2023/04/27

【成功する沖縄移住】どこに住むか考える③ 沖縄の原点が満喫できる「離島」

本島なら、よほどの山の中でもない限り、ごく普通の生活を営むことができる。スーパーもコンビニもガソリンスタンドも病院もパチンコ屋もマクドナルドも、だいたい生活圏内にある。離島ではそうはいかないが、利便性と引き換えに、すばらしい自然と文化に満ちていて、沖縄の原点が感じられる島もある。沖縄には40近い離島があって、それぞれについての解説は別の機会に譲るが、まずは離島で暮らす理由や意義について考えてみたい。

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そもそもなぜ離島で暮らすのか

沖縄県には人の住む島が48ある。このうち本島および本島と橋でつながっている島の合計が10。つまり有人離島は38ということになる。

離島の特徴のひとつは、各島が文化的に完結しているということ。たとえば言葉だ。

宮古島と石垣島では言葉がまったく違う。フランス語と秋田弁くらい違う。もちろん日本語とも全然違う。それぞれの島人がそれぞれの島の言葉で会話しても、コミュニケーションはまるで成立しない。英語で会話した方がまだましなくらいだ。

さらに音楽も全然違うし、伝統工芸もまるで別物である。つまり、沖縄の各離島はそれぞれ個性を持っていて、ひとつの島はひとつの国といってもいいくらいだ。

したがって、38の島の姿を総論的に述べるのはほぼ不可能である。そこで、なぜ離島で暮らすのかというテーマにしぼって解説する。

 

自然にホレたから

旅行で島を訪れ、自然のすばらしさに感動して、住んでみたいと思いはじめるタイプ。ダイビングなどにのめり込んだ末、移り住むのもこの一亜種だろう。

遠く離れた辺境の島であればあるほど自然が豊かなのでダイビングは楽しいだろうが、それと反比例して生活は不便になりがちだ。

それでもいいという人はいるだろうが、実際には難しい面もある。たとえば中高年や子持ちだと医療や教育が問題になったりするからだ。小さな島には診療所くらいしかない。また、高校がないのが普通だし、小学校、中学校は義務教育なのでどんな島にもあるが、塾もないし家庭教師を探すのもむずかしいだろう。

そのせいか、自然あこがれ派はやはり若者に多いようだ。島で自然とともに暮らすには体力が必要だし、その意味でも若者の特権といえる。

自然にホレた派では、海にホレたというのが一番多いわけだが、細かく分けると、夕日に感動した、チョウを追いかけて、が美しいなどいろいろ派生種がいる。

ちなみに移住の理由として意外によく聞くのが、。東京のビル群のなかで見上げても灰色の空の一部が見えるだけだが、島には広くて澄んだ、本物の青空があるというわけだ。

乱獲や環境汚染のせいで沖縄本島では魚や貝が少なくなってきたが、離島ではまだまだ潮干狩りのやりがいがある。たとえ獲物が少なくても、潮風に吹かれるだけでストレスが吹き飛び、人間性が回復する、かも。

 

人にホレたから

旅行で来て地元の人とふれあい、そのやさしさや親身さにホレ込んでしまったタイプ。元々、外から来た人には親切にする県民性があるのでこうなりやすい。

ウチナーンチュは心の奥底で、日本人である前に沖縄人であるという意識を持っており、やさしさやホスピタリティは沖縄人としてのアイデンティティのひとつなので、損得勘定抜きで親切にするのである。

ちなみにホスピタリティとは、訪れた人をやさしく迎え入れ、丁重にもてなすこと。安息の時間を過ごしてもらうための心づかいも含まれる。病院を意味するホスピタルも語源は同じ。

民宿に泊まってそこのおかあさんのやさしさに感動したとか、タクシー運転手が自宅に招待して三線を聞かせてくれたとか、さしみ屋(魚屋)のおじさんが大量におまけしてくれたとか、この手の話は枚挙にいとまがない。

八重山の島々では、人々の社会生活が公民館を中心に営まれているケースが多い。

 

人間性を回復したいから

もちろん島は自然も人情もすばらしい。そうした環境のなかで、人間らしい暮らしと心を取り戻したいというタイプ。

満員電車に揺られ、仕事に追われ、人間関係に神経をすり減らし、くたくたに疲れて家に帰ったら寝るだけ。そんな経済論理のみに振り回される毎日を延々と続けていたら、自分が人間なのかロボットなのか、わからなくなってくるのだろう。

そういう人が、ゆったりと流れる時間を楽しみながら、しばらく島で暮らしてみれば、自然と人間が一体であることを実感するだろう。

自分がロボットでも歯車でもないことを実感すれば、たしかに人間性を回復するかもしれない。

伝統的な琉球家屋。竹富島にはこうした家がたくさん集まってひとつの街並みをつくっている。それ自体が貴重な文化遺産なのだが、ひとつの島でなければ残せなかったかもしれない。隔絶された空間が文化を守ったという一例だ。

 

生まれ変わりたいから

これは究極である。それまでの生活をすべて精算し、島で暮らして人生の再スタートを切る。

理由は人それぞれだろうが、疲れを癒し、パワーをチャージするには島は絶好のゆりかごである。こうなると、島は母胎のようなものかもしれない。それだけの力は持っている。

宿に泊まらずキャンプしようという人ももちろんいる。ただ、八重山地域ではキャンプ場以外でのキャンプは禁止だし、写真の波照間島では全面禁止になっている。

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吉田 直人 よしだ なおひと

沖縄県今帰仁村生まれ。19歳まで沖縄で過ごし、20代は横浜に住む。大学卒業後は都内の出版社に勤務し、30代でフリーランスとなって沖縄に戻る。その後はライター兼編集者として活動。沖縄移住に関する本など多数の著作あり。

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