【成功する沖縄移住】魚やエビカニが皿の上で飛びはねる風流な焼き物「壺屋焼」
前回、琉球ガラスについて触れたが、伝統工芸つながりで今回は沖縄の焼き物「壺屋焼」を紹介したい。沖縄で暮らす際、工芸分野に関する知識が多少あれば文化の理解度が深まる上、それを取り入れた生活も楽しめるからだ。
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350年近い歴史を誇る壺屋のやちむん
壺屋焼は、主として那覇市壺屋地区で作られる陶器である。ちなみに陶器全般のことを沖縄では「やちむん」という。
壺屋は、昔から沖縄におけるやちむんのメッカだった。もともとは沖縄各地に散在していた窯場を、1682年に琉球王府が壺屋に統合したのが始まりで、それが壺屋焼の起源ともいえる。350年近い歴史を誇るのだ。
文化の土台が自然であることを実感する
壺屋焼には、もちろん芸術的価値の高い作品もたくさんあるが、本来は生活に密着した実用品なので、大らかで温かみのある品が多い。
それは、魚やエビ、カニなどの絵柄が多用されるなど、沖縄の風土に根ざしていることも要因のひとつである。
豊かな自然が、沖縄の伝統文化の背景にあることを強く感じるだろう。
大きく荒焼と上焼の2種類に分けられる
壺屋焼は、「荒焼(アラヤチ)」と「上焼(ジョウヤチ)」の2種類に分類することができる。
荒焼は、うわぐすりを使わずに焼き締めるもので、素朴で温かみのある質感が特徴だ。主に日用品や食器などに使われる。
また、水ガメ、みそガメ、酒ガメなどの比較的でかいものは荒焼が多い。耐久性が高く、沖縄の生活に根付いた実用的な陶器ともいえる。
一方、上焼はうわぐすりを使い、絵付けや線彫りなどをほどこすもので、色鮮やかな仕上がりになる作品が多い。
食器、花器、茶わん、きゅうすなどが作られるほか、美術品や装飾品として用いられることが多いのも上焼の特徴だ。
沖縄初の人間国宝として知られた金城次郎は上焼の陶工だった。彼の作品がテレビの「開運!なんでも鑑定団」に出るのを時々見かけるが、やはり大皿一枚2~300万円の値が付く。
上焼の芸術性の高さを証明する金額といえるだろう。
オタクとヤンキーが反目し合っていた
昔、荒焼の陶工と上焼の陶工は仲が悪かったそうである。
荒焼派は上焼派のことを、毎日毎日うつむいて口もきかずに絵付けをしている暗くて陰険な連中とさげすみ、上焼派は荒焼派のことを、粗暴でいいかげんで酒や女にうつつを抜かしてばかりいる低能とバカにしていた。
今でいえば、荒焼派は上焼派を「オタク」と笑い、上焼派は荒焼派を「ヤンキー」と見下していたのである。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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