2023/05/16

【成功する沖縄移住】どんな人が移住して来るのか「移住者の傾向」とは?

前回の記事では音楽やテレビドラマ人気を背景とする沖縄ブームがあり、それが多くの観光客を呼び込み、その数がついに年間1000万人を突破したことを紹介した。この流れは移住者の増加にもつながる。では、その移住者とはどんなタイプの人たちなのか。その傾向を探ってみよう。

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移住者は年代ごとにタイプ分けできる

移住者は年代でいくつかのタイプに分けることができる。

定年後、第二の人生を送るにふさわしい地として目をつけ、移り住むケース、主に60代。

時間に追われ、対人関係に悩み、仕事がイヤになって癒しを求めて移り住むケース、主に30代から40代。

夢とあこがれを抱き、イメージ先行でやってくるケース、主に20代。

境遇や求めるもの、持っているカネの額はそれぞれ違うが、共通するキーワードがある。「楽園」だ。

美しい自然、温暖な気候、独自の文化、心優しい人々、ゆったり流れる時間…。こうしたもので、この地は楽園なのではないか、と思うのである。

本島北部などで別荘地の開発が進められている。開発業者のターゲットは主に団塊の世代の移住者で、やはり海の見えるロケーションが人気だ。別荘が終の棲家になるケースもあるだろう。

 

経済振興の原動力か、うば捨て山か

移住ブームには仕組まれているフシもないわけではない。人が来れば経済効果があるのは当然のこと。はっきりとはいわないが、多少カネを持っている人なら来て欲しいと、行政なども思っているだろう。

不動産業界は「移住してきてください」と、はっきりいっている。マンションに一戸建て、別荘その他、移住者はデベロッパーにとっていいお客さんなのである。最近は銀行も新規の顧客として移住者を狙っているようだ。

病院まで移住者向けに新たな事業展開をもくろんでいる。近年、民間病院が大規模で高級な老人ホームを造ったりしているのだ。ウン千万だかを払えば一生暮らせて、高度な医療サービスも受けられるというのがウリ。

冬でも暖かいし、もともと長寿の島でもあるし、子どもに迷惑をかけず、おいしいものを食べ、快適に楽しく暮らしながら、安心して長生きしましょう、というわけだ。

けっこうな話だが、「沖縄は、うば捨て山か」というウチナーンチュのつぶやきも聞こえてくる。

 

均質化されて沖縄のよさが消える恐れも

ただ、ナイチャー(本土出身者)が増えるにつれて、沖縄のよさが失われると危惧する人もたくさんいる。

助け合いの心がなくなり、個人主義というか利己主義がはびこるのではないか、カネの亡者が増えるのではないか、時間のゆとりがなくなるのではないか、自然が壊れるのではないか、などなど。

要するに日本と同じになってしまうと心配するのである。均質化への恐怖、とでもいえばいいのだろうか。たとえば、伝統工芸や芸能の後継者にナイチャーが多いという事実についても、ウチナーンチュは複雑な思いを持っている。

復帰後、アメリカ統治のせいで遅れていたインフラ整備を進めようと、公共工事に天文学的な税金が注ぎこまれたが、利益を持っていったのは本土企業だったというトラウマもある。

またウチナーンチュは利用されるだけで、おいしいところはナイチャーに持って行かれるのではないかと疑念を抱いているのだ。

 

年代別の傾向をもう少しくわしく

前述のように、移住者は20代から60代と幅広い年齢層に渡っている。それぞれの特徴についてもう少し突っこんでみたい。

60代は「小金持型」。退職金があるし、沖縄は物価が安いので年金で十分暮らしていけると考える人たちだ。こういう人は移住に成功しやすい。家を買うケースも多い。

30代から40代は、ポジティブ志向の人もいれば、とにかく都会暮らしで疲れてしまった逃避型もいる。この年代の移住はけっこう大変。沖縄は仕事が少ないからだ。

また、仕事があっても本土で働いていたときと比較すると収入は激減する。ほぼ半分と思っていたほうがいい。ただし、数年住んで元気を取り戻してまた本土に戻るという発想ならうまくいくかもしれない。

20代は半分旅行者が特徴。那覇を中心に一泊1000円とか1500円とかのゲストハウスがたくさんできているが、そこに長期滞在しているのはこの手の若者が大部分を占める。

住民票を移さないので、厳密には移住者とはいえない。夢を探しにとか、やりたいことを探しにとか、いわば「なんとなく型」。ブラブラしてカネがなくなったらバイトして、またブラブラして…。これをくり返しながらロングステイする若者も多い。

観光客や移住者の増加に合わせるように増えてきたゲストハウス。1ヵ月契約だと1泊1000円を切るケースもある。人によってはゲストハウスに住民票を移して、そこをベースに就職活動をする場合もあったりする。

 

もちろん理由は人それぞれ

ロングステイにせよ移住にせよ、理由は人それぞれである。

「毎日ダイビングがしたい」「三線の勉強がしたい」「琉球ガラス作家になりたい」「海人(漁師のこと。海を歩く人という意味でウミアッチャーとも呼ばれる)になりたい」「食べ物がおいしい」「エイサーがやりたい」「蝶を追いかけたい」「紅型をやってみたい」など、この系統は比較的ポジティブなタイプだ。

「転勤で」「大学に行くため」「暖かいから」「子どものアトピーを治すため」「花粉症がないので」「彼氏・彼女を追いかけて」などは、引っぱりこまれタイプ

ちなみに、この恋人を追いかけてというパターンは意外に多い。相手が沖縄出身者で、地元に戻ったのを追いかけるケースと、進学や転勤などで沖縄に来た恋人を追いかけてくるケースがある。

後者の場合、相手が本土に帰ったのに自分だけ残ることもよくある。恋人か沖縄かという、妙な選択を迫られることもあるわけだ。

よくわからないのは、流れ者タイプ。なんとなく型もこれに属するだろうが、気がついたら沖縄にいたという連中。目的もなく存在し、ウチナーンチュの貴重な働き口を奪うので、嫌われる。

琉球ガラスの作家になりたいという理由でわざわざ移住してくる人もいるらしい。廃ビンを利用してアメリカ軍人のお土産を作り、なんとか食っていたころは考えられなかっただろう。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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