【成功する沖縄移住】移住者にとって最大の洗礼「台風」とうまくつきあおう
たとえば春に沖縄へ移住してきて夏を迎えた際、ほぼ確実に台風に直面する。移住者にとっては最初の高いハードルといってよく、これを乗り越えないと楽しい沖縄暮らしの見通しが立たない。さらにいえば、台風とのつきあいは沖縄暮らしの要のひとつなのである。そこで、台風とはそもそも何者か、そしてどうつきあうかを解説しよう。
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台風は沖縄付近で最強になる
沖縄は地震が少ない。厳密にいうと、震度1や2程度はちょくちょくあるのだが、大きな地震が少ないのである。その代わりというわけではないが、台風が多い。
日本のはるか南で生まれた台風は、温度の高い海水をエネルギー源にして発達する。そしてどんどん北上し、沖縄付近でその勢力が最大になる。
しかもこのあたりで偏西風にあおられ、東寄りに向きを変える。このとき、ちょうどカーブを曲がる車が速度を落とすように、台風もスピードを落とす。
つまり、力が最大になり、しかも速度が遅くなるので、沖縄付近で長時間吹き荒れることになる。
そうなると飛行機、船、モノレール、バスなどの交通機関が止まり、県民や観光客の足に多大な影響をおよぼす。それだけならまだしも、電気や水道まで止まったりする。
被害額100億円超えも
たとえば2003年9月、台風14号は最低気圧912ヘクトパスカルという猛烈な勢力で宮古島地方を直撃した。最大瞬間風速は秒速74m。これは戦後7位だった。
街路樹や電柱が根こそぎ倒れ、風力発電機も倒壊、車がふき飛び、宮古空港の管制塔のガラスまで割れたという。
この激烈な台風は、宮古島を中心に死者1名、負傷者96名の被害を出した。ちなみに14号はその後朝鮮半島にも上陸。韓国では死者117名、額にして6000億円にも上る被害を出している。
沖縄県内の被害総額は132億円で、過去の台風では最高額となった。このうちゴルフ場、ホテル、店舗、個人住宅などの被害がもっとも多く、約30億円に上った。続いて農産物が29億円、公共施設が21億6000万円などだった。
しかし恵みの雨や休養も与えてくれる
このように台風は自然の猛威だが、メリットもある。
沖縄は小さな島で、降った雨がすぐ海に流れこんでしまうので貯水がむずかしい。そのため昔から水不足に悩んできた。そこへ恵みの雨をもたらす台風は貴重な存在だ。だから、多少の被害は覚悟のうえで襲来を心待ちにすることもある。
さらに、暴風警報が出ると学校が休みになるので、子どもたちは台風を歓迎する。また、大部分の官公庁や企業もバスが止まると仕事が休みになるので、お見えになるのをひそかに願う大人もいっぱいいる。
結局、いい面も悪い面も含めて台風は宿命なのだから、どう付き合うかが問題だ。
この暴れ者をナメて暴風雨の中でサーフィンをしたり、原チャリで突っ走ったりするのは愚の骨頂にしても、過度に恐れたりしないでうまくやり過ごすことが大切だ。
暴風雨の最中は家にこもるか大型スーパーへ行く
沖縄の建物は頑丈に作られているので、台風ごときで全壊することはない。だから家の中にいれば危険はない。
しかし、停電するとやることがなくて困る。テレビは見られない、クーラーも使えない、夜は真っ暗。しかもサウナのような暑さだ。
そんな状況になるとウチナーンチュは車に乗って大型スーパーへ行く。自家発電完備なので停電はない。電気は明るく灯り、エアコンが効いて涼しいから、子どもは勝手に遊ばせておいて、大人はフードコートや休憩所に座ってお茶したり、新聞を読んだりしている。
台風メシというのもある
スーパーも閉まったり、外出そのものが危険な場合もある。しかも、子どもたちもお父さんも休みで家にいる。そんなとき問題になるのがお食事だ。
買い物に行けなければ食材は乏しくなる。そんなときのために定番の台風メシがある。ベスト3は次の通り。
まずヒラヤーチー。これは小麦粉を水で溶いてクレープのように焼くものだ。メリケン粉と塩さえあれば最低限のヒラヤーチーが作れるので、もっとも一般的な台風メシである。
そうめんを炒めたソーミンチャンプルーも人気だ。簡単にいえばそうめん炒めであるが、ツナなどを入れるとうまい。そうめんもツナも長期保存できるので、台風に備えて備蓄しておく家庭も多い。
チャンプルーを作りたいが、台風時には新鮮な肉や豆腐が手に入らない場合がある。そんなとき、かわりに麩を使ったりする。残り物の野菜と麩を炒めればフーチャンプルーのでき上がりだ。
台風は恐ろしいが、こうした日常とはちょっと違う楽しみもあるのだ。
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吉田 直人 よしだ なおひと
沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。
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