アメリカへのあこがれに応えた「バナナケーキ」でクリスマスとか
クリスマスも近くなり、街のあちらこちらでジングルベルや、山下達郎の「きっと君は口内炎~♪」といった歌が聞こえてくる。
「そろそろケーキも予約しないといけないな~」と思いつつも、近年の値段の高さが頭をよぎってタメ息が出そうだ。
そんなときはジミーのバナナケーキを懐かしく思い出す。
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沖縄特有のケーキはあまり聞かない
沖縄のケーキ屋で売られている商品は、日本中で親しまれているタイプとあまり変わらない。だから、普通のケーキが普通に食べられる。
たとえばモズクケーキ、シーサーケーキ、首里城ケーキなどといったたぐいの、沖縄特有の商品は、意外にもあまり見られない。
ジミーのケーキは特徴的
ただし、ジミーのケーキだけは別である。
ジミーというのは、大西ではなく、パン屋とケーキ屋と総菜屋とスーパーとレストランを合体させた店である。
バラバラな業種をいっしょくたにしただけではないか、と考えるのはまちがい。ちゃんとテーマというか、一貫性がある。
それは「アメリカの食文化を紹介する」こと。だからケーキもアメリカっぽい。
ジミーの創業は1956年だそうだから、70年近くに渡ってそのアメリカンテイストがウチナーンチュに親しまれてきたわけで、ある年代以上になると、「ケーキといえばジミー」というフレーズが脳のシワに刷りこまれていたりする。
アメリカンなのは、その濃厚な味。ウチナーンチュは「アジクーター」といって、もともと濃いめの味が好きなのだが、その好みにもマッチしている。
かといって本場もののように頭痛がしたり、体が震えたりするほど甘いわけではなく、ちゃんと日本人としての嗜好も考えて作られている。
クリスマスにおけるバナナケーキの思い出
小学生のころ、今のように3000円も4000円もするような、バリバリにデコレートされたケーキなど、わが家ではなかなか買えなかった。
そこで親がジミーのバナナケーキを買ってきたことがある。いわゆるパウンドケーキの一種で、飾りらしいものはいっさいないし、舌ざわりもザラザラな、きわめて素朴な一品である。
ただこれがうまい。レシピはハワイ由来と聞いたことがあり、たしかに南国っぽいというか、ウチナーンチュの舌と心に心地よい。
もちろん安い。今でも900円くらいで売っているらしい。オジサンが思うにクリスマスはジミーのバナナケーキで十分ではないか。舌にも財布にもやさしいし。
仏壇にも供えられる
法事のとき、仏壇にジミーのバナナケーキが供えられているのを何度か見たことがある。このメンタリティはさすがウチナーンチュだ。
外国の文化を柔軟に取り入れ、自らの暮らしや文化に役立てているのである。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
著作の紹介
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