2023/04/23

【成功する沖縄移住】移住者にとって最大の洗礼「台風」とうまくつきあおう

たとえば春に沖縄へ移住してきて夏を迎えた際、ほぼ確実に台風に直面する。移住者にとっては最初の高いハードルといってよく、これを乗り越えないと楽しい沖縄暮らしの見通しが立たない。さらにいえば、台風とのつきあいは沖縄暮らしの要のひとつなのである。そこで、台風とはそもそも何者か、そしてどうつきあうかを解説しよう。

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台風は沖縄付近で最強になる

沖縄は地震が少ない。厳密にいうと、震度1や2程度はちょくちょくあるのだが、大きな地震が少ないのである。その代わりというわけではないが、台風が多い。

日本のはるか南で生まれた台風は、温度の高い海水をエネルギー源にして発達する。そしてどんどん北上し、沖縄付近でその勢力が最大になる。

しかもこのあたりで偏西風にあおられ、東寄りに向きを変える。このとき、ちょうどカーブを曲がる車が速度を落とすように、台風もスピードを落とす

つまり、力が最大になり、しかも速度が遅くなるので、沖縄付近で長時間吹き荒れることになる。

そうなると飛行機、船、モノレール、バスなどの交通機関が止まり、県民や観光客の足に多大な影響をおよぼす。それだけならまだしも、電気や水道まで止まったりする。

台風が来ても車は走る。しかし、写真のような背の高い軽自動車は横風を受けると横転しやすいので注意が必要。

 

被害額100億円超えも

たとえば2003年9月、台風14号は最低気圧912ヘクトパスカルという猛烈な勢力で宮古島地方を直撃した。最大瞬間風速は秒速74m。これは戦後7位だった。

街路樹や電柱が根こそぎ倒れ、風力発電機も倒壊、車がふき飛び、宮古空港の管制塔のガラスまで割れたという。

この激烈な台風は、宮古島を中心に死者1名、負傷者96名の被害を出した。ちなみに14号はその後朝鮮半島にも上陸。韓国では死者117名、額にして6000億円にも上る被害を出している。

沖縄県内の被害総額は132億円で、過去の台風では最高額となった。このうちゴルフ場、ホテル、店舗、個人住宅などの被害がもっとも多く、約30億円に上った。続いて農産物が29億円、公共施設が21億6000万円などだった。

 

しかし恵みの雨や休養も与えてくれる

このように台風は自然の猛威だが、メリットもある。

沖縄は小さな島で、降った雨がすぐ海に流れこんでしまうので貯水がむずかしい。そのため昔から水不足に悩んできた。そこへ恵みの雨をもたらす台風は貴重な存在だ。だから、多少の被害は覚悟のうえで襲来を心待ちにすることもある。

さらに、暴風警報が出ると学校が休みになるので、子どもたちは台風を歓迎する。また、大部分の官公庁や企業もバスが止まると仕事が休みになるので、お見えになるのをひそかに願う大人もいっぱいいる。

結局、いい面も悪い面も含めて台風は宿命なのだから、どう付き合うかが問題だ。

この暴れ者をナメて暴風雨の中でサーフィンをしたり、原チャリで突っ走ったりするのは愚の骨頂にしても、過度に恐れたりしないでうまくやり過ごすことが大切だ。

 

暴風雨の最中は家にこもるか大型スーパーへ行く

沖縄の建物は頑丈に作られているので、台風ごときで全壊することはない。だから家の中にいれば危険はない。

しかし、停電するとやることがなくて困る。テレビは見られない、クーラーも使えない、夜は真っ暗。しかもサウナのような暑さだ。

そんな状況になるとウチナーンチュは車に乗って大型スーパーへ行く。自家発電完備なので停電はない。電気は明るく灯り、エアコンが効いて涼しいから、子どもは勝手に遊ばせておいて、大人はフードコートや休憩所に座ってお茶したり、新聞を読んだりしている。

 

台風メシというのもある

スーパーも閉まったり、外出そのものが危険な場合もある。しかも、子どもたちもお父さんも休みで家にいる。そんなとき問題になるのがお食事だ。

買い物に行けなければ食材は乏しくなる。そんなときのために定番の台風メシがある。ベスト3は次の通り。

まずヒラヤーチー。これは小麦粉を水で溶いてクレープのように焼くものだ。メリケン粉と塩さえあれば最低限のヒラヤーチーが作れるので、もっとも一般的な台風メシである。

そうめんを炒めたソーミンチャンプルーも人気だ。簡単にいえばそうめん炒めであるが、ツナなどを入れるとうまい。そうめんもツナも長期保存できるので、台風に備えて備蓄しておく家庭も多い。

チャンプルーを作りたいが、台風時には新鮮な肉や豆腐が手に入らない場合がある。そんなとき、かわりに麩を使ったりする。残り物の野菜と麩を炒めればフーチャンプルーのでき上がりだ。

台風は恐ろしいが、こうした日常とはちょっと違う楽しみもあるのだ。

台風メシの代表格はヒラヤーチー。小麦粉さえあればできるので、買い物に行けなくても作れる。

 

ゆでたそうめんを炒めるだけでできるソーミンチャンプルーは、シンプルだけどおいしい。

 

肉や豆腐の代わりに麩を入れるのがフーチャンプルー。麩と野菜があればOKの簡単料理だ。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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あとぅまさい かふう残り物には福がある