「ウチナーグチ」をカルチャースクールで学ぶ沖縄県民
復帰50年を迎えた昨今、沖縄本来の言葉であるウチナーグチを話せる人がさらに減ってきた。そこでカルチャースクールなどで教えるようになっている。どういうことなのだろう。
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ふるさとの言葉は悪であった
ウチナーグチとは沖縄独自の言葉である。単なる方言ではなく、琉球語もしくは沖縄語といってもいい。日本語からはちゃんと独立したひとつの言語なのだ。
それを教える教室に通うのはナイチャーではなく、ウチナーンチュが中心だ。それが、ウチナーグチが直面する現実を物語っている。
60代以上のウチナーンチュは、ウチナーグチを使ってはいけないと学校で教えられた。日本語を話しなさいというわけだ。ウチナーグチをしゃべったら罰を受けた。
したがって、その年代以上のウチナーンチュにとって、ウチナーグチは不良などが使う悪い言葉であった。
おかげで文化の礎が危機的状況に
今考えると、日本政府と、その手先になった教師たちが郷土の言葉を踏みにじったともいえる。そのせいで、ウチナーンチュは自分たちの言葉がしゃべれなくなった。
だから教室を作って教えなくてはならなくなったのだ。言葉は文化の礎だから、言葉を失うとき、私たちは文化を失うという危機感もある。
変ではあるが意義はある
ウチナーグチ講座は5回から10回程度をワンクールとするのが一般的なようだ。もちろん、この程度でちゃんとしゃべれるようになるわけではない。入り口の入り口といったところだろう。
しかし、ウチナーンチュのアイデンティティとしてのウチナーグチを途絶えさせてはいけない、その点に気づくだけでも意義は大きいだろう。
もっと本格的な取り組みが必要
とはいえ、カルチャースクールレベルでどんなに教えても、危機に陥ったウチナーグチは救えない。
本気で残そうと思ったら、たとえば大学や高校、さらに駅前留学などの外国語スクールでもウチナーグチの授業を行い、英検にならってウチ検も作り、沖縄の大学では必ず入試科目にする、ぐらいの取り組みが必要だ。
また、小学校で英語を教える前に、ウチナー口を教えるべきである。
ちなみに、2021年の秋に東京外国語大学が一般向けに沖縄語、つまりウチナーグチ講座を開講した。オンラインだが沖縄県外の大学が沖縄語講座を開設するのは初めてだという。
東京外語大の講座は有料だが、県内では行政などのサポートにより無料の講座もある。ウチナーグチ存続のためにもぜひ活用したいものだ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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