【成功する沖縄移住】沖縄暮らしに不可欠なのは「車」であるという独断的なお話
沖縄で生まれ育ち、東京暮らしも10年ほど経験した者として、大都市と沖縄、両地域での生活における大きな違いをあげるならば、まずは交通環境だろう。東京や大阪などの大都市で暮らしていた人が沖縄に来てみると、交通環境の違いに驚くはずだ。もちろんこうした違いは他の地方でもあるのだろうが、沖縄に関していえばもうひと味違う。その対応に必要なのが、日常の足としての車である。なぜそういえるのか、筆者の感覚から説明してみたい。
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モノレール以外に鉄道がない
沖縄で車が欠かせない要因のひとつは鉄道がないこと。戦前は別として、2003年に那覇空港~首里間でモノレールが開業するまで、沖縄には鉄道がなかった。そのため、昭和40年代ごろからモータリゼーションが急速に進んだ。
ちなみに沖縄はガソリン税が本土より1リッターあたり7円ほど安い。ただし、離島への輸送費補助にあてるため、石油価格調整税として県が1.5円徴収しているので、実質的にガソリン税は1リッターあたり5.5円安いことになる。
ガソリンの安さもモータリゼーションに拍車をかけているのかもしれない。
二輪車もあまり現実的ではない
もうひとつの特徴は自転車が少ないこと。暑さのせいもあるだろうし、意外に坂道が多いのもその原因だ。鉄道がないから駅がない。したがって、自転車で駅まで行って電車に乗るという使い方もしない。
買い物にも使わないし、前と後ろに子どもを積んでペダルをこぐ主婦もいない。自転車に乗るのは中学生とオジィぐらいだ。
バイクもそれほど有力な移動手段ではない。夏は脱水症状を起こすほど暑いし、前触れもなく猛烈なスコール(本土ではゲリラ豪雨というらしいが)に襲われて下着までずぶ濡れになる。そして冬は意外に風が冷たくて寒い。
交通公共機関も使い勝手がいいとはいえない
公共交通機関はモノレールを除くとバスとタクシーだ。マイカーがこれほど普及する前は庶民の足はバスが一般的だったが、利用客は減少の一途をたどっている。
バスを利用するのは学生や那覇の中心部に通うサラリーマン、OL、それに車を持たないお年寄りと酔っ払いが中心だ。もちろんタクシーはいっぱい走っているが、日常の足にしてはコストがかかりすぎる。
モノレールは空港と首里、浦添を結ぶだけの短い路線だし、渋滞でバスはいつ来るかわからない。バイクもきびしい。
となるとやはりマイカーは必需品。車を持ってないと仕事にも影響することがあるし、沖縄暮らしでは欠かせないアイテムといえる。
ひとり1台所有する家も普通
前述のようなさまざまな理由から、沖縄の一般家庭ではお父さんお母さんに大学生の子ども、それぞれが車を持っているというケースは普通である。
そうなるとひとり1台といっても過言ではないから、セカンドカーやサードカーを持つ家も珍しくないことになる。住んでみるとやはりマイカーの必要性を強く感じるだろう。
とはいえ、家族全員が普通車を持っているのはまれ。維持費がかかるからだ。そのため、軽自動車の所有率が高い。
移住者にも経済的で使いやすい軽自動車がおすすめ
移住者もフトコロに余裕がないなら、維持費の安い軽自動車を検討していただきたい。自動車税で見ると、1~1.5リッターの普通乗用車が年間3万4500円なのに対し、軽の乗用は1万800円と3分の1以下(乗り心地は多少悪くなるが、貨物車は5,000円とさらに安い)。
保険料もガソリン代ももちろん安い。それと狭い路地が多くて、スーパーなどの駐車場に停める機会も多々あるので、小まわりが利いて取りまわしが楽な軽はとても使いやすい。とくに女性には人気がある。
ただし、需要が多いせいで、軽の中古車は比較的高い。同じ年式で同程度の普通車と軽があったら、軽のほうが高いぐらいだ。だから、軽は新車を買うのが理想ではある。安いものは80万円台からある(税込車両本体価格。購入時は別途諸費用が必要)。
長く暮らすつもりなら、軽の新車は十分選択肢に入るだろう。
ぶっちゃけ運転マナーはあまりよくない
ハンドルを握るときに気をつけたいのはまわりの運転マナーだ。
以前よりはだいぶましになってきたが、ウチナーンチュは運転マナーがあまりよくない。ウインカーをつけないとか、いきなり割りこんでくるとか、流れも考えずにゆっくり走るとか、かなりいいかげんだ。全体的に平均速度も遅め。
したがって本土の感覚で走っていると速度の違いが事故につながるケースがある。近年レンタカーの事故が増えていることも、マナーの悪さや流れの遅さと無関係ではないだろう。
さらに、渋滞のひどさに定評があることも覚えておこう。
渋滞による時間的ロスを示す数値に渋滞損失時間というのがある。内閣府沖縄総合事務局が発表したデータによると、沖縄県民ひとりあたりの渋滞損失時間は年間47時間で、これは全国4位の多さだという。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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