【成功する沖縄移住】美しいだけではない県花「デイゴ」の光と陰を知ろう
島豆腐を買いに歩いてスーパーへ向かう途中、近道をしようと通った公園に、デイゴの花が咲いているのを発見した。デイゴは沖縄の県花であり、初夏の風物詩である。真っ赤な花が青空に映える様子は見ていて気持ちがいい。それはいいのだが、実はデイゴには陰の部分と光の部分がある。そのあたりをおさえておいて鑑賞すると、なおさらおもしろいので紹介しておきたい。
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「島唄」の歌詞に込められた暗喩
THE BOOMの大ヒット曲「島唄」の出だしは次のような歌詞になっている。
でいごの花が咲き 風を呼び 嵐が来た
でいごが咲き乱れ 風を呼び 嵐が来た(詩/宮沢和史)
この歌詞は、デイゴの花が咲く初夏になって米軍による攻撃は激しさを増している、というような意味がこもっているらしい。
デイゴの花が米軍の攻撃という嵐を呼んでいると解釈できるから、これは不吉である。
デイゴの花が咲き乱れると台風の当たり年
もうひとつ、沖縄では、デイゴの花がいっぱい咲くと台風の当たり年になる、といわれる。
一種の言い伝えであり、科学的な根拠があるかどうかは不明だが、現在でも一般的にいわれていることは確かである。
開花時期は3月~5月くらいなので、咲き乱れる花を楽しんだ後の夏や秋に、まるで罰のように猛烈な台風に襲われるのはかんべんしてもらいたいものだ。
害虫が開花を阻止して木を枯らせる
ところがほかにも問題がある。デイゴの開花率が極端に落ちる現象が、ここ7~8年ほどの間に頻発するようになったのである。
原因はデイゴヒメコバチという害虫だ。
デイゴヒメコバチはもともとアフリカに多く分布していた、体長1~1.5mm程度の小さなハチである。
これが2005年ごろから沖縄に入ってきたようで、それから街路樹などのデイゴの花が咲かないどころか、枯れてしまう被害すら広がったのである。
デイゴの花が咲かない年は台風が少ないという解釈は成り立つものの、それが害虫によるものとなれば、また問題は別なのである。
琉球漆器の木地になるのは明るい光
さて、デイゴにおける光の部分についてだが、これはもう琉球漆器である。その素材、いわゆる木地としてデイゴの木が最適なのだ。
実はデイゴの木地は、水分を100%含んだ状態でも、完全に乾いた状態でも、まったくといってもいいほど膨張や収縮をしない。
これは木材としては極めて不思議な特性である。このため、湿度が100%になろうという熱帯雨林地帯でも、0に近い極寒の地でも砂漠でも膨らんだり縮んだりしない。
表面積がほぼ変わらないので、漆がはがれたり割れたりすることがないのだ。
しかも、バルサ材の次くらいに軽いので重さを気にせず、厚手の作品に仕上げることもできる。それによってデザイン面の自由度も大きいというメリットもある。
つまり、沖縄で漆器文化が花開いた要因のひとつがデイゴだといってもいい。
デイゴを守らないと文化にまで悪影響が
沖縄産の漆器で何気なくごはんを食べているとき、食器の下地はデイゴの木だったりするのである。
しかし、前述のようにアフリカ生まれのハチによって枯死させられる被害が広がった。
なんの対策もしなければ、やがては琉球漆器という文化にまで悪影響が及びかねないので、心配なところではある。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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