【成功する沖縄移住】成功事例に学ぶITエンジニア移住転職の勘どころ!
以前アップした記事で、移住後の就職先としてIT業界は有望だと紹介した。今回は筆者が以前取材したIT業界移住者の話を元に、成功事例を紹介したい。実例として役立てていただければ幸いである。
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仕事と子育てと奥さんの身体を考えて沖縄へ
Aさんは大阪府出身。IT系の専門学校を卒業後、東京のIT企業に勤め、システム開発をしていた。
その仕事に携わって6年、やりきった感、そして退屈感を抱いていたという。そこで転職を決意。どうせならそれまでの経験を生かして、またIT関連の仕事に就きたいと思っていた。
一方、都会が好きではないという自分の性格もある。その点については奥さんも同じだ。
となれば東京からどこかへ移住するしかない。せっかくなら東京とは文化が違うところに住んで、働いてみたいと思った。
そこで最初は外国を検討し、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなど将来子どもができたときのことも考えて環境のよい地域への移住を考えた。
ただ、これらの国々では求人が少ない。アジアまで範囲を広げるとこれまでやってきたシステム開発の仕事も含めて求人は多くなる。だが、アジアでは子育てに若干不安がある。
さらに奥さんは腰痛持ちで冬になると悪化する。治すには暖かいところに引っ越すしかないと医者からいわれており、奥さんの希望もあって最終的に沖縄への移住と転職を決断した。カギは東京並みのレベルの高い仕事ができるかどうかだった。
前職はウィンドウズアプリケーションの開発がメインだったため、転職先はウェブアプリケーションの開発に携われるところがいい。
また、今後予想されるグローバル化も考えると海外とつながる仕事がしたい。それよりももっと大切なのはワクワクする仕事であることだ。
しかし、それまで個人的に持っていた沖縄のIT企業のイメージは、本土より人件費が安く、下流の仕事を下請けとしてやっていて、チャレンジングな仕事はあまりない、というものだった。
ちなみにIT業界、特にシステム開発の現場では設計などの仕事を上流工程、プログラミングやテストを下流工程と呼ぶ。
上流から下流へという流れで仕事が進み、下流工程を地方に委託することも多いという。
東京と比較して遜色のない仕事ができる会社を探した。その点では妥協するつもりがなかった。もし見つからなければ移住をあきらめようとも考えていた。
そうした姿勢で、在職中に求人サイトを使い沖縄の会社を探した。いくつかヒットしたなかで一番ピンと来たのが今勤務している会社だ。
沖縄側と東京でオンライン面接をし、内定が出たので即決した。他社には目もくれなかったという。
沖縄にいながらチャレンジングな仕事ができる
念願の移住を果たしたし、那覇市にあるオフィスに勤務し始めた。この会社では客からの依頼に基づき、ベトナムにいるメンバーとともにシステム開発をするという。
アジアのエンジニアと仕事をするというと、IT業界ではいわゆる「オフショア開発」を思い浮かべる人も多いだろう。
国内で受託した仕事を人件費の安い海外へ再委託してコストを下げるやり方だ。しかし、言葉を含む文化やスキルの問題などでうまくいかないことも多い。
そこでこの会社では、国内のエンジニアと海外のエンジニアがひとつのチームを作り、英語でコミュニケーションを取りながらシステム開発を行うグローバルチーム型開発という手法を採用している。
こうした環境で、地方にいながらグローバルでチャレンジングな仕事に携われているという。
子どもが生まれ、暖かく、仕事が楽しい
一方、給与面だが、東京で勤務していたころに比べて、年収ベースで約50万円下がった。
東京に住んでいたころの家賃が10万円で、沖縄では7万5,000円ほど。年間にすると30万円ほど安くなっており、これを勘案すると年収低下は20万円程度に圧縮される計算だ。
しかも住まいは那覇市のおもろまちというところ。この一帯は新都心とも呼ばれ、新しくて小ぎれいなマンションやアパート、商業施設が建ち並ぶ、沖縄県内でも一、二を争う人気エリアである。
買い物、食事はもちろん、学校、病院、公園、博物館、美術館、映画館、カラオケ店、ハローワークまで、生活に必要な商品やサービスは徒歩圏内にそろっているといっていい。東京と同じくらい、もしくはそれ以上に便利な街だ。
会社も那覇の中心部近くにあるので、東京から引っ越してきてもギャップを感じたりすることはないだろう。新都心地区が移住者に人気が高いのはそういったことも要因のひとつだ。
おもろまちにはモノレールの駅もある。Aさんも通勤時間は片道20分程度。距離でいうと5㎞ほどなので、その気になれば自転車通勤も可能だ。
Aさんが移住してから子どもが生まれた。沖縄で生まれたので子どもは立派なウチナーンチュだ。
東京よりも家賃は下がり、住まいは広くなった。それも子育てにはよさそうだ。また、人混みが少ないので精神的に楽だし、冬も暖かいので体も楽だ。奥さんの腰痛もだいぶよくなったという。薄着で過ごせるのもいい。
このように生活環境は快適だが、東京に比べて虫が多いのが気になる。見たこともない虫もいる。
それから車はマストだ。Aさんは沖縄に来てから車を買った。東京にいるころはペーパードライバーだったが、沖縄では運転しないと生活が成り立たない面もある。ただし、東京や大阪と比べて道は広くて走りやすい。
スーパーで売っている野菜は本土に比べて高いとか、総菜のラインナップがかなり違うなどと聞いていたが、それほどの違いはないと感じる。
食事では弁当の安さがうれしい。ボリュームのある弁当が400円から500円程度。コスパはかなりいい。それも含めて沖縄の食事は全般的においしい。
ちょっと不便に感じたのは、公共料金の引き落としが基本的に地元の銀行や信用金庫などとゆうちょ銀行でしかできないこと。
都市銀行に口座を持っていたAさんは、移住後しばらくしてゆうちょ銀行に新しく口座を開設したが、それまではコンビニで払っていたという。
面接では地に足が着いた発言をしたほうがいい
沖縄に移住した理由でよく聞くのは、「海がきれいだから」とか「ダイビングにはまったから」というものだ。これから移住・転職を考えている人にAさんは、個人的な意見と前置きしつつアドバイスする。
今勤めている会社の面接のときに、沖縄を選んだ理由として、青い海や豊かな自然にあこがれたからとはいわなかったという。沖縄に夢を見ていると面接官に思われたくなかったのだ。
実際、夢見ての移住は長続きしないとAさんは考えている。そうではなく、沖縄という恵まれた土地で○△に挑戦したかったからとか、子育てによい環境だからとか、地に足が着いたことをいうようにしたというのだ。
夢見心地よりも、地に足を着けて仕事や暮らしを考えている人のほうが、採用する側から見れば評価が高いのはうなずける。
さらに、移住にあたって必ず必要となる引っ越しについても経験者ならではのアドバイスをする。
特に考えておきたいのが費用の問題である。安く上げるには「輸送費が高い家具家電は処分して沖縄で新しく購入する」「ダンボールに入るものはすべて宅急便で送る」のがいいという。
それでもAさんの引っ越しでは入居費、移動費、輸送費、家具家電の購入費など、トータルで100万円くらいかかった。シーズンにもよるが、全部引っ越し業者に頼んだらもっとかかっただろうと振り返る。
さらに、そうした引っ越し費用に対して転職先の会社が補助してくれるかどうか、事前に確認したほうがいいと助言する。
もはや沖縄のIT業界は下請けではない
取材時にAさんが担当していた案件は総額50億円という巨大プロジェクトだ。これを2年半かけて完成させる予定である。
英語が得意なAさんは、さまざまな国のエンジニアとともにシステム開発を行い、また海外へ行って仕事をするといったことにも積極的に挑戦していきたいという。
仕事では新しいことに積極的に取り組めること、つまりチャレンジングなところが気に入っている。退屈せず、楽しみながら仕事ができるし、沖縄にいながらこうした働き方ができるのはすばらしいことだと感じているという。
いずれ海外で仕事をする夢はあるが、子どもが生まれたこともあり、当面は沖縄でがんばっていこうと考えているそうだ。
前述のように、以前は沖縄でのIT系の仕事というと本土の下請けというイメージが強かった。しかし、沖縄で多くのIT企業が集積するようになり、それも変化しているようだ。
沖縄でも大都市と変わらない仕事ができて、さらに海外雄飛のチャンスすら巡ってくるかもしれない。
IT業界における時代の潮流は変わりつつある。その潮目に乗れれば移住もきっと成功するだろう。
レベルの高い仕事が楽しくできて、家族も満足してくれれば移住は成功といっていいだろう。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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