【成功する沖縄移住】ゲーム好きIT技術者は北海道から家族で移住
東京などの大都会から沖縄に移住する人は多いが、地方から引っ越してくる人もいる。その場合、収入の減少幅が小さければ、移住しやすいかもしれない。今回紹介するのは北海道からの移住を実現したIT技術者のケースだ。
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ゲームから入ったIT技術者人生
Bさんは北海道出身の父親と沖縄出身の母親との間に1976年、埼玉県で生まれた。
スーパーマリオブラザーズやファイナルファンタジーなどで遊んでいたが、いつしか「ここはこうしたほうが楽しい」と思ったり、レースゲームのコースを自分で考えたりしていた。
そこで、東京のコンピュータ専門学校のゲームコースで学ぶ。大学ではなく専門学校を選んだのは、大学の情報系学科にゲームコースがなかったからだという。
その後、北海道の地場企業でゲーム事業部のある会社に就職する。念願だったゲームソフト開発の仕事に就くことができたのだった。
ヒット作も世に送り出し、おかげでかなりいい給料をもらっていて、居心地もよかったが、結局15年勤めたあと退職する。
ITは男の仕事じゃないだと? 一度は断念した沖縄移住
Bさんは母親の影響もあって、もともと沖縄にはあこがれを抱いていた。奥さんもシュノーケリングが大好きな沖縄ファンであり、新婚旅行先も沖縄だった。
2006年ごろには夫婦で沖縄移住を検討し始めた。しかし、なかなかいい就職先が見つからなかった。当時は沖縄県民のITに対するイメージもあまりよくなかった。
台風など自然の脅威と戦う島でITなんか男の仕事ではない、みたいな空気もあったという。当時の沖縄のIT業界は給料も安かった。
また、子どもの教育費の問題もあり、やむなく沖縄移住をいったん断念した。
北海道で沖縄のIT企業の社員と知り合い、移住
ところでIT業界はコミュニティ活動が盛んなことで知られている。これは会社の枠を越えて業界人が集まって親睦を深めたり、技術交流したりする場だ。
したがって勉強会的な性格も有する。Bさんもこうした活動に積極的に参加しており、あるとき北海道で開催されたiPhoneの勉強会に参加した。
そこに、たまたま沖縄のIT企業の社員が参加していて意気投合する。特にふたりの意見が一致したのは、業界では人材育成が大切という認識だった。
「経済のグローバル化の波に呑み込まれて日本のITは遅れている。子どもたちが将来就職することを考えると、IT業界をもっと発展させなくてはならない。そのために大事なのは人材教育」というわけである。
そこで「いっしょにやろう」ということになり、Bさんは念願の沖縄移住も果たせることになった。
いい会社との出会いが移住を成功させるコツなのかも
就職先の会社でBさんはソフトだけでなくハードウェアの開発も手がけている。沖縄のIT企業でハードまで手を広げるところは多くない。そのあたりにも本人は満足しているという。
収入は北海道に比較してやはり少し下がった。しかし、転職に際してBさんが提示した金額を会社が受け入れてくれたという。つまり、言い値だ。したがって給料に関する不満はまったくないという。
住まいは本島中部の北谷町で通勤は車。うるま市にあるオフィスまで所要時間は約30分だ。
混まない時間帯を選んで時差出勤している。だから渋滞に巻き込まれることもなく、通勤は快適だ。
家族は妻と子ひとり。琉球古民家風店構えの沖縄料理店めぐりを趣味としている。
ただ、メニューを見ても半分はわからない(笑)。「うむくじぷっとぅるー」などと書かれていても、どんな料理だか見当もつかない(笑)。それを楽しんでいると話す。
ちなみにうむくじぷっとぅるーとは、芋くずを水かだし汁で溶いて塩で味をつけ、ニラなどを加えてフライパンでお好み焼き風に焼き上げた料理のこと。
うむくじは芋くず、ぷっとぅるーはのり状に固まった料理を指す。
困ったことはテレビのチャンネルが少ないこと。特に北海道出身の奥さんが好きなフィギュアスケートの番組が少ない点が不満らしい。
北海道にはウィンタースポーツに興味のある人が多いが、沖縄ではそれほどでもないため、番組も少ないらしい。ウチナーンチュとしてはそういわれて初めて気づく話だ。
移住してよかったことは、なんといっても楽しく働けること。他の業界はともかく、ITならば東京と比較しても遜色ない仕事ができる。
家族はもちろん、会社もこよなく愛するBさんとしては優れた人材に沖縄に来てもらいたいという思いもあるだろう。
「ほかにも先端技術を持った会社が沖縄にある。今は情報を手に入れる手段がいくつもあるので、いろいろ調べたり気軽に問い合わせたりしてみるといい」とアドバイスする。
沖縄のIT企業は、昔より魅力度が上がっているようだ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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