縄では、まずは派遣や契約などで採用する企業が多い。これには歴史的な背景もある。
米軍統治下にあった沖縄が日本に復帰したのは1972年のこと。その年の観光客は44万人ほどで、2018年の約1,000万人に比べると20分の1以下でしかなかった。
移住者ももちろん少なくて、なかには本土からの流れ者のような人も多かった。
そのため入社してもすぐに辞めてしまったり、なにかしでかすケースも見られたという。
これでは最初から正社員で採用するのを企業がためらうのは当然だ。
企業側は正社員として採用したくないわけではなく、見きわめる時間がほしいのである。
見きわめた上でいい人材は正社員として長く働いてもらいたいのが企業側の本音だ。
だから最初は派遣や契約でも、あるいはアルバイトでも一定期間経ってから正社員に登用される人が多い。
なので「腰を据えて働こうという人ほど紹介しやすい」と人材派遣会社の担当者はいう。

高級リゾートホテルが林立する沖縄では、エステティシャンの需要も高い。エステティシャンがホテルに就職すれば観光業界人になる。

 

認められれば年収は当初の数倍にも

例えばある移住者は、派遣で外資系ホテルの仕事に就いて最初は月給が15〜16万円だった。
しかし、仕事ぶりが認められて正社員に登用され、広報マネージャーになり年収が700万円に達しているケースもあるという。
「入口」の形にこだわらないほうが、結果的によかったというケースがたくさんある。
ところで、観光業界への転職も接客の経験などがあると有利なのはいうまでもない。販売や営業の経験もプラスになりそうだ。
特に人材紹介や派遣を行っている会社の場合、クライアントつまり企業の状況を十分把握していることが強みである。
情報をたくさん持っているので、たとえば未経験者でも採用してもらえる企業が見つかるかもしれない。
そういう意味では沖縄に強い転職エージェントに相談してみるのもひとつの手だろう。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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